鎌倉市議会9月定例会は、陳情2件、議案22件の採決が行われ、閉会しました。
私は2議案について反対討論を行いました。以下、討論内容です。
●議案第49号 鎌倉市廃棄物の減量化、資源化及び処理に関する条例の一部を改正する条例の制定について
(内容は、事業系ごみ処理手数料の改正)の反対討論
ただいま議題となりました「議案第49号 鎌倉市廃棄物の減量化、資源化及び処理に関する条例の一部を改
正する条例の制定について」 反対の立場で討論をいたします。
この度の事業系一般廃棄物処理手数料の改定にあたって、市は「鎌倉市廃棄物減量化及び資源化推進審議会」
に諮問を行っていますが、その諮問文の中では、「これまで、事業系一般廃棄物の処理手数料について、処
理原価の変化、近隣市との均衡、家庭系一般廃棄物処理との均衡、社会経済情勢などをふまえ、「廃棄物減
量化及び資源化推進審議会」の答申を得て 判断し、段階的な改定を行ってきた」と述べている。
そして、今回の改訂にあたって、更に「事業者の自己負担の原則に鑑み、事業者に適正な負担を求めるため
に諮問する」としています。確かに廃棄物法第3条では「事業者は、その事業活動に伴って生じた廃棄物を、
自らの責任において適正に処理しなければならない。」と述べていますが、それは産業廃棄物を含めての条
文内容です。
一方、環境省が作成した「一般廃棄物有料化の手引き」では、「市町村において処理する場合、原価相当の
料金を徴収するのが望ましい」と述べています。今回の改定は「一般廃棄物処理手数料の改定」であり、産
業廃棄物を含めた廃棄物法で使用された「原則」という言葉を諮問文の中で使用することにより、一般廃棄
手数料の100%の徴収が、あたかもゆるぎない原則であるように解釈することは、いかがかなものかと思います。
さて、減量審の答申ではどのように述べているかというと、
2022年6月から「事業系一般廃棄物の処理は、乾式メタン発酵方式による資源化手法を選択してきた。そこ
での処理原価が10キロ当たり569円であること。名越クリーンセンターでの焼却処理と比較して(360円)
と高額であること。近年焼却施設を建設したところでの処理原価が10キロ当たり500円前後であること。い
ずれの処理方法をとっても、今後処理原価が高額となることが考えられること。鎌倉市と同様、焼却施設
老朽化の課題を抱えた東京都の自治体では400円前後を超える手数料を取っていること。などなどを理由と
して、現在の処理手数料10キロ250円を、10キロ569円の7割である400円とすることが妥当である…としています。
しかし先ほど述べたように、これまで市は、「事業系一般廃棄物の処理手数料について近隣市との均衡、社会
経済情勢などをふまえて、判断し段階的に改定を行ってきたのではないでしょうか。
① 近隣市との均衡の点で言えば、10㎏の処理手数料400円は、県内では一番高額です。
近隣市との均衡は取れていると言えるのでしょうか。また、東京都多摩地域の自治体が400円を超える手数料を
取っているとのことですが、東京都多摩地域は近隣市と言えるのでしょうか。
② また、近年焼却施設を建設したところでの処理原価が10キロ当たり500円前後であるから、いずれの処理
方法をとっても、今後、処理原価が高額となることが考えられることから、400円が妥当としています。今後、
処理原価が高くなるのだからと、先取りして一気に、現在の処理料金の1.6倍の処理料金に改訂することは、段
階的な改定と言えるのでしょうか。
③ また、社会経済情勢を踏まえての、見直しと言えるのでしょうか。鎌倉市の大手事業者は、民間ごみ処理
事業者との契約で一般廃棄物の処理を行っていると聞いています。一方、市に一般廃棄物の処理を依頼してい
るのは、鎌倉市に最も多い中小事業者です。
8月20日発表の「東京商工リサーチ」によれば、「中小企業の倒産は、コロナ禍を上回るペースで増えていると
のこと。新型コロナの感染症法上の分類が「5類」に移行した後も、期待されたほど業績が戻っておらず、手厚
い公的支援は打ち切られ、物価高が追い打ちをかける中、中小企業向けの実質無利子・無担保の「ゼロゼロ融資」
の返済も本格化しており、倒産は今後さらに増える可能性がある。と報告しています。
このような状況の中での事業系一般廃棄物処理手数料を現在の1.6倍に上昇させることは、社会情勢を踏まえた、
改定と言えるのでしょうか。
