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宍道湖の夕日

2011-10-07 17:20:42 | 山陰・山陽 秋の花旅

 宍道湖の夕日の見事さは良く知られています。

 

 

 夕日も花と同じで、季節とロケーションが揃った時の美しさは言葉に現せないものがあります。

 

 

しかし夕日も花も、その時々の気象条件に大きく左右されますので、目当ての場所へ出向いても、常に思い描いた光景に遭遇できるとは限りません。 

 

 

今、目の前で沈む夕日は、絵のような輝きで湖面を照らしています。

 

地球上であれば、日々何処にでも陽は沈みますが、今この場所、このシチュエーションであればこそと思える美しさです。 

 

 

 宍道湖に浮かぶ嫁ヶ島の松の梢に見送られ、湖面を照らしながら、静かに神話の国へ沈んでゆく夕日は、見る者の琴線を震わせます。

 

 

 

 

 桜の花の散る姿に美しさを感じる人々が見送る夕日は、一日の終わりが終焉ではないこいとを告げているのかのようです。

 

 

 

 

 空に輝き、恵みをもたらしてくれた太陽は今、一日の仕事を終えて、月と星に道を譲りますが、雨と嵐が地上を覆うことはあっても、明日はまた、必ず東の空へ戻って来てくれるのです。

 

 

 父母や祖父母の頃から、更には神々の時代から、沈む夕日が明日の約束を違えぬことを知り、人々は夜の眠りに身を委ねてきました。

 

 

 東の海に陽出る国の人々は太陽に感謝し、花を眺め、鳥の声を聞き、子を育んできたことを、夕日が思い出させてくれました。

 

 

 46億年も前から地球は回り続け、陽が沈み、陽が昇る繰り返しの中で、人々は明日を信じて生きてきました。

 

 

 今日も安らかに夜の帳が降りてゆきます。

 

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空は海の色に染まる

2011-10-07 14:25:59 | 山陰・山陽 秋の花旅

 美保関を後に、松江に向け車を走らせます。

 途中、鳥取県と島根県の境に中海という汽水湖がひろがっていました。

 この中海の中に大根島という島があって、全国有数のボタン花と高麗人参の産地として知られています。

 

 今の季節ボタンの花を見ることはできませんが、後学のために寄り道をしました。

 

 再び境水道大橋を渡り、境港市へ入ります。

 

 傾きかけた陽光の中、大橋から見下ろした境港の街が、現実感を喪失した寓話の世界のように見えたのは、きっと私が、旅の気分に浸りきって、日常から解き放されていた証なのでしょか。 

 

 

 人は何故旅をするのかも分かったような気がして、黄昏る街へ下って行きました

 

 

 境港から中海を渡って江島、大根島へと向かいます。 

  

 

 大根島には幾つかのボタン園がありますが、代表的な由志園に行ってみました。

 

 

 この時点で略17時でしたから中へは入りませんでしたが、ボタンの花の咲く頃に再度訪ねてみたいものです。

 

 

 

 

  

 大根島から中海を横切る埋め立て道路へ入ります。

 

 

 

 陽の傾きを確かめながら、ナビで松江までの距離を測りました。

 

 夕日を宍道湖畔で見るには、頃合いのタイミングのようです。

  

 松江へ向かう途中で、湖上に大山の姿を認めました。

 

 

 

 

 青い水面に浮かぶ大山は見納めと思えたので、トンネルを抜けると道を逸れて、小さな湖畔の村へと旧道を進みました。

 

 

 大山の頂きに雲は消え、中海と空は青のグラデーションに包まれています。

 

 

 

 村の漁港に一本の松が枝を広げ、その奥で大山の頂きが微かに陽に染まっていました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 思い通りのタイミングで、宍道湖の夕日スポットに到着することができました。

 

 

 心に掛かる由無しごともなく、幸福な時間を紡げた一日を象徴するかのように、湖畔に静かな黄昏が迫っていました。

 

 

 

 

 空に浮かぶ茜雲が、至福のひと時を迎える人々を祝福しているような、そんな気がする夕暮れどきでした。

 

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