砂漠の音楽

本と音楽について淡々と思いをぶつけるブログ。

King Crimson「Red」

2018-01-25 11:39:01 | イギリスの音楽

あけましておめでとうございます。
更新しよう、更新しようとずっと考えていたのですが
寒いし雪も降ったしで、あいだが開いてしまいました。
全部雪のせいだ...(古い)



寒いのであったまるアルバムでも、ということで今日はKing Crimsonの『Red』を。
本作は、ロバート・フリップ先生率いるプログレ集団、キング・クリムゾンのひとつの到達点、金字塔的なアルバムだと思います。冬になると聴きたくなるアルバムはこれと、彼らの『THRAK』。どちらも、冬のキリっと冷えた空の下で聴くと心地よいのです。あとはPanteraの『Vulgar Display of Power(俗悪)』も。こちらは冬が寒くてイライラするので。聴いているとムカムカして体温があがります、冷え性の方にお勧めです、嘘です。

話を彼らに戻しましょう。
イギリス出身(途中からアメリカ人も加わりますが)。もともと5人とか7人くらいのバンドで、1作目『クリムゾン・キングの宮殿』から『Lizard』とか『Islands』くらいまで結構メンバーが入れ替わり、3人体制になって『太陽と戦慄』と『暗黒の世界』、そして本作『Red』をリリースしています。基本的にバンドの指揮を執っているのはギターのロバート・フリップ。そのあと彼以外のメンバーは入れ替わり、4人になってニューウェーブ的な路線を経て、よりヘヴィな方向に行きます。メンバーチェンジも多いぶん時期によって音楽性がずいぶん違うんだけれど、自分はこの3人の時期が一番好きです。スティック奏者のトニー・レヴィンの低音も大好きなんだけどね。

さて簡単に紹介。
1曲目「Red」
いきなりタイトルトラック、インスト曲。ヘヴィなリフから始まります。ギターの上昇していく音にベースがユニゾン。イントロ部分が終わると、強めのドライブのかかったベースがうまくバランスをとって高音と低音を交互に出している。降り注ぐ雨のような激しいギター、ドラムもシンバルを多用しているのですが、どこかクールな曲です。余談ですけどRadioheadの「Just」は間違いなくこの曲を意識していると思う。

2曲目「Fallen Angel」
『太陽と戦慄』の「Book of Saturday」的な曲。ただしこちらの方がごつごつしていてダウナーな感じはあります。かなり好きな曲...のはずが、今頭の中で曲を思い出そうとしていても、どうしても「Easy Money」と雰囲気とかぶる...。あ、思い出した。後ろで鳴っているハーモニクスを多用したアコギとクラリネットがお洒落で、切ない曲です。何気に歌詞もよいので、気になる方はこちらをご参照あれ。リンク引っ張って来たけど下の曲、全くキングクリムゾンでなかった...気になる人はCD買うなり借りるなりしてくれ、いい曲だぞ。

King Crimson - Fallen Angel


3曲目「One More Red Nightmare」
リフが格好いい曲、このアルバムで一番好きです。リフの音階があがったり下がったりを繰り返すのは「太陽と戦慄 Part2」に近い気もしますね、とはいえあちらよりはキャッチー&シンプル。イントロ部分のドラムが格好いいし、Aメロのドラムのベースの絡みが良い。こんなふうにバスドラとベースのタイミングが合っていると、ものすごく耳が心地よい、耳が喜ぶ、耳が平身低頭して欣喜雀躍します。あと8分で刻んでいるハイハット、最高。この刻みがあるのとないのとでは、きっと曲の印象が全然違うだろうな。それから、これだけ弾きながらもいい声で歌っているジョン・ウェットン、渋いっすわ~おたくまったく渋すぎるわ~。

King Crimson One More Red Nightmare


4曲目「Providence」
なんでこれ入れたんだろ、って曲(失礼)。インプロビゼーション、いわゆるアドリブによる演奏を収録したものです。1作目の「Moon Child」も後半にインプロの部分があったっけ。お互いが空気を読み合ってなんとなく曲の形になっていく、のは面白いのだけど、出だしはヴァイオリンが「トムとジェリー」の不穏verみたいなキュルキュルした音を出しているし、どっちかって言うとベースのジョン・ウェットンとドラムのビル・ブルーフォードがかなり空気を読んでなんとか曲が成立いるような気が。ギターは後ろの方でジトー、ヒギュワー、トゥルルルーって音をずっと出していて、何やってんのかようわかりません、何がしたかったんだろ、そしてなんでこれをアルバムに入れたんだろ、謎や。確かにドラムとベースがうまくかみ合う部分は「おお、これこれ!」みたいに思えるのだけれども。

5曲目「Starless」
4曲目で溜まったフラストレーションを払拭するかのような(?)最後の曲。12分あります、うわぁ良いプログレ!途中までは普通、というかただの暗い曲って感じなんです、とはいえずっと流れているメロトロンと、要所要所の絡みつくようなサックスが素敵。ギターも渋い。しかし2回目のサビが終わってから雰囲気が一転。間奏のような部分を挟んだあと、速いテンポで変拍子を繰り返すようになり、何やってんのかようわからんギターがものすごく格好いい。もちろんドラムもいいです、一度盛り上がったあとにハイハットで細かく刻む部分が本当に好き。そこでAメロがサックスによって繰り返されるのも憎い演出よ。

King Crimson - Starless (OFFICIAL)



彼らについて。名盤、名曲も多いのですが、むらが激しいのも特徴だと思います。初期(特に『ポセイドン』と『Lizard』)は割と「えー、これ音源化したの?」って言いたくなるような、ちょっとしたアイデアをこねくり回して何とか曲にした、というのもあります。ニューウェーブの頃も、ギターによる複雑なポリリズムとか、これどうやってんの?っていう演奏とか、やっていることはすごいんだけど聴いてて気持ちいいかっていうと、うーんって感じだし(「Elephant Talk」「Matte Kudasai」「Heartbeat」なんかは好きですが)。
でも創作に気持ちが乗っている時とか、「これをやろう、こういう音楽をやろう」という目標にメンバー同士が向かっている時期は充実した作品を生み出しているように思います。そう考えると、彼らは人間関係の大事さを教えてくれる貴重なバンドですよね!(こじつけ)

冒頭の画像にしろ曲のサムネにしろ、めっちゃフリップ先生からスマイル向けられることになってしまった、体温上がるわ~!

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