困窮する中小事業者に、更なる追い打ちをかけることになるのではないでしょうか。
以上のような状況を鑑みると、本条例改正は、到底適正な改正とは言えません。
以上の理由により、議案第49号に反対し、討論を終わります。
●議案第51号 令和5年度鎌倉市一般会計補正予算(第5号)の反対討論
ただいま議題となりました 令和5年度 鎌倉市一般会計補正予算(第5号)に、反対の立場から、討論いたします。
具体的には、補正内容のうち、中学校施設整備事業「不登校特例校 設置事業に係る、外構工事設計事業費424万
6000円の追加」ならびに、「債務負担行為額6億2920万円の設定」について反対するものです。これまで、一般
質問において、鎌倉市の不登校特例校設置について、いくつかの懸念を述べてきました。反対理由を3点に絞って
述べさせていただきます。
① その一つは、不登校特例校 設置は市長提案によるものですが、首長から独立した「行政委員会」である教育
委員会で、「不登校特例校 設置の是非について」議論がなされたのか、民主的な手続きを踏んで「合意形成」に
至ったのか、という問題です。
不登校特例校設置について、初めて、公の会議の場で話題となったのは、昨年2022年7月に開催された、第一回
総合教育会議です。その中で市長は「現在、教育委員会の中で、不登校特例校設置に向けて検討を進めて頂いて
いるところですが…」と述べられている。では、この「不登校特例校を設置する」という政策決定はどこでなさ
れたのか。当然、その場というのは、教育委員会定例会、あるいは臨時会でなければなりません。しかし、「不
登校特例校について」教育委員会で議題となったのは、2022年11月教育委員会定例会です。そこでの議題内容は
「不登校特例校分教室の設置に向けた取り組みについて」というものでした。そして、議事録を見る限り、議題
から明らかなように、「設置に向けた具体的な取り組み」についての話し合いがなされています。鎌倉市に「不
登校特例校を設置するべきなのか。どうなのか」という本質的な議論がなされていたわけではありません。教育
委員会が市長部局から独立した機関として、「不登校特例校設置」を決定したわけではない にもかかわらず、
「不登校特例校設置事業」を進めていくことを、容認することはできません。 二つ目は、
② 不登校特例校の設置を決定する前に、まず、当事者の声を聴いていないことについて、です。このことは、
一般質問の中で、問題提起をさせて頂き、この夏、7月から8月にかけてやっと、アンケート調査が行われたところです。
しかし、不登校児童生徒が、学校や教育委員会に「学校がどうあれば登校することができるのか」「学校に何を
求めているのか」を問うものではなく、すでに動かしがたい事実として「不登校特例校」を設置する上で、どの
ような「立て付け」にするのかを問うものであったことは、真に「不登校児童生徒」の気持ちに、向き合った取
り組みとは言えません。三つ目の反対理由は、
③ 不登校特例校は、原籍校に通うことが困難な児童生徒に、転籍・転校をさせて、別の場所を提供することに
なります。多様な学びの場としての一つの選択肢の提供ではありますが、そもそも、「なぜ不登校児童生徒が不
登校になっているのか」を学校側が、その気持ちに辿り着くことができずに、結果として子ども自身に転籍を選
ばせることにつながりかねません。一般質問でも述べましたが、中央大学の池田賢市教授は「いまの学校が、
ある子どもたちを(別の場所が必要だと考えざるを得ないほどの)「問題」を抱えている存在として浮き立たせて
いるとすれば、まずは、そのような学校環境を変えていくことを考えるのが行政の仕事だ‥‥」と述べています。
その一歩が、校内フリースペースの設置と、さらなる充実です。
不登校特例校の設置については、鎌倉市のようにトップダウンで政策が事務方に落としこまれ、十分な議論のな
いまま、設置を急ぐ自治体もあれば、十分な議論の末、「不登校特例校は設置しない」と決定し、真に不登校児
童生徒の声に耳を傾け、「学びの場」を作り出している自治体も多くあります。
鎌倉市が真に、子どもに向き合い、不登校の子どもに、丁寧に向き合う姿勢を保つならば、今からでも遅くはありません。
教育委員会の中で、今、何をするべきなのかを、十分に議論をして結論を出すべきだと考えます。
以上の理由により、不登校特例校設置のための、補正額424万6000円ならびに、債務負担行為6億2920万円の設定
について、反対するものです。
