出ていたらそれだけで観たい、と思える俳優の一人、ソン・ガンホ主演
ってことで内容も知らず観てきた。
監督は、どちらも面白かった「義兄弟 SECRET REUNION」「高地戦」のチャン・フン。
1980年5月に韓国で起きた歴史的な民主化運動での悲劇“光州事件”を背景に、
厳しい取材規制の中で現地入りしたドイツ人記者と、彼を乗せることになった平凡なタクシー運転手の知られざる真実の物語。
第90回アカデミー賞外国語映画賞韓国代表。
第54回大鐘賞最優秀作品賞、企画賞受賞。
第26回釜日映画賞最優秀作品賞、主演男優賞、釜日読者審査団賞受賞。など。
この映画で描かれている「光州事件」は、1980年に実際に起こった。
1980年5月18日、軍事独裁政権の復活を警戒した市民らが光州市内で10日間にわたり民主化を訴える大規模なデモなどを行い、空挺部隊が市民への発砲や暴行を行った事件。
「5.18記念財団」に認定された死者は154人、行方不明者は70人、負傷者は1628人に上る。
前年にクーデターを起こし政権を握った軍部出身の指導者たちが、民主化運動を行っていた金大中らを逮捕したことをきっかけに始まる。
光州市の学生や市民たち20万人はこれに反対し、民主化を要求するデモを行ったが、デモ参加者は新政府によって暴徒と見なされた。
そして、派遣された陸軍特殊部隊によって銃弾を浴びせられる事態に発展した。
という恐ろしい事件。
政府の圧力によって、マスコミは国民に事件の真実を伝えることができないというのは
スピルバーグ監督作の先日観た「ペンタゴン・ペーパーズ」でも描かれていた。
デモの参加者は「スパイ」であり、デモは「北朝鮮による陰謀」だという政府による一方的な主張が報じられたせいで
韓国の市民たちは、政策に反対する国民を軍が殺害していた、という事実を知ることができなかった。
それでこのドイツ人の記者含め、ジャーナリストたちが実際に現地へ出向いて事実を映像として持ち帰り、報道することに尽力した。
これはその報道することに命をかけ挑んだ男たちと、光州へ連れていくタクシー運転手との物語。
男やもめで一人娘を育てながら個人タクシー業を営む、運転手マンソプにソン・ガンホ。
大金がもらえるという話を偶然聞きつけて、最初は金目当てでドイツ人記者を光州へ届けようと使命感を燃やす姿には
ソン・ガンホだからこそ感情移入しちゃうという気もする。やっぱりうまいこの人。
普通のおじさんて感じがいいんだよね。何をやってもハマってしまう。
こちらも実在した人物、日本に駐在していたドイツ人記者ピーターには、
「ダリオアルジェントのドラキュラ」ではドラキュラ、「キャプテン・アメリカ ウィンターソルジャー」などにも出演の
トーマス・クレッチマン。観るたびリーアムニーソン似だなぁと思っちゃう。
大学生ジェシク演じるのはリュ・ジョンヨル。
英語を話せるということで通訳としても協力してもらう。
同じくタクシー運転手で協力してくれる ユ・へジンには泣かされた〜
7/10(78点)
事件の詳細は知らなかったので、過去の歴史を知る上でも勉強になった映画。
韓国の歴史に興味なくても韓国映画好きなら是非観て欲しい1本。
コミカルなシーンに笑わせながらも、後半からは一変、シリアスモードに。
家賃を滞納してまで娘一人を育てている貧乏な個人タクシーの運転手が
ぶつけられてしまった車の修理代も払うと言われそれも断り、タクシー代の報酬ももらうことを拒否して
最終的には自分の素性も明かさず別れたタクシー運転手。
時が過ぎ、20年後も心ある運転手として働いていた。
エンドロールで実際のドイツ人ジャーナリストのユルゲン・ヒンツペーター氏の生前の姿が。
そこには、願っていても再会が叶わなかったタクシー運転手への感謝の言葉が述べられていて心が熱くなった。
1980年、韓国のソウル。妻に先立たれ、幼い娘を抱えて経済的に余裕のない毎日を送る陽気なタクシー運転手のキム・マンソプ。その頃、光州では学生を中心に激しい民主化デモが発生していたが、戒厳令下で厳しい言論規制の中にいるマンソプには詳しい事情など知る由もなかった。そんな中、ドイツ・メディアの東京特派員ピーターが光州での極秘取材を敢行すべく韓国入りする。英語もろくに分からないマンソプだったが、“通行禁止時間までに光州に行ったら大金を支払う”というピーターの言葉に二つ返事で引き受ける。こうして現地の深刻さに気づかぬまま、ピーターを乗せて意気揚々と光州へ向かうマンソプだったが…。
택시운전사 2017年 韓国 137min
4月21日より、公開中〜