竹田ゆかりのブログ

竹田ゆかりの活動記録
教育問題や時事問題に関する思いなど 

鎌倉市議会で起きた「民族差別発言」について

2021-12-28 22:45:55 | 日記
12月24日、横浜地裁は3年以上に及ぶ裁判「上畠元鎌倉市議会議員の差別発言問題」に対する
請求について、判決を言い渡した。
上畠元鎌倉市議員(現神戸市議)の議会での発言が「差別的発言であった」とし、
その違法性を認定したことは、公正な判断が下されたと一定評価するとともに、安どする思いがした。

一方、差別発言を発した上畠氏本人の責任が問われなかったことや、
議事録削除等の請求が棄却されたことは、残念であり、不十分であると言わざるを得ない。

判決文の中では、上畠元鎌倉市議の発言が「差別発言」と認定するにあたって次のように述べられている。
「…被告上畠は、『〇〇〇』または『〇』という、一見して在日コリアンとして朝鮮半島にルーツを持つ
ものに多い原告の実名を複数回提示した上で、本件提示行為(名刺を提示した行為)を…やくざまがいの
行為であると否定的に表現し…公安調査庁と連絡を取り合って原告のことを調査しているとの発言をしていた。
係る経緯の中で、ことさら『出身』に言及する本件発言(私、特に出身が出身だけに本当に怖い)がなされ
たことを前提に、一般の読者の普通の注意と読み方を基準とすれば、同発言は、本件提示行為(名刺を提示
した行為)を行った原告が、在日コリアンの出自を持つことから、被告上畠は強い恐怖心を感じるという
意味の発言であり、在日コリアンに対する差別意識を前提に、在日コリアンという原告の出自を理由に原告
を不当に貶める差別的発言と認められる。…被告は「自分が大阪出身であり、やくざに関する問題があるこ
とを目の前で見てきたので、怖いんだ」という趣旨の発言であると主張する。しかしながら、議事の様子は
一般に公開され、その会議録はインターネット上において公開されることに照らせば、本件議会内発言にお
いても一般読者の普通の注意と読み方を基準にするべきであるし、本件発言が被告上畠自身の出身に関連す
る言及が全くない文脈でされたものであることに照らせば、一般読者において本件発言が被告上畠の出身地
を意味するものと解する余地はない。被告上畠の主張を採用することはできない。
 そして、在日コリアンに対する差別意識を前提に、在日コリアンという原告の出自を理由に原告を不当に
貶める差別発言である本件発言は鎌倉市議会議員としての職務に関わりなく、違法または不当な目的をもっ
てなされたものであると言えることから、被告上畠が付与された権限の趣旨に明らかに背いてこれを行使し
たものと認め得るような特別な事情が認められる。したがって、同発言については、国賠法上の違法性が
認められる。」

なお、差別的発言に該当するのではないかとして、原告が提出し審議された発言は、もろもろ38か所に及んでいる。

一方これまで、「市には責任がない」としていたことについて、判決では11万円の支払い命令が出た。
その理由を判決文の中で次のように述べられている。
「被告鎌倉市は、①本件議場内発言が公開された本券ウェブサイトの管理は鎌倉市議会によって行われており、
被告鎌倉市は当事者的確を有さない。②本件訴訟における被告鎌倉市の代表権を有する者は議長であり、市長
を代表者として被告鎌倉市を被告とする本件訴訟は、代表権の内者に対するものであることから訴訟要件を欠
いている旨主張する。
しかしながら、地方自治法は、地方公共団体を法人とする旨を定めている一方で、議会については、普通地方
公共団体に議会を置くと定めていることからも明らかなように、議会は地方公共団体の内部機関であって、
独立の法人格を有さない。したがって、被告鎌倉市が当事者的確を有することは明らかである。……」

これまで、鎌倉市は県人権センターからの申し入れに、繰り返し「議会の問題であり、…差別発言であると
判断する立場にない」と回答してきた。
共生社会の実現を掲げる鎌倉市のスローガンが、言葉だけのものであり、共生条例さえも、空虚なものに感じる。

昨日27日、神奈川労働プラザで行われた「報告集会」に参加した。
原告本人はあいさつの中で、「後ろから突然殴られて、立ち上がって『何をするんですか』と言うのは正直しんどかった」
と、胸の内を吐露された。これまで気丈にふるまい冷静に闘ってきた原告は、私たちが想像する以上に傷ついていたのだと
思う。引き続き、原告の人権回復を目指して、ともに頑張っていきたい。

