8月も良い本に沢山出会えました。
今月のイチオシは、シリーズ最終巻のみをつくし料理帖
シリーズの「天の梯」
大団円の最終巻、高田郁先生に感謝です!
伊岡瞬さんの「代償」もお勧めです。
2014年8月の読書メーター読んだ本の数:50冊
読んだページ数:15457ページ
ナイス数:4671ナイス
てらさふの
感想有名になり、ウィキペディアで経歴を綴られるようになるために、堂上弥子はビジュアルの美しいニコを最年少芥川賞作家に仕立て上げる。2010年代を疾走する10代の女の子になりたいと願う弥子が痛々しい。ひいちゃんとニコの穏やかな暮らしが戻ってくれて安心した。弥子がこれからどうなって行くのか、この先の物語はないのかしら?
読了日:8月31日 著者:
朝倉かすみ作家と猫のものがたり (とんぼの本)の
感想猫を愛する女性作家10人のエッセイ集です。愛猫の写真と、猫と暮らす幸せと痛みを語る。猫は人に飼われているのではなく、人間の方がこの愛すべきものたちの僕となっているのではと思いました。私もいつかは猫と暮らしたいなぁ。。
読了日:8月31日 著者:
三人目の幽霊 (創元クライム・クラブ)の
感想憧れの編集者になった間宮緑が配属されたのは、「季刊落語」という年4回発行の落語専門誌。唯一の上司、牧大路とともに寄席や噺家さんたちにまつわる摩訶不思議な出来事を探る。落語を知っていれば、もっと楽しめた作品でしょうね。牧さん、凄過ぎ。
読了日:8月31日 著者:
大倉崇裕虚空の糸 警視庁捜査一課十一係 (講談社ノベルス)の
感想警視庁を相手に都民1300万人を人質にして2億円を要求する脅迫状が届く。犠牲者は一見何の接点もなさそうな中年の男性たち。塔子たち11係の活躍は見事だけど、真犯人のパターン、シリーズ1作目とちょっと似通っていると感じました。シリーズもあと1冊、鷹野と塔子のコンビはどうなるのかな?
読了日:8月30日 著者:
麻見和史ピンザの島 (一般書)の
感想ピンザとはヤギのこと。離島でヤギのチーズを作ろうと努力する若者、島の文化はヤギは食用にするもの。かつて父が夢見たヤギチーズ作りを志す涼介と、父の親友で共同経営者であったハシさん。島特有の閉塞感と排他性、涼介の未来はどうなるのか、作者はそれを読者の想像にまかせたのでしょうか?ドリアンさん2作目、文章は読みやすくて結構好きです。
読了日:8月29日 著者:
ドリアン助川黄金の烏の
感想シリーズ3作目、今回は八咫烏の世界を脅かす大猿との戦いがメイン。面白くて一気に読了。雪哉がグングン成長していくのが頼もしい。次作を楽しみに待ちたいですね。
読了日:8月29日 著者:
阿部智里偽りの学舎 (小学館ミステリー21)の
感想軽井沢で小さなペンションを経営している来生の元に、警察官時代の部下が奇妙な依頼に訪れる。大手の進学塾に脅迫状が舞い込み、しかも差出人は2年前に自殺した元講師だと。塾の内情や、テキストの選定など、未知の世界をちょっと垣間見ることが出来てそれなりに楽しめました。でも、さらりと読めた分、すぐに中身を忘れるかも?
読了日:8月28日 著者:
青木知己グレイの
感想ふと手にした一枚のアルバイト募集のチラシ。お金に不自由している大学2年生の波田は、「北川社会情報研究所」の街頭アンケート要員として働き始める。1983年という時代感が良く描かれていて、バブル期に向かう東京の様子が面白い。これから一番儲けられるのは、情報。当時からそこに目をつけていた人達がいたのでしょうね。大学を卒業してからの波田の暗躍ぶりもちょっと見てみたくなりました。いつもの堂場さんの小説とちょっとカラーが違っていたけれど、これはこれで良し。
読了日:8月28日 著者:
堂場瞬一いろは匂へどの
感想恋愛ものは、やっぱり苦手ですねぇ^^; 何故にいい加減な男に惚れる?藤代さんが大人で、紫さんは…。ブライアンの良い人ぶりだけが印象的でした。京都の雰囲気や、草木染めのこととか、恋愛以外のことは、好きなタイプのお話でした。次を期待。
読了日:8月27日 著者:
瀧羽麻子潮鳴りの
感想これは良書!一度は躓いた男「櫂蔵」、襤褸をまとってうらぶれた暮らしをしたことから「襤褸蔵」と呼ばれた武士が、弟の切腹を機に落ちた花をもう一度咲かすべく戦う物語。梟の鳴き声は「襤褸着て奉公」、なるほど!
