こぶた部屋の住人

訪問看護師で、妻で、母で、嫁です。
在宅緩和ケアのお話や、日々のあれこれを書き留めます。
看護師さんも募集中!!

看護師ブログのランキングです。ポチッってしてもらえると励みになります。(^^)/

にほんブログ村 病気ブログ 看護・ナースへ
にほんブログ村

手探りなのが在宅療養

2012-02-08 23:18:36 | 訪問看護、緩和ケア
訪問看護を含めて、在宅での支援は本当に手探りのことが多いです。

今日午後から訪問したGさん。
奥様はかなり認知症が進んでいます。
Gさんは、いつものようにすごく元気だったのですが、妻のSさんは顔色も悪くて、頭が痛いと言ってぐったりしています。
「このところ、頭がずっと痛いんだよ」Gさんも心配しています。
血圧を測ると、いつもよりだいぶ高め。

足も見てやってほしいとGさん。私は、Gさんの訪問看護で入っていますが、奥さんも認知があっていろんなアクシデントがあります。
でも、奥さんあってのGさんですし、二人で一人みたいなベストカップルなので、訪問看護師としては必ずご様子は伺います。

見ると、足先が紫色に腫れています。
でも、ご本人はすっかり忘れており、「痛くない。」といいますし、どこでやったかもわかりません。

ちなみに、Gさんも奥さんほどではありませんが、認知症状はあります。

Gさん「そういえば、昨日庭で転んだって言ってたよな~?」
「頭打ってない?」
「わからない。でも、ここが痛いのよ。」と、妻は後頭部をさすります。
特に傷は見当たらないものの、限局していたがっています。足は紫・・。
でも、頭は先月も痛いって言ってて、近所のクリニックでロキソニン貰って治ったと言ってました。
そのうち、Gさんは「昨日、庭でで転んだ。」から「一昨日庭で転んだ。」に変わり「いつだったかな。2,3日前かな~?おい、お前いつ転んだ?」「知らない。」
という会話になっていきました。

とりあえず、最悪の事態も考慮して、CTのある脳外科に行ってもらう事にしました。
お子さんのいないお二人ですが、ものすごくフットワークの良いケアマネさんに連絡したら、10分後には迎えに来て、即受診しに行ってくれました。

そのクリニックも素早い対応で、混みあっているのに、5分と待たずCTを撮ってくれたそうです。結果は、いまのところ異常なし。
でも、転んだらしいことは確かだし、1か月後に再検査をして下さることになりました。

お年寄りで、特に認知症のある方は転倒などで頭を打っても、すぐに忘れてしまうので、意識レベルが下がったり、痙攣が始まったりして病院に行くと、実は頭を打っていたらしいことが分かったりします。
ですから、いつもと様子が違ったり、転んだかもしれない時など、頭の中をよく確認して、傷がないか見ておく必要があります。

そのあと、最後の訪問は急遽依頼された患者さんです。
とにかく、なるべく早く入ってくださいと言われ、最終の時間で初回訪問をしました。

消化器癌で化学療法をやるためにかなり遠い大学病院に通院されていたようです。
独居ですが、娘さんが泊まり込んでいます。
この方も、ほんの数日前道で転倒をして、そのあとからほとんど寝付いてしまったと言う事です。
もう、化学療法に病院に行くのは無理とのことで、急遽往診医が入り、往診医が即訪問看護を入れてください!とケアマネに指示しての導入になりました。

ご本人は、どういうわけか言葉がうまく出てきません。
まるで、失語症のようにも思えます。
でも、ご家族の支えで、トイレまで行けているとか・・。
転倒時は、頭を打ってはいないとのことです。

とりあえず、今後のことを考えないといけませんので、今までどんな説明を病院からされていたのか聞いてみました。
が、何も聞いていないというのです。

「いつも先生は、採血の結果を見て、化学療法は『まだできるな。』と言って、点滴をしてくれました。けれど、今病気がどうなっていて、この先どうなるのかは、聴いたことありません。とても忙しい先生で、患者さんがいっぱい来ているので。」とのこと。
入院時と退院時にムンテラがあったあとは、ずっと外来で治療中も、検査データ―で判断するだけだったそうです。
実際、患者さんはかなり衰弱していましたし、実は外来通院もやっとやっとの状態だったそうです。
在宅往診医にお願いするにあたり、その先生から診療情報提供書が在宅医のもとに届いたのですが、それも中身は病名と○○で化学療法中。と書きなぐってあっただけだそうです。
血液データーすらなかったとか・・・

いったい、こんな情報で、在宅でどうしろって言うのか??
しょうがないから往診医は採血をして、手探りでの診療が始まりました。
そんなわけで、療養全般これからの支援をどうしたいのかを聴かれても、先が全く分からないご家族には、何をどうしていいかもわからず、ただただパニックになっていました。
とりあえず、みんなでフォローするから大丈夫。
一つずつ解決していきましょうね、とお伝えしました。

原因も不明、経過も不明、見通しも不明ですが、在宅ではこういうことがよくおこるのです。

それにしても、化学療法をする、しない。」という事だけでしか、治療ができないのは、おかしいですよね。
出来なくなったら急速に興味がなくなるのでしょうか?
まして、自分が診てきた患者さんを、次のドクターに託すのに、病名と化学療法の薬品名だけなんて、あまりにも無責任ですね。
県下では、医療連携や緩和ケアの勉強会なども積極的に主催したり、連携室もしっかりある有名な大学病院なんですが・・。

それでもなんでも、手探りから始まめるのが私たちのお仕事です。
不安はなるべく取り除いて、穏やかにお家で過ごせるように、お手伝いをしたいと思います。