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闇を演出する街

2011-10-11 00:16:38 | 山陰・山陽 秋の花旅

 宍道湖畔で夕日のロードショーを堪能して車へ戻りました。

 

 何時もですと、夜は次の目的地へ向かって車を走らせ、距離を稼ぐのですが、今夜は松江の夜を堪能する予定です。

 「とっとり花回廊」で偶然手にしたパンフレットで「松江水燈籠」というイベントを知り、大いに興味をそそられていました。

 説明によれば、9月から10月にかけての土、日、祝日に松江城と周囲の水辺を燈籠でライトアップし、と水の幻想的な景観を楽しむ催しだそうです。パンフレットの写真を見て直ぐに、これは絶対見ておこうと思いました。

 

 車で松江城に近づくにつれて、浴衣の女性などの姿が目に入り始めます。

 城の周囲を車で走り、食事のできそうな店と駐車場を探しました。

 市役所の駐車場が無料開放されていますが、一人で入れそうな店が見当たりません。祭りの夜の飲食店の稼ぎ時に一人でテーブルを占拠するような愚は冒したくありませんし、居酒屋も見当たりませんので、今夜は気軽に牛丼屋で定食となりました。

 

 食事を終えて、マクドナルドへ入り、持参したPCでメールをチェックします。

 マクドナルドにはコンセントの備わった席があるので、最近は旅に出ると便利に使わせて頂いております。

 

 メールチェックに予想以上の時間が掛かり、松江城に入ったのが20時半頃でした。

 だいぶ人も少なくなって、静かな場内に手作りの行灯が並んでいました。

 

 

 静かです。

 

 勿論、綿菓子屋も金魚掬いもありません。

 上質な時間が流れていました。

 

 

 

 

 見上げると、松江城が闇の中で、行灯の灯りを妨げない程度にライトアップされていました。

 

 

 

 

 あてずっぽうに歩いて行くと、場内の一角で能が演じられていました。

 

 

 

 

 暑くもなく寒くもない場内では、多くの観客が芝に敷物を敷いて、舞台に目と耳を傾けています。

  

 

 

 観客席の横を抜けて、裏手から城外へ出ました。

 

 城を囲む堀には川船が浮かび、音もなく水面を去って行きます。

 

 

 

城内から堀まで、わずか数百メートルの距離を歩いただけで、松江という街を理解し、街を活性化しようとする人々の姿を垣間見た気が致しました。

 

この地は数百年程前には大陸文化への最前線だったはずです。

洗練された意識の継承を感じる夜となりました。

 

静かなのに何故か、活動的で躍動感の伴う印象の夜となりました。 

   

 

 

 仄かな明りで闇を効果的に演出する営みは、能や茶道、華道などで継承されてきた、抑制的な伝え方や間を重視する術などの延長線上にあるように思えます。

 

 

 開国以来、地中海を源とする太陽の文明の習得に努めてきた国で、闇と静寂を意識する街と出会った、忘れられぬ夜となりました。 

 

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