読了日:8月27日 著者:
葉室麟衣更月家の一族 (ミステリー・リーグ)の
感想プロローグの情死事件。そして廣田家・楠原家・鷹尾家と続く殺人事件。巻き込まれた形の彼の死は、ちょっと気の毒過ぎる。そして何故に彼はそこまでして彼女を守りたかったのか?その辺がちょっとスッキリしなかったけど、血筋が絡み金銭が絡むと人間はこうも浅ましく汚くもなるという物語。作者はこういう複雑な血縁関係の物語が得意なのかも。鬼畜の家、殺意の構図に比べると作品としての出来栄えは今一つの気がします。
読了日:8月27日 著者:
深木章子奇跡の学校―おといねっぷの森からの
感想読友さんの感想でこの本に出会いました。北海道北の小さな村、音威子府(おといねっぷ)の美術工芸高校の校長先生の手記。豊かな自然と理解ある教師に才能をはぐくまれる高校生たち。中学校時代に不登校だった子も、周りに馴染めなかった子も、ここで才能を開花させ、成長して行く。子供にとっての最大の教育環境は教師であると再確認しました。そして、この村の自然や村人たち、理解ある家族や親しい友人、どれ一つが欠けてもここに出てくる生徒たちの成長はなかったでしょうね。良い本でした。
読了日:8月26日 著者:
石塚耕一きりきり舞いの
感想十返舎一九の娘舞と、葛飾北斎の娘お栄のドタバタお江戸コメディー。才能はあれど奇人変人と呼ばれた天才たちとその娘、父に対する敬愛と、愛するが故の憎らしさ、面白く読みました。
読了日:8月26日 著者:
諸田玲子小説 となりのトトロ (アニメージュ文庫)の
感想アニメでお馴染みの物語。でも、こちらではサツキのお姉ちゃんとしての心の動き、お父さんのお仕事の話、カンタのお家のことも詳しく描いている。 何よりお母さんの実家のことまで。こちらも夏に読むのにピッタリでした。長女の私はサツキの気持ちに共感!
読了日:8月25日 著者:
宮崎駿,久保つぎこ初恋料理教室 (一般書)の
感想京都の町屋で開かれる愛子先生の料理教室。土曜日の教室は男性のみ。集まる4人はそれぞれに個性的。建築家の智久、フランス人パティシエのヴィンセント、寡黙な佐伯、女装のミキ。こんな料理教室が近所にあったら、私もぜひ教えを請いたいなぁ。巻末のレシピも素敵で、これは文庫待ちですね。年齢的に一番近い佐伯さんの章が印象的でした。
読了日:8月23日 著者:
藤野恵美桃ノ木坂互助会 (文芸書)の
感想有川さんの三匹のおっさん風な作品を期待して読み始めたら、もっとダークでドロドロしていました!桃の木坂の平穏な生活環境を守るための老人たちの互助会と、DV男に復讐をする女のターゲットは同一人物。中々スリリングな展開で面白かったです。歳を取っても男と女の感情は難しいものですねぇ。
読了日:8月23日 著者:
川瀬七緒蝿の帝国―軍医たちの黙示録の
感想昔、どなたかの「戦争とは不潔そのものである」という文章を読んだ記憶がありますが、ここに綴られた15編の軍医の語ることは、まさにその通り。15編の中には正直ここに載せなくても良いのでは?と思った物も数編ありましたが、原爆投下後の広島のことや、特攻隊員を送りだす立場の方のこと、東京大空襲で家族を亡くされた方の3編は強く印象に残りました。8月に読む事が出来て良かったです。
読了日:8月22日 著者:
帚木蓬生人生オークションの
感想東京ロンダリングが中々面白かったので、こちらも。表題の「人生オークション」は就職に失敗した瑞希が、離婚してアパートで暮らし始めた叔母と、ネットオークションで生きる力を取り戻して行く物語。もう1編の「あめよび」は恋愛もの。どちらもサラリと読めるのですが、あまり印象に残らないかもしれません。若い作家さんなので、これからが楽しみですね。
読了日:8月21日 著者:
原田ひ香水晶の鼓動 警視庁捜査一課十一係 (講談社ノベルス)の