以上で反対討論を終わります。
私は2議案について反対討論を行いました。以下、討論内容です。
●議案第49号 鎌倉市廃棄物の減量化、資源化及び処理に関する条例の一部を改正する条例の制定について
(内容は、事業系ごみ処理手数料の改正)の反対討論
ただいま議題となりました「議案第49号 鎌倉市廃棄物の減量化、資源化及び処理に関する条例の一部を改
正する条例の制定について」 反対の立場で討論をいたします。
この度の事業系一般廃棄物処理手数料の改定にあたって、市は「鎌倉市廃棄物減量化及び資源化推進審議会」
に諮問を行っていますが、その諮問文の中では、「これまで、事業系一般廃棄物の処理手数料について、処
理原価の変化、近隣市との均衡、家庭系一般廃棄物処理との均衡、社会経済情勢などをふまえ、「廃棄物減
量化及び資源化推進審議会」の答申を得て 判断し、段階的な改定を行ってきた」と述べている。
そして、今回の改訂にあたって、更に「事業者の自己負担の原則に鑑み、事業者に適正な負担を求めるため
に諮問する」としています。確かに廃棄物法第3条では「事業者は、その事業活動に伴って生じた廃棄物を、
自らの責任において適正に処理しなければならない。」と述べていますが、それは産業廃棄物を含めての条
文内容です。
一方、環境省が作成した「一般廃棄物有料化の手引き」では、「市町村において処理する場合、原価相当の
料金を徴収するのが望ましい」と述べています。今回の改定は「一般廃棄物処理手数料の改定」であり、産
業廃棄物を含めた廃棄物法で使用された「原則」という言葉を諮問文の中で使用することにより、一般廃棄
手数料の100%の徴収が、あたかもゆるぎない原則であるように解釈することは、いかがかなものかと思います。
さて、減量審の答申ではどのように述べているかというと、
2022年6月から「事業系一般廃棄物の処理は、乾式メタン発酵方式による資源化手法を選択してきた。そこ
での処理原価が10キロ当たり569円であること。名越クリーンセンターでの焼却処理と比較して(360円)
と高額であること。近年焼却施設を建設したところでの処理原価が10キロ当たり500円前後であること。い
ずれの処理方法をとっても、今後処理原価が高額となることが考えられること。鎌倉市と同様、焼却施設
老朽化の課題を抱えた東京都の自治体では400円前後を超える手数料を取っていること。などなどを理由と
して、現在の処理手数料10キロ250円を、10キロ569円の7割である400円とすることが妥当である…としています。
しかし先ほど述べたように、これまで市は、「事業系一般廃棄物の処理手数料について近隣市との均衡、社会
経済情勢などをふまえて、判断し段階的に改定を行ってきたのではないでしょうか。
① 近隣市との均衡の点で言えば、10㎏の処理手数料400円は、県内では一番高額です。
近隣市との均衡は取れていると言えるのでしょうか。また、東京都多摩地域の自治体が400円を超える手数料を
取っているとのことですが、東京都多摩地域は近隣市と言えるのでしょうか。
② また、近年焼却施設を建設したところでの処理原価が10キロ当たり500円前後であるから、いずれの処理
方法をとっても、今後、処理原価が高額となることが考えられることから、400円が妥当としています。今後、
処理原価が高くなるのだからと、先取りして一気に、現在の処理料金の1.6倍の処理料金に改訂することは、段
階的な改定と言えるのでしょうか。
③ また、社会経済情勢を踏まえての、見直しと言えるのでしょうか。鎌倉市の大手事業者は、民間ごみ処理
事業者との契約で一般廃棄物の処理を行っていると聞いています。一方、市に一般廃棄物の処理を依頼してい
るのは、鎌倉市に最も多い中小事業者です。
8月20日発表の「東京商工リサーチ」によれば、「中小企業の倒産は、コロナ禍を上回るペースで増えていると
のこと。新型コロナの感染症法上の分類が「5類」に移行した後も、期待されたほど業績が戻っておらず、手厚
い公的支援は打ち切られ、物価高が追い打ちをかける中、中小企業向けの実質無利子・無担保の「ゼロゼロ融資」
の返済も本格化しており、倒産は今後さらに増える可能性がある。と報告しています。
このような状況の中での事業系一般廃棄物処理手数料を現在の1.6倍に上昇させることは、社会情勢を踏まえた、
改定と言えるのでしょうか。
困窮する中小事業者に、更なる追い打ちをかけることになるのではないでしょうか。
