気の向くままに

山、花、人生を讃える

面白かったこと、感動したこと

2010年12月09日 | 人生
一昨日ことだが、剪定をしながらよもやま話をしていた時のこと、先輩が、
「うちの娘は出戻りでね、孫が『僕にはどうしてお父さんがいないの』と聞いてくる時があるんだけど、そういう時は何と答えていいのか困るね」と言う話をして来た。わたしは「ああ、そうか」と思い、爺ヤとしてのそんな気持ちも分かる気がしたので、唐突だったが飯田史彦の本に書いてあった話をした。

「小さい子どもたちは、けっこう前世や生まれてくる前のことを記憶しているらしく、この夫婦は離婚する可能性が高いことを分かっていて、自分に試練を与えるために、そういう夫婦を選んで生まれてくる子供もいるらしいよ」と言った。
すると、うれしいことに、こんな唐突な話にも、
「ほう、そうかね!」という反応。それで続けて、
「小学校入学前の5歳ぐらいまでだと、けっこう生まれてくる前のことを覚えていたりするらしいよ」

そんな話をしているところへ、60代後半と思しき家の主人から「お茶が入りましたので、休憩して下さい」との声がかかったので、今度はお茶をいただきながら、話の続きをした。

「産婦人科学会でも前世を記憶している子供たちのことを論文に発表しているけど、親が子供の言うことをきちんと聞いてやると、生まれてくる前のことを話したりする子供も少なくないらしい」と言った。
すると、今度は別のもう一人が、
「産婦人科学会か何か知らんけど、俺は、どうも前世なんて言うのは胡散臭い気がしてしょうがないなあ。そんなこと言っても、結局なにも証明なんできないんだろう?」と言う。

こうなると受け売りながら私の得意とするところ、ここぞとばかり私は言う。
「そりゃあ証明はできんよ。だけど、学校で先生が自殺しちゃあいけませんよ、いじめはダメですよというと、子供たちが素直な気持ちで『どうしていけないの?』と聞いてくるらしいんだよね。すると、先生もどうやって答えていいのかわからないらしい。そりゃあ、死んだら何もかもおしまいというなら、自殺はいかんという理由が成り立たない。世の中にはいじめられたり、借金でやくざに追い回されたり、病気で苦しんで『死んだ方がいい』と言う人はいくらでもいる。死んで何もかもおしまいになら、もう苦しまなくていいんだから死なせてやればいいはずなのに、そうはならん。やっぱり、そこに何かあるんじゃないの?」

すると、その人曰く、
「お釈迦さんが色即是空、空即是色とか言ってるらしいが、最近の物理ではそれが証明されているらしいね」と来た。これには私も意外だったが、喜んで言った。
「あれ、よく知ってるじゃないですか。そうそう、現代の物理では昔から宗教で言われてきたことが証明されてきてるんですよねえ」
すると、今度は
「そんなこと言ってるようでは、あんたは政治家にはなれんねえ」と言いだした。それで、わたし
「おかけで行くところもなく、シルバーへ来ました」と答えると、「やっぱし」ということで意見が一致し、次は政治の話になった。

仕事を終って愉快な気持ちで家に帰ると、面白そうに笑って聞いていた主人の顔が頭に浮かんで来る。きっと前世やら、色即是空やら、現代物理などという意外性が面白かったに違いない。それに剪定屋の口から出てくるアンバランスが、また輪をかけて面白かったのだろう。そんなことを思い出していると、またまた面白くなって、一人笑えたことだった。


昨夜は「クローズアップ現代」で、「延命治療の是非を考える」ということで、幼いころから重い病にかかっている18歳の若い女性とその家族ことを紹介した番組を見ることになった。その若い女性は「もう延命治療をしない」と決意し、その両親も、その娘さんの意思を尊重していたとのこと。

記者のインタビューに、18歳の若い娘さんが「長生きすることよりも、いかに生きるかが大事なことだと思う」と手持ちのホワイトボードに書いて、何の悔いもないというような明るい笑顔で答えていたのが感動的で印象的だった。

ところがその後、腎不全を併発して全身がむくんできた。治療を受けるとすれば、長時間の人工透析が必要になるとのことだったが、父親はいよいよ娘の死が近づいてくるのを感じて、まだ生きられるものなら生きてもらいたいと願うようになり、娘さんに「生きられるチャンスがある限り、できる限りの治療を尽くして、少しでも長生きしてもらいたい」と、娘を説得しはじめた。しかし、娘さんの意志は固く、彼女は言った。
「私はこれまですべての治療を受けてきた。私は、最後まで家族と共にいたい。気持ちは変わらないのだから、もう、私を苦しめないで」と。
父親もそれ以上は言えず、延命治療はしないで娘さんは長い闘病人生を終え、今年の9月に旅立ったとのことだった。

医師のコメンテーターは、キャスターの「これを見て先生はどんなことを感じられましたか?」の質問に答える中で、「この中で一番共感したのは、やはり、お父さんの少しでも長く生きいてもらいたいという気持ちに、一番共感しましたね」と答えていた。

だが、私が一番共感したのは、娘さんの「わたしはすべての医療を受けてきた。もうこの辺でいいだろう」というような気持ちに一番共感し、そのけなげさに感動させられた。
それだけに、この父親には娘さんに生きてもらいたいと説得するのではなく、娘さんの意思を確認するにとどめてほしかったと思う。娘さんはきっと旅立つ時が来ていたと思うし、死を覚悟している明るい笑顔が何よりもそれを物語っていたと思う。

ということで、愉快と感動の印象に残ったこの2日間の出来事でした。
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