感想シリーズ第3弾。一見猟奇的な連続殺人かと思われた事件と、ほぼ同時に起こった連続爆破事件。今回は鷹野が冴えていましたね。塔子が失敗をして、それをカバーするという活躍が出来たのも、コンビが上手く機能しているからこそで。次も読みたいと思います。
読了日:8月20日 著者:
麻見和史村岡花子童話集 たんぽぽの目の
感想とてもやさしい童話集でした。花子さんが小さな子供たちに読み聞かせてくれているような、そんな気持ちで読了しました。
読了日:8月20日 著者:
村岡花子天の梯 みをつくし料理帖 (ハルキ文庫)の
感想雲外蒼天、まさにその通りの澪の人生。厚く覆われた雲の切れ間から美しい青空がのぞく、まさに素晴らしい物語の完結。「食は人の天」、この言葉を体現しゆく澪の生き方に感動しました。高田先生、素敵な物語をどうもありがとうございました。また八朔の雪から読み返したくなりますね。
読了日:8月20日 著者:
高田郁アンダーリポートの
感想再読。でも、全く内容に記憶がなかったので、ほぼ初読み状態。検察事務官の古堀と、15年前に交流があった隣人母子。そのころ交際していた女性とその叔母。15年ぶりに当時4歳だった娘が訪ねて来たことで、記憶の底に沈んでいた事件の謎を追いかけると言う物語。出てくる女性たちがみんな嫌いなタイプ、そして古堀も何だか煮え切らない男性という印象しか残らず。ここに感想を書きとめておかないと、多分また忘れそうなので記録。
読了日:8月19日 著者:
佐藤正午犯罪者 クリミナル 下の
感想あぁ、面白かった!脚本家さんらしく、ストーリーの展開が見事。幻夏を読んでからこちらを読みましたが、この先追いかけたい作家さんがまた一人増えました。ネタバレになるので書きません。ぜひ読んでみてくださいね。
読了日:8月19日 著者:
太田愛犯罪者 クリミナル 上の
感想深大寺駅前で起こった無差別殺人事件と、乳児に発症した謎の奇病。命を狙われたひとりの少年と、はみ出し者の刑事、売文屋。ストーリーの展開がスピーディーで読みやすい。感想は下巻で。
読了日:8月17日 著者:
太田愛穢れた手の
感想同期の警察官高坂が汚職の疑いで逮捕され、処分保留で20日後に釈放された。彼の名誉を取り戻し、警察官として復職させたいと一人で事件を追う桐谷。うーん、これは堂場さんの作品としては、やや不満足。面白くないわけではありませんが、桐谷の一人相撲と迂闊さだけが印象に残りそうで。20年来の同期は、20年同じ疵を負い、それがすべての根っこにあったとは。冬の松城市、イメージとしては松本市が舞台なので、寒い時期に読んだ方がリアルでよかったかもしれません。
読了日:8月14日 著者:
堂場瞬一給食のおにいさん 卒業 (幻冬舎文庫)の
感想自分の目標をしっかりと見つけられた佐々目。最後、泣かされました!黒チワワ、素敵過ぎる。佐々目宗、卒業おめでとう。
読了日:8月13日 著者:
遠藤彩見満月の道: 流転の海 第七部の
感想シリーズも第七部に入り、伸仁が高校生に。熊吾の事業も中古車ブームに乗って上り調子かと思われたら…。同じ失敗を繰り返してしまうのも、この人の性格なのでしょう。すでに第八部を執筆中で第九部で完結ということだそうで、先の物語を楽しみに待ちたいですね。これも、文庫をまとめて一気に読み切りたいなぁ。
読了日:8月13日 著者:
宮本輝代官山コールドケースの
感想17年前に起こった一人暮らしの女性殺人事件。代官山が再開発される前の古いたたずまいが残っていた頃に起きたその事件は、被疑者死亡という形でけりがついていた。時を経て、川崎市で起きた女性暴行殺人事件で同じDNAの残留物が見つかる。水戸部は女性捜査員朝香とコンビを組み、親友の科捜研職員中島の協力を得て丹念に資料や当時の関係者を探って行く。前作「地層捜査」でも感心したけれど、本当に丁寧な地形描写で、その地をよく分かる人にはたまらない読み心地ですね。面白かったです。
