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ブログ 「晴耕雨読 in 神鍋高原」
第277回記事(2016年2月22日(月)配信)
ものづくり・工場改善 経営改善(4) 「攻めのコントロール管理法」 山口俊之
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今回は山口俊之先生の「攻めのコントロール管理法」という本を紹介します。この本を紹介しようと思った理由は、本の中で指摘されている企業の第3の利益(=コントロール管理利益)について紹介したいと思ったからです。コントロール管理利益とは、製造現場でのいろいろなバラツキを抑えるようにコントロール管理することで得られる企業利益です。
本の内容を紹介する前に、本の表紙を見てください。
4つの見出しが書いてあります。
①利益を増大する
②攻めのコントロール管理法
③真の実態をITで正確に見える化!
④多品種少量生産での見えずらいムリ・ムラ・ムダ・をあぶり出す!!
企業の利益をなぜ増大できるのかを、①から④の順番の逆、つまり④から①の順番に説明していきます。
④最近のものづくり企業では、多品種生産・少量生産・短期間生産の傾向が強まっており、生産ラインでの”外乱”が多発していろいろなロスが増大しています。たとえば、多品種生産・少量生産の傾向がますます強まり、段取り替え回数が増加して、段取り替えロスが増大しています。また、顧客からの急な注文により、生産オーダーの順番が急に変更され、オーダー外乱が発生して、段取り替えロスが発生します。
これらのロスはムダ・ムリ・ムラと密接に関係しているもので、たいへん見えずらいものです。
③この見えずらいロスを無くすため(もしくは減らすため)、生産現場で発生しているミクロのデータを、IT(具体的には、POPシステム+ITツール)を使用することで見える化する。
②その上で、データを活用しながらPDCAのサイクルを回すことでコントロール管理する。コントロール管理するとは、コントロール目標を決め、現在の実態値を把握してそれをフィードバックし、目標値と実態値の差を縮めるように調整することです。
①このコントロール管理により、売上げアップによる利益や、コストダウンによる利益によるものでない、第3の利益(いろいろなバラツキを抑えるように経営資源をコントロールして生み出される利益)を出すことで、企業全体での利益を増大させる。
以上が、企業の利益の増大のさせ方です。この具体的なコントロール管理として8つのものが提示されており、個別実績原価コントロール管理とか、在庫コントロール管理とか、品質コントロール管理などが挙げられている。確かに、品質コントロール管理では、成り行きによるFコスト値ではなく、コントロール管理でを抑え込まれたFコストにする必要がありことには同感である。
とにかく、多品種生産・少量生産の中で利益をだすことに苦労されている方にはお薦めの本になります。
井上 直久(記)