カラヤン、死の1年前のロンドン公演
ブラ1もよかったが、個人的には「浄められた夜」をとりたい
生前、ほとんど日の目を見ることがなかったライブ音源(初販を含む)が、ここへ来てかなり発表されるようになり、それなりの評価を得ているようだが、このCDは珍しく宇野功芳氏が絶賛していた(レコード芸術1月号)ので買ってみた。素直に感動させてもらった。お蔵入りになっているカラヤンのライブ音源を発掘、評価していく作業は、素顔のカラヤンというか、裸のカラヤンをみるようで(←べつにみたくないけど)、とても楽しそうなんだけれど、僕は1人のリスナーとして、カラヤンについてはやはりセッション録音にこだわっていきたいと思っている。
これは、好き嫌いの問題ではなく、純粋な興味の問題だ。ライブでこんな演奏ができる人が、なぜ、あれほどまでセッション録音(別録り、ツギハギなんでもあり)に入れあげたのか。その徹底ぶりのほうにむしろ興味が湧くし、問題の立て方としても面白いと思う。ライブ音源が出てきた今こそ、両者の比較を通じて、カラヤンがセッション録音に込めようとした美学について、もっとリアルに語れるような気がするのだ。