こぶた部屋の住人

訪問看護師で、妻で、母で、嫁です。
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誰が気ずくの?助成制度

2011-04-11 21:34:01 | 訪問看護、緩和ケア
すでに長いこと訪問している患者さんのご家族に、訪問看護で伺うことになりました。
以前から、「お手伝いできますよ。」とお話ししていましたが、お若いこともあり、自律の強い方でご自分で頑張って通院していました。

先日、初回訪問すると、人工肛門のパウチが残り少ないから注文しなきゃ・・と電話をかけていました。
「高いんだよねこれ・・」

「あれ?助成を受けていないんですか?」と聞く「え?だって、ずっと前に補助はないの?って聞いたらないって言われたんだけど。」とのこと。

あちこち調べてみたら、当初一時的なストマとして作られたため、身障の対象にならなかったのだと言う事がわかりました。

でも、それからすでに4年近くたっています。
病状の変化があり、治療も次々行っているうちに、閉鎖できる可能性はずいぶん前に無くなっていました。
もちろんこれからもです。
パウチは、自費購入するととても高価なものです。
さらに、ペーストやパウダーや保護剤など加えると、とても高くて経済的に厳しい状況では、なかなか思うように揃えることはできません。

さらに、腎瘻も造られたので、どう考えても身体障害者1級を取ることが出来ると思うのですが・・。

人工肛門に装着するパウチは、いろんな会社からいろんな種類が出ていて、最初はWOCナースとかが選定してくれていろんなアドバイスをしてくれますし、なにかトラブルがあればストマ外来などで相談できるようになってきています。
だいたい自費で購入すると、ワンピースタイプのもので6枚から10枚1箱で5000円から10000円前後と幅があります。
その人のストマに合うものを、そこから選定します。

通常は、ストマを作って半年すれば内部障害で身体障害者の申請をすることが出来ます。


5 内臓の機能障害
 4 ぼうこう又は直腸機能障害
等級表1級に該当する障害は、次のいずれかに該当し、かつ、自己の身辺の日常生活活動が極度に制限されるものをいう。
a.]腸管のストマに尿路変向(更)のストマを併せもち、かつ、いずれかのストマにおいて排便・排尿処理が著しく困難な状態(注11)があるもの
b.]腸管のストマをもち、かつ、ストマにおける排便処理が著しく困難な状態(注11)及び高度の排尿機能障害(注12)があるもの
c.]尿路変向(更)のストマに治癒困難な腸瘻(注13)を併せもち、かつ、ストマにおける排尿処理が著しく困難な状態(注11)又は腸瘻における腸内容の排泄処理が著しく困難な状態(注14)があるもの
d.]尿路変向(更)のストマをもち、かつ、ストマにおける排尿処理が著しく困難な状態(注11)及び高度の排便機能障害(注15)があるもの
e.治癒困難な腸瘻(注13)があり、かつ、腸瘻における腸内容の排泄処理が著しく困難な状態(注14)及び高度の排尿機能障害(注12)があるもの


この中に当てはまれば、医師に診断書を書いてもらい、身障が下りるまでに1か月位まち、その後各区役所に書類を提出して助成金を出してもらえるようになります。
これは所得に応じますが、非課税であれば購入に十分な助成金をもらえることが出来ます。


で、この方の場合も、今月中に申請すれば、パウチの助成も4月から受けられることになりそうです。

ただ・・。
今回、初回訪問で初めて気が付いたわけですが、今まで病院や区の担当ケースワーカーは、なんで教えてくれなかったのだろうかと不思議です。

経済的にも家族背景も、とても大変で区のケースワーカーも関わっていたのに・・・

長い間に、一時的と思ったストマが永久ストマになったことも、そのため何年も苦しい経済状況の中、自費でパウチを買っていることも、病院やケースワーカーからも、すっかり忘れ去られていたのでしょうね。

もう少し早く関わらせてもらえれば、もっといろんなことが整備できたのですが、ご家族の訪問をしつつ、いつもはらはら見ていることしかできませんでした。
ですから、いよいよ辛くなって、やっと私たちを受け入れてくれた時は、正直ほっとしました。

ただ、パウチがはがれやすく、寝ていることが多いなかで、ガス抜き穴もなくいつもガスでパンパンに膨らんでいます。

他にも皮膚トラブルがあるので、パウチの選定をし直さなければなりませんが、この数年通院先の病院でWOCナースの指導も受けた事がないとのことでした。

「お金が下りたら、もっといいパウチが買えるね。他にも必要なもの有るんだよ。」

ちょっと安心したように、そんなことを言っていました。


私たち訪問看護師は、医療的な事だけやっているわけではありません。
今向き合っている人が、もっといい環境でいられるために、抜け道、横道回り道をいつも探しています。

小さなことでも、私たちの持っているネットワークで、いい案が見つかるかもしれません。

そんなことが出来るのも、訪問看護なんだけれど、もっと早く出会えたら・・と思う事がたくさんあるんですよ。