とっとり花回廊は10年程前に来ているのですが、その時は十分に時間がなくて、園内のすべてを見ることができませんでした。
定年退職して自由の身となった今日の花旅も、車に寝具一式を積んだタイムレス方式です。今日は時間を気にせずに、気の済むまで滞在することができます。
列車や飛行機を予約した旅では、偶然巡り会えた花の前でシャッターチャンスを待つことなどはできませんでした。
花は気まぐれですから、予測外の場所で花が満開だった時などにも融通は利きませんでした。
時間の束縛から逃れた今では、目的地まで多少の時間が掛かろうとも、車を利用した旅が最も理に叶っているようです。
勿論、宿泊代節減などの経済効果は抜群です。
しがないサラリーマン生活でしたから、これも大事なポイントです。
「とっとり花回廊」へ朝9時の開園時間を待って入園しました。
大きな温室の後ろに大山が顔を覗かせていました。
園内の「花の丘」に向かいますと、真っ赤なサルビアの絨毯にどっしりとした大山が座っていました。
大山の頂きには、雲が掛かり始めています。
この日旅した全ての場所から、常に大山の姿を望めることができましたが、この日は落日の直前まで、大山の頂から雲が切れることはありませんでした。
平地では雲を意識することのない晴天が続いた一日でしたが、空高く聳える大山の頂は、民住む場所とは異なる世界なのでしょうか。
「とっとり花回廊」は雨の日でも周遊できるように、延長1キロにも及ぶ屋根付き展望回廊が周囲を巡り、その中央に大きなドーム型の温室が配置されています。
その温室から周囲の回廊へ十字型に通路が伸びて、その一つはガラスのトンネルになっていました。
園内の一角は谷となり、高低差は30メートル程もあります。
回廊はその地形を補い、入園者が苦痛なく園内を周遊できるような設計です。
谷の中は、有名なオランダのキューケンホフ公園を模した花園となっていました。
水分を多く要する植物や冷たい風に弱い植物などが植栽されています。
入園時にもらったパンフレットに、4月のキューケンホフコーナーでは色取り取りのチューリップが満開になると記されていました。
園の北側の桜の広場、芝生の広場へと足を向けました。
雑木林の中に心地よい道が続いています。
桜の広場、芝生の広場は季節外れのためか人影もなく、木の切り株を囲んでベンチが弧を描いていました。
桜の花の季節にはきっと、お弁当を広げる家族連れの姿が芝を埋めるのでしょうか。
この辺りから見る大山は、さっきとは微妙に異なる表情を見せています。
言うまでもなく、とっとり花回廊は大山の姿を楽しむための施設でもあるようです。
この季節に花の種類は左程多くはありませんでしたが、私は温室の興味深い熱帯植物と、庭に点在する樹木の姿をカメラに収め、満ち足りた思いで「とっとり回廊」を後にしました。
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