読了日:8月12日 著者:
佐々木譲ホテル・ピーベリーの
感想教員をやめ、長すぎる休みを過ごすためにハワイ島の小さなホテルピーベリーに滞在することを決めた木崎淳平。お客の一人が不可解な死に方をし、ホテルを出て行ったもう一人の客も事故で亡くなる。無愛想なオーナーとホテルを一人で切り盛りする妻の和美。そして死んだお客の本当の身元は?さらりと読めてしまうので、旅のお供には良いかもしれません。
読了日:8月11日 著者:
近藤史恵還れぬ家の
感想年老いた父の認知症がきっかけとなり、老々介護の母を助ける作家早瀬とその妻。地元にお住まいの佐伯さんの実体験を元に書かれています。去年の暮れに父を見送ったばかりの私にも、身につまされるようなことが多々。作者と同年代の老親を持つ人には共感できる本ではないでしょうか。今、この本のその後を読売新聞で「空にみずうみ」として連載中です。
読了日:8月11日 著者:
佐伯一麦おれたちの故郷 (おれのおばさん)の
感想震災の後、全国的に耐震強度を見直す動きになり、陽介のおばさんが営む「魴鮄舎」が閉鎖の危機に。バレーボールの一流選手として活躍する卓也や、陽介の学友たちも巻き込んでの騒動の結末まで。恵子おばさんは自らの悩みを一人で抱え込みすぎてる感あり。さて、目標が定まった陽介のこれからはいかに?さらりとした内容であっという間に読了しました。
読了日:8月10日 著者:
佐川光晴そして、星の輝く夜がくるの
感想3.11から3カ月後、神戸から東北の海辺の町へ派遣教師としてやって来た「小野寺徹平」。子供たち、その親、教師、ボランティア、そして徹平自身の心の動き。実話をもとに丹念に描かれていると思います。私は遠間小学校で一番の人物は校長先生だと思いました。
読了日:8月9日 著者:
真山仁蟻の階段 警視庁捜査一課十一係 (講談社ノベルス)の
感想如月塔子シリーズ2作目。南品川で不可解な殺人遺体が発見され、遺体の周辺に置かれていた不思議な遺留品。ヴァニタス画とよばれるものを模した、その謎を追う十一係のメンバーたち。中々面白く、楽しめました。折を見て3作目も読もうかな?
読了日:8月9日 著者:
麻見和史破門 (単行本)の
感想直木賞受賞作。映画製作への出資金詐欺にあった二宮と桑原は、資金回収のために奔走する。単純な詐欺事件ではなく、組同士のトラブルも絡んで関西、マカオ、愛媛と舞台が移り変わる。関西の地理が良くわからないのと、ギャンブルに全く興味がないので、ちょっと入り込み難かった。話の展開はスピーディーで一気に読了できました。シリーズ5作目ということなので、さかのぼって読んでみることにします。
読了日:8月8日 著者:
黒川博行冠・婚・葬・祭の
感想「冠婚葬祭とは、元服・婚礼・葬儀・祖先の祭祀のこと」と中扉にありました。まさにその4つの大きな儀式を描いた4つの短編。どれもみな味わい深く、素敵な物語でした。中島さんの文章は温かみがあり、好きです。
読了日:8月8日 著者:
中島京子とっさの方言 (ポプラ文庫)の
感想出身地を離れて四半世紀、テレビで故郷の言葉を聞くと懐かしく、しかも年配の方の言葉はテロップをつけないと他の地方の方々には通じない。そこに居るときは何の疑問もなく使っていた言葉が地域限定だと分かった時の衝撃(笑)面白く読ませてもらいました。そうそう、模造紙のことを「大用紙=たいようし」というのは、新潟県のみ。これを田舎に帰ってみんなに教えた時のビックリ顔が忘れられません。
読了日:8月7日 著者:
小路幸也,大崎善生12月の向日葵の
感想高校の同級生で同じ柔道部員の二人、香坂一と弓削慎二。ヤクザと刑事という真逆な人生を歩むことになる。ヤクザなのに一の生き方にどんどん共感してしまい、慎二は真面目で正義感もあるのに、何故か好きになれず。ドラマにしたら面白くなりそうかも?
読了日:8月7日 著者:
永瀬隼介<