第158回記事(2013年8月26日(月)発行。次回9月2日(月)発行予定)
<はじめに>
今回から、5Sについて、実際の本の内容について書いていきます。
最初に取り上げさせていただくのは、平野裕之先生の「係長・班長のための 5S定着化 ワン・ツー・スリー」です。この本はタイトルにわざわざ「係長・班長のための」という言葉が入っているので、”企業の成果に繋がる5S”の調査の視点からみると関係が薄そうですが、中身を読んでみると、現場での”5S”を戦略的に”企業の成果”に繋げていく内容があり取り上げました。(読み返す度に評価がアップしていきました。)
<外観>
<おすすめ度>
他の本ともいろいろな点で比較し、一番おすすめ度が高いです。そのため、5点満点で5点としておきます。
<内容>
この本の一番のおすすめポイントは、先ほども書いたように、現場での”5S”のオペレーションを進めることで、”企業の経営的な成果に繋がる”点です。その点を具体的に説明します。
5Sの「整理」の一般的な定義は、「必要なものと必要でないものを区分けし、必要でないものを捨てること」となります。ということは、一度区分けをしたらそれ以上のすることがない(もしくはあまりない)ことになります。つまり、現場活動はマンネリ化に陥りやすいことになります。
しかし、マンネリ化に陥いらないようにするため、5S活動は三つのステップに分かれています。
第1ステップは行動する5S
第2ステップは効果ある5S
第3ステップは予防5S
具体的に「整理」について行うことをことを記載すると、
第1ステップでは、(要るものと要らないものを分け)要らないものを捨てる
第2ステップでは、要るものの数量を規制する
第3ステップでは、不用品(要らないものと必要量をオーバした要るもの)が出ないよう予防する
となります。5Sの定義では、第1ステップのみの行動になりそうですが、さらに数量の規制、そして予防に進むことで、活動のマンネリ化が防げる筈です。
(モノの)種類の(質的な)規制 → (モノの)量の(量的な)規制 → (モノの)予防規制
さらに、「企業の経営的成果に繋がる」という点からは、在庫品の数量を規制することで、在庫金額を圧縮でき、キャッシュフローを増やすことが出来ます。
以上では「整理」を取り上げて説明をしましたが、同様に「整頓」「清掃」「清潔」「躾」についても3ステップでの進化・マンネリ化防止が記載されています。
<目次>
STEPⅠ まず工場をキレイにしよう【行動する5S】
STEPⅡ 5Sを習慣化しよう【効果ある5S】
STEPⅢ 一流の5S工場にしよう【予防5S】
<データ>
著 者:平野裕之
出版社:日刊工業新聞社
出版年:1992年
定 価:1900円+税
ページ数:158p
版 型:B5
井上三右衛門