彼の辛さは彼にしか分からない。
見てて辛そうだな、と、こちらは想像しても本当の辛さは分からない。
症状がでない、そんな時はきっちり頑張っている。
もちろんこれからもその辛さと付き合っていかなければならないのだろうが、それに対する対処をしている。
毎日コツコツコツコツ。
一回だけでは症状に改善はみられないのだろうが、毎日毎日コツコツと続けているから、身体つきまで変化してきた。
身体つきが変化してきたから、パフォーマンスが向上してきた。
パフォーマンスが向上してきたから、言葉にも力強さが伴ってきた。
ぜひこのまま続けてほしい。
そして、後輩が出来て、その取り組みが自分をここまでの選手にしてくれたんだ!
と力強く語って欲しい。
選手のために頑張る事が巡り巡って自分の人生を豊かにし、それが次の活力に繋がっている。
そんなコーチをたくさん見る事が出来て、今はやはり充実しています。
選手のために頑張る、そうやって40有余年も頑張ってこられた先生と昨年は長い合宿を過ごす事が出来ました。
たくさんの事を言葉だけではなく、行動で示して頂いたのは本当にありがたい事でした。
しかし先日、突然他界されました。
この訃報に多くの方が落胆し、涙していたと草薙コーチから聞きました。
ところが亡くなった翌日の話です。
朝から選手、OBが集まっていつも通りに練習をするというのです。
「練習を休んだら、故人に怒られますから。休んでも喜んではくれませんから。」
亡くなってはいません。魂は生きて、想いは生き続けていたのです。
やはり水泳は素晴らしいスポーツだし、水泳は泳ぎだけを教えているのではない、と実感しました。
水泳は人を育てているのです。
上手く行かない事、悩む事、思い通りにならない事、社会では普通にあります。
人の協力無くしては一人では生きてはいけない事。
人を裏切らない事。
最期の最期まで、いや、亡くなってからも教え続けてもらいました。
今日からグアム合宿が始まりました。
大学のみんなとは練習場所が違っても「想い」は一緒です。
心を一つにして同じ様に苦しい想いを共有して、乗り越えよう。
「苦しくても大きな声で返事をする」
出来る事をやらないのは一番嫌っていた先生でした。
我々も出来る事、出来ていた事をもう一度見直すことを教えられました。
合掌