重度の自閉症である東田直樹さんは、人と会話をすることが出来ません。
しかし、文字盤を使うと、豊かな表現力を発揮することが出来ます。
2007年に、中学生だった直樹さんが書いた【自閉症の僕が飛びはねる理由】は、翻訳され、
世界的なベストセラーになっています。
この本のことは、以前から知っていたのですが、なかなか読む機会が無く、
いつかは読みたいと思っていました。
さて、著者である東田直樹さんのドキュメンタリーが、NHKで放送され、私は録画して観ました。
今年24歳の直樹さんは、すっかり青年になって、
エッセイや小説を書く、プロの作家として歩み始めています。
今回のドキュメンタリーは、2年前に放送された、同じく直樹さんのドキュメンタリー
【君が僕の息子についておしえてくれたこと】の続編になります。
前回の番組は評判が高く、「芸術祭ドキュメンタリー大賞」を受賞しています。
しかし、大賞を受賞した10日後、番組のディレクター・丸山拓也さんは、
ガンと診断されてしまいます。
丸山さん自身が、ガンと云うハンディキャップを負ったのです。
その丸山さんが、直樹さんにインタビューする場面があったのですが、
その中で、非常に感動した言葉がありました。
「僕は、命というものは大切だからこそ、つなぐものではなく、
完結するものだと考えている。
人生を生き切る。
残された人は、その姿を見て、自分の人生を生き続ける。」
そう言い切った直樹さんには、障がいに対する甘えが無く、むしろ、雄々しさすら感じられます。
今現在、そしてこれからも、直樹さんは、文筆業で生きて行こうと決意しています。
この言葉には、「文筆業で生き切ってやる!」と云う、直樹さんの決意が込められているのでしょう。
私には、この言葉が、1人の若き作家・東田直樹さんの
“未来に対する決意表明”であるように感じられるのです。