Sketch of the Day

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ロンドン・グリーンベルト

2005-04-05 | Media
政策の階層化とボトムアップ化による計画の未来,Marco Amati,横張真(BIO-City no.30,2005,p.18-23)
・イギリス都市計画におけるトップダウン/中央集権的計画立案からボトムアップ型計画立案への移行に伴って、グリーンベルト政策も見直しが迫られているとする論文で、欧米における広域的ランドスケープ・プランニングの潮流を理解するのにも適している。
・著者が、イギリスとてグリーンベルトの設置が可能であったのは、強硬なトップダウン型の施策展開と少数の理解ある地主との秘密裏(しかし合法的な)の土地取引が先行的に行われていたからであると指摘しているのは非常にうなずける点である。少数の好意的な地主を味方につけて彼らに将来の開発と施策展開において有利な立場を与える一方で、大多数の投機的な土地開発を期待する地主達を出し抜いてグリーンベルトを設置してしまったわけである。時代の産物と言ってしまえばそれまでだが、これぞ政治というものなのであろう。
・そんな、トップダウン型政策の象徴でもあるグリーンベルトが今日、ボトムアップ型かつ階層的な政策展開へと様変わりしつつあるという。グリーンベルト一本でこれまで守ってこれた土地も、住民や団体の多様なニーズや野生生物の生息地としての重要性を踏まえて指定される多様な地域地区制度によって重層的に守られていく時代になりつつあるという。そして、ボトムアップ/階層的政策展開の先進国!?である日本を引き合いに出しながら、ボトムアップ/階層的政策展開には、開発業者に様々な逃げ道を用意するという潜在的弱点もあることを認識すべ樹であると締めくくる。
・こいつを敷衍すると、日本では今ボトムアップを叫ぶだけじゃなくて、むしろ逆にトップダウンの「可能性」をこそ論じるべきではないか、というのが僕の考えだ。

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