ガマ岩が現れました。
ガマ岩は周囲の超塩基性岩地の中に取り残された変成岩の岩峰です。
このガマ岩の周囲には固有種が育つそうですが、それを知ったのは旅を終えた後のことでした。
ガマ岩
しかし、登山路を外れ、植物帯に踏み込めば、絶妙なバランスで生きる固有種を傷つける可能性が大です。
詳しい観察はプロに任せ、素人は登山路を外さないのが山のマナーというものでしょう。
ガマ岩の横に、小さなひょうたん池が澄んだ水を湛えていました。
ガマ岩が堤防のような働きをして、水を堰き止めているのかもしれません。
ひょうたん池
ひょうたん池の横に、ウコンウツギが花を咲かせていました。
標高1200m附近の石原平の下のウコンウツギは実を付けていましたので、標高1400m強のこの辺りとは、半月程の温度差があるのでしょうか。
ウコンウツギ
ひょうたん池を過ぎると、土壌が露出した蛇紋岩崩壊地の斜面の上に木道が伸びていました。
斜面は西向きですから、遅くまで雪渓が残っていたのかもしれません。
短い距離の間に、植物の生育に影響を与える、多彩な環境の変化が見られます。
そんなとき、前を行く森さんが何かを見付けたようです。
近づきますと、シロウマアサツキが薄紅紫色のネギ坊主を並べていました。
シロウマアサツキ
更に進むと、木道の周囲にシロウマアサツキの群落が広がっていました。
このようなシロウマアサツキの群落を目にするのは初めてでした。
それもそのはず、山と渓谷社の「日本の高山植物」には、北海道の幌延町問寒別、夕張岳、朝日山地、飯盛山、雨飾山、北アの高山帯に生える、と記されています。
どこにでも見られる花ではないようです。
シロウマアサツキの群落
振り返れば、青空を背にした前岳が、印象的な姿を見せています。
空に雲一つありません。
前岳遠望
行く手を見れば、木道が蛇紋岩の草原に弧を描き、一筋の飛行機雲が、青空を切り裂くように直線を描いていました。
※他の記事へは 花の山 index をご利用下さい。
他の旅の記事へは 旅の目次 をご利用下さい。