ブラックホールと聞いて
あなたがイメージするのは、宇宙のはるかに潜み
その途方もない重力で、不運にも通りかかったもの
恒星、惑星、星屑あるいは宇宙船をなんでもお構いなしに
吸い込んで破壊する天体だろう
このイメージは大方正しい宇宙のブラックホールは死滅しつつある
超高質量星が重力によって潰され特異点とよばれる次元のない
無限の密度を持つ点へ変化することにより誕生する
この爆縮はあまりにも激しく空間そのものをズタズタにし
特異点に或る程度まで近づくともう何も逃げられなくなってしまう
その中には光も含まれておりだからこそブラックホールはブラックなのだ
その効果が及ぶ半径即ち事象の地平線(要検索)では何が起きるか
誰にもわからないそこでは情報も
すべて重力に捕らわれ逃れることができない
ブラックホールのサイズは質量により決まる
太陽を破壊させブラックホール化させるためには
今のサイズの400万分の1にあたる直径約3キロメートルに圧縮
する必要があるだろう、地球なら半径9ミリ即ち今のサイズの
約10億分の1にしなければならない
正しこうした天体が自然にブラックホール化することはない
質量をそこまで押しつぶすだけの重力がないのだ
しかし、物理学者が自然界に存在しうると考えるブラックホールは
こうした宇宙の怪物ではない・・・
1970年代に天文学者スティーブンホーキングとバーナードカーは
初期の宇宙にもブラックホールが存在した可能性を考察した
エネルギーが滾り物質の密度も莫大だった時期だけに
一部の領域が崩壊し、
ちっぽけな特異点と化していても決して不思議ではなかったのだ
物理学の法則によると、物質の密度は最大で10の97条キロ立方メートル
だが、この段階で重力に耐えられなくなった物質は崩壊し
ブラックホールと化すホーキングとコールはこうした仮想の特異点を
原始ブラックホールと呼んだ
想像を絶する密度と温度を持つ初期の宇宙であれば
たしかにこうしたちっぽけなブラックホールが産まれる可能性は
あったかもしれない
だが、それに似たものを地球上で作り出すとなると
初期の宇宙すなわちビッグバンの直後の状況を再現する必要があるだろう。