遠阪峠を下って、山東町で国道9号線 山陰道に入りました。
養父市を通り、村岡町を目指します。
渋滞とは無縁と思える道を淡々と1時間程も走ると、国道脇に「但馬高原植物園」の看板が見えてきました。
案内表示板を辿りながら坂道を登って行きますと、「但馬高原植物園」の大きなプレートを掲げたロッジ風の建物の前に至りました。
駐車場には車が数台停まっています。
しかし、この時生憎、地を這うような雲が周囲を覆い、大粒の雨が降り始めました。
どうしようかな~!
取りあえず手ぶらで建物の中に退避すると、玄関の左手に受付が、その奥に訪問者が撮影したと思われる写真が展示してありました。
花の一番綺麗な瞬間を写し取ったと思われる傑作ばかりです。
こんな写真を見てしまうと、傘を差してでも入園したくなります。
車に戻って、暫く様子をみることにしました。
15分程だったでしょうか、○○心と秋の空とは好く言ったものです。
大粒の雨も瞬く間に止んで、雲の間からお日様が顔を出しました。
喫茶室で様子を見ていた他の客も、皆一斉に入園口へと向かいます。
残念ながら、入ってすぐのキレンゲショウマは既に花を散らせていましたが、
ジャコウソウモドキがピンクの花を咲かせています。
園内案内図がボードに表示されていましたが、結構な広さがありそうです。
園内の小さな水路を清冽な水が溢れんばかりの勢いで流れていました。
こんなに清んだ水は久しぶりに見た気がします。
メートルの千分の1がミリ、その千分の1がマイクロ、その千分の1がナノです。
更にその千分の1のピコ単位までも不純物のないと思える程の清らかな水でした。
きっとこれは一兆分の1、ピコの清水でしょうね。
その清らかな水の横に、オタカラコウが清しく黄色い花を咲かせていました。
雨上がりのためか大振りの葉も艶やかに、高原の秋のひと時を存分に演じています。
その先ではハナトラノオ、ミゾソバ、サラシナショウマ、サワヒヨドリなどが可憐な姿を見せていました。
しかし、入園の時にもらったパンフレットを見ると、此処の一番の目玉はどうやら大カツラの古木のようです。
パンフレットを頼りにその姿を求めました。
経路の途中に大カツラの解説が掲示されていました。
此処の大カツラは「和池の大カツラ」と呼ばれ、幹回りは16メートル、樹高は38メートルだそうです。
この大カツラの上手からは一日に5000トンもの水が湧き出し、その水は極めて純度の高い軟水でコーヒーや抹茶などに適しているそうです。
そして、これがその大カツラです。
見事なものです。
横に立つ人と比べればその大きさがお分かり頂けると思いますが、小川を跨いでまだ余りある巨木でした。
それでいて枝先に葉は瑞々しく、幹の一部は朽ちていても、新しい命の営みを維持する姿に神々しさを漂わせていました。
すぐ横に湧水が樋で導かれ、飲用のグラスも用意されていました。
水温は10度だそうですから、それ程冷たい訳ではありませんが、「純水」の味を存分に堪能することができました。
このような豊かな清水と、ピュアな環境が、神々しいほどの巨木の命の営みを支えてきたのでしょうか。
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