以上のような状況を鑑みると、本条例改正は、到底適正な改正とは言えません。
以上の理由により、議案第49号に反対し、討論を終わります。
●議案第51号 令和5年度鎌倉市一般会計補正予算(第5号)の反対討論
ただいま議題となりました 令和5年度 鎌倉市一般会計補正予算(第5号)に、反対の立場から、討論いたします。
具体的には、補正内容のうち、中学校施設整備事業「不登校特例校 設置事業に係る、外構工事設計事業費424万
6000円の追加」ならびに、「債務負担行為額6億2920万円の設定」について反対するものです。これまで、一般
質問において、鎌倉市の不登校特例校設置について、いくつかの懸念を述べてきました。反対理由を3点に絞って
述べさせていただきます。
① その一つは、不登校特例校 設置は市長提案によるものですが、首長から独立した「行政委員会」である教育
委員会で、「不登校特例校 設置の是非について」議論がなされたのか、民主的な手続きを踏んで「合意形成」に
至ったのか、という問題です。
不登校特例校設置について、初めて、公の会議の場で話題となったのは、昨年2022年7月に開催された、第一回
総合教育会議です。その中で市長は「現在、教育委員会の中で、不登校特例校設置に向けて検討を進めて頂いて
いるところですが…」と述べられている。では、この「不登校特例校を設置する」という政策決定はどこでなさ
れたのか。当然、その場というのは、教育委員会定例会、あるいは臨時会でなければなりません。しかし、「不
登校特例校について」教育委員会で議題となったのは、2022年11月教育委員会定例会です。そこでの議題内容は
「不登校特例校分教室の設置に向けた取り組みについて」というものでした。そして、議事録を見る限り、議題
から明らかなように、「設置に向けた具体的な取り組み」についての話し合いがなされています。鎌倉市に「不
登校特例校を設置するべきなのか。どうなのか」という本質的な議論がなされていたわけではありません。教育
委員会が市長部局から独立した機関として、「不登校特例校設置」を決定したわけではない にもかかわらず、
「不登校特例校設置事業」を進めていくことを、容認することはできません。 二つ目は、
② 不登校特例校の設置を決定する前に、まず、当事者の声を聴いていないことについて、です。このことは、
一般質問の中で、問題提起をさせて頂き、この夏、7月から8月にかけてやっと、アンケート調査が行われたところです。
しかし、不登校児童生徒が、学校や教育委員会に「学校がどうあれば登校することができるのか」「学校に何を
求めているのか」を問うものではなく、すでに動かしがたい事実として「不登校特例校」を設置する上で、どの
ような「立て付け」にするのかを問うものであったことは、真に「不登校児童生徒」の気持ちに、向き合った取
り組みとは言えません。三つ目の反対理由は、
③ 不登校特例校は、原籍校に通うことが困難な児童生徒に、転籍・転校をさせて、別の場所を提供することに
なります。多様な学びの場としての一つの選択肢の提供ではありますが、そもそも、「なぜ不登校児童生徒が不
登校になっているのか」を学校側が、その気持ちに辿り着くことができずに、結果として子ども自身に転籍を選
ばせることにつながりかねません。一般質問でも述べましたが、中央大学の池田賢市教授は「いまの学校が、
ある子どもたちを(別の場所が必要だと考えざるを得ないほどの)「問題」を抱えている存在として浮き立たせて
いるとすれば、まずは、そのような学校環境を変えていくことを考えるのが行政の仕事だ‥‥」と述べています。
その一歩が、校内フリースペースの設置と、さらなる充実です。
不登校特例校の設置については、鎌倉市のようにトップダウンで政策が事務方に落としこまれ、十分な議論のな
いまま、設置を急ぐ自治体もあれば、十分な議論の末、「不登校特例校は設置しない」と決定し、真に不登校児
童生徒の声に耳を傾け、「学びの場」を作り出している自治体も多くあります。
鎌倉市が真に、子どもに向き合い、不登校の子どもに、丁寧に向き合う姿勢を保つならば、今からでも遅くはありません。
教育委員会の中で、今、何をするべきなのかを、十分に議論をして結論を出すべきだと考えます。
以上の理由により、不登校特例校設置のための、補正額424万6000円ならびに、債務負担行為6億2920万円の設定
について、反対するものです。
以上で反対討論を終わります。