こぶた部屋の住人

訪問看護師で、妻で、母で、嫁です。
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KM-CART(腹水ろ過濃縮再静注法)勉強会

2011-04-21 21:23:22 | 医療機器・介護用品
昨年10月から、連携先である『めぐみ在宅クリニック』で取り入れられたCART。
以前にも記事(CART腹水ろ過の実際)にしましたが、今回はその後の取り組みのまとめともいえる勉強会です。

そこで、CARTの担当として、腹水採取中のケアや管理、さらに採取した腹水のろ過までをまかされ、そのために一生懸命勉強をしてきたクリニックナースIさんが、今までの経験と学習の集大成として、勉強会を主催しました。
            

もちろん、院長はじめCARTをめぐみ在宅に持ち込んだK先生のお話もあり、メーカーさんでプライミングの技術指導をしてくれた旭化成クラレメディカルの担当さんの説明ありで、すごくいい勉強会となりました。

このところ、この勉強会の準備で心身ともにへろへろだったと思えるIさん、80名近い参加者の前、よく頑張りました。めっちゃよかったです!

CARTの在宅管理の実際、効果、問題点、残された課題はもちろんのこと、在宅緩和ケアで腹水に苦しむ人が、一時でも腹水の苦痛から解放され、心からの笑顔を取り戻すことが出来た事例を熱く語ってくれました。

そのうえで、CARTがいいことばかりではなく、適応には慎重な診断が必要な事、また重篤な副作用を起こす危険性があることも踏まえ、そのうえで地域の訪問看護ステーションとどう連携していったらよいのかという課題も残し、今後は地域でのCARTチームを作っていこうという話となりました。

その点では、K先生も「比較的新しい治療法であり、まだエビデンスも確立していない治療法です。患者さん自身が自分から調べて、ぜひやってほしいと来る場合とは違い、こちらからこういう方法がありますと選択肢として提供する場合とでは、実際行った時の受け取り方が違ってくることもあります。
これがいいというからやったのに・・・ということにならないよう、十分な説明と適応の判断をしていかないといけません。
これはすごくいい!という話だけでなく、バランスのとれた緩和医療の一つとして、慎重に行っていかなければいけないと思います。」という話もあり、ただ新しい治療法に飛びつくだけであってはいけないと改めて感じました。

ただ、苦しむ人を前に、どうすればこの苦しみを少しでも楽にすることが出来るのかを、常に前向きに考え、そこに一つの光明があれば、それをなんとか取り入れようとするめぐみ在宅の姿勢は、やはりすごいなと思います。
いろいろ残された課題はあるものの、まずは一歩進まなければ、何も変わっていは行きませんからね。

今回、エコーも導入されたということなので、ルートの確保ももっと容易になっていくと思われ、末梢の血管確保に冷や汗をかかなくてよくなれば、私たちにとってもすごくうれしいことです。

また、残念なことにこのCARTを瀬谷区に紹介し、めぐみ在宅の非常勤医師として、とても暖かな眼差しで訪問診療をしてくれていたK先生が、めぐみ在宅を退職されることとなりました。
K先生が持ち込んだもう一つのもの、サイボウズLiveは、すっかり私たちのなかでは定着しました。
K先生の患者さんを中心としたサイボウズLiveは、ケアマネ、医師、クリニックスタッフ、訪問看護師、訪問入浴、薬剤師、栄養士、歯科医師、ヘルパー全員がタイムリーに情報を書き込み、必要なケアに繋がっています。
ネット上での頻繁な情報交換は、サービス担当者会議なんて全く不要なほどに、全員で情報を共有できる場となっています。
バトンタッチしたした次の主治医とも、ひき続き使っていきたいと思います。
K先生が、新しいフィールドでも、温かい在宅診療を続けられることを確信しています。