こぶた部屋の住人

訪問看護師で、妻で、母で、嫁です。
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瀬谷区医療・福祉セミナー「糖尿病困難事例の在宅アプローチ」

2012-02-03 23:51:49 | 訪問看護、緩和ケア
年に一度の、瀬谷区訪問看護ステーション連絡会のセミナーが、聖マリアンナ横浜医科大学西部病院で行われました。

西部病院ホームケア、瀬谷ケアマネット代表、瀬谷区役所高齢福祉課との合同連絡会で、1年間練りに練ってのセミナーです。

事例紹介の後、いつものように多職種でのグループワークも行われ、グループごとに「自分たちだったらこう考える、こういう計画を立てる」などを話し合ってもらいました。
そして、いろいろな意見をグループ単位で発表して頂きました。

この事例は、妻がいないことが理解できず、ひどい時は3分おきにケアマネに妻の所在を聴くために電話をしてくる状態で、亡くなったことを告げるとそのたびに初めて知ったように驚くと言う事を繰り返していました。
生活はめちゃくちゃで、薬はほとんど飲めていず、薬が減らないので受診をしないという悪循環。
食事は、水浸しの謎の食品が放置されており、何を食べているかわからない状態。
サービスはことごとく拒否。かろうじて週2回のヘルパーのみで、夜中に入浴しては出られなくなり大騒ぎをして、近隣からの苦情も多く、ケアマネが悩んで訪問看護が導入されたケースです。

グループワークの発表では、「在宅の限界を考える必要がある。施設の入所を検討するべき。また、デイサービスやヘルパー利用を増やす、寂しさを軽減できる対応を。」とか、「病態をもっと把握して、そこを改善するべくプランを立てるべき。」という意見がありました。
違うう意見としては「低血糖の危険をさければ、あまり神経質にならず、生活を楽しめるような支援を、考えつつ訪看やヘルパーで見守っていく。」「多職種やインフォーマルな支援も入れて、連携することで、在宅を継続させる。」という意見などがありました。

          

その後、実際の経過と援助内容、結果、考察を発表し事例検討は終了しました。

実際は、訪問看護と往診医を入れ、医療の目を入れたことで、関わるヘルパーやケアマネの安心感につながり、並行してサービス事業者に病気についての説明をし、内服の一包化や整理、食事内容の検討、食事量の把握を行う事で、徐々に生活を立て直していくことが出来ました。
介護拒否も徐々になくなり、デイサービスも当初は激しく抵抗したものの、行ってみると友人もでき、身体も良く動かすようになりQOLが改善し、当初9.1あったHBA1Cも6台まで下がり、ケアマネへの執拗な電話もなくなったそうです。

今回、発表者は訪問看護師と、依頼したケアマネの二人そろっての発表でした。
違う事業所の二人が、それぞれの立場から、同じPPを使って仲良く発表をしたことが、この地域の連携の在り方を語っており、地域で支援するということの重要性を浮き彫りにしました。

総評をして下さった西部病院看護部長は、「私は、在宅を全く知りませんでしたので、この事例を聴いただけで、在宅なんてとんでもない。施設しかないだろうと思いましたが、一緒にグループワークに入ったことで、あらゆる可能性があることを知りました。そして、実際在宅での支援が可能であることを聴き、感銘を受けました。今回、病院しか知らなかった私にとって、とても勉強になりました。」という内容で、お話をしてくださいました。
また、そのなかで今後病院では、在院日数をますます減らす方向であるという話もあり、会場からも驚きの表情がみられました。

そのあとは、管理栄養士の方から、基本的な糖尿病の栄養管理についての講義もあり、とても充実したセミナーになりました。

最近では、泉区や旭区の訪問看護ステーションやケアマネさんもたくさん来てくれて、今日もほぼ満席となり、うれしい限りです。

参加してくれる職種も、看護師はもちろん、ケアマネ、ヘルパー、訪問入浴、施設職員、医師と多岐にわたっていて、このセミナーが地域に根差しているのだな~。と感慨深い思いになりました。

セミナーの後の懇親会は、みんなリラックスムードで、本当に肩の荷が下りました。
司会も、無事にお役目を果たせましたし、よかった、よかった!

また、来年にむけて連絡会も頑張ります。

地域の一体感を味わえたセミナーでした。