そして、共生条例を持つ鎌倉市は判決を真摯に受け入れるべきであり、控訴するべきではない。
そして、議事録削除を進めるべきである。

最後に鎌倉市議会の対応について一言触れたい。
上畠元鎌倉市議の差別発言については、神奈川人権センターからの申し入れを受けて、2017年11月20日、
議会運営委員会で審議した。議員10人、傍聴1人のうち「差別発言である」と明確に表明したのは竹田と保坂議員の
二人のみであったため、鎌倉市議会として「上畠氏の発言が差別発言である」との判断を下せなかったことは、
はなはだ残念でならない。
改めて司法の場で、「差別発言」と認定されたことについて、議会として判断できなかったことを恥ずべきである。

鎌倉市議会は、この度の司法の判断を真摯に受け止め、今からでも遅くはない、なすべきことをするべきであると思う。

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鎌倉スマイルフードプロジェクト(12月26日)の準備作業に参加して

2021-12-26 21:37:11 | 日記
鎌倉スマイルフードプロジェクト(12月26日)の準備作業に参加して

コロナ禍2年を過ぎようとしている。
生活に困窮されている方々が増え続ける中、
鎌倉市生活福祉課が窓口となって、
本日、市役所第3分庁舎で、年末緊急食糧支援
が実施された。
私は、午前11時からの準備作業に参加させて頂き、
80セットの支援食糧を準備した。
私の役割は、ジャガイモの袋詰め。それに、キャベツ、
大根、みかん、林檎を一袋にする。

午後1時過ぎ、雪が降り始めたため、
受付時間を早めて1時半過ぎに配布開始となった。
協力団体の方々のお力添えがあり、
また当日ボランティアで参加してくださった方々や、
北鎌倉女学院の学生さんも準備段階から参加くださり、力を頂いた。

これまで、多くのボランティアに支えられてフードプロジェクトが実施されてきたが、
市は今後何を施策として展開していく必要があるか、
検討していただきたいと感じたところである。
そのためのアンケート調査であってほしい。職員の皆様もお疲れさまでした。













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鎌倉市生涯学習センターの管理運営について

2021-12-19 11:38:09 | 日記
(長文になりますが、重要な内容ですので、最後までお読み頂けるとありがたいです)

12月17日、鎌倉市議会12月定例会最終本会議において、議案64号「鎌倉市生涯学習センター条例の
一部を改正する条例の制定について」に対し、反対討論をおこないました。

採決の結果、13対12で可決してしまいましたが、重要な案件を、1票差でも可決したのだからと、
粛々と進めていくとしたら、鎌倉市政に混乱をまねきかねないと危惧します。

以下、私の反対討論内容です。

市は、今回条例改正を行うに至った理由について、2014年に行われた「市民意識調査結果」から
明らかになった課題が、現在まで解決に至っていないことを上げ、改めて「施設サービスの向上、
管理運営の充実をはかっていくため」として、今年6・7月にかけてアンケート調査を行った、その結果、
「夜間の稼働率の低さ」「今日的課題や社会の要請に係る講座の開催の低さ」「現役・若年世代のニー
ズに即した講座開催の低さ」「対面講座の開催の難しさ」等々を、解決するべき課題と捉え、より多く
の人が利用できるような施設とするために」条例改正をすると説明しています。

改正内容は、使用料の改正とともに 開館時間や利用区分の変更を行うこと。また、指定管理者制度の導入を
可能とする…としています。しかしながら、条例改正にあたっては、多くの問題点が見受けられるため、
一度立ち止まって議論・再考をするべきと考え、本改正条例に反対する次第です。

問題点の一つ目は、この議案内容が、市民にとっては「寝耳に水の話」であり、「アンケート結果」が
利用者の声を十分に反映したものとなっていないにもかかわらず、利用時間区分の変更を行い、更には 
指定管理者制度の導入を可能とする条例改正である…という点にあります。利用者軽視、市民軽視と言わざるを得ません。

問題点の二つ目は、生涯学習センターに指定管理制度を導入するという、大きな施策の転換であるにもかかわらず、
これまで議会への説明は一切行ってこなかったことです。
6月議会「教育福祉常任委員会」での報告では、改めてアンケートをとる目的を、「より多くの市民が利用できるように」
市民の要望を把握し、今後の管理運営に反映していくとの説明でした。確かにその説明の最後に一言、
「社会教育委員の意見を聞きながら、指定管理も視野に入れつつ…」との言葉はありましたが、
具体的な説明は何らなされませんでした。
また、9月議会では、「教育委員会事務の管理及び執行の状況の点検及び評価」いわゆる「行政評価」の報告がありましたが、
常任委員会開催数日前に資料が配信され、100ページ以上に及ぶその資料の中に、一行、
生涯学習センターを指定管理者制度導入に向けて検討する…」との記載があったものの、
当日生涯学習センターについての「評価結果」を説明する中で、一切この記述について触れることはありませんでした。
この記述に気付けなかった委員に問題があるのでしょうか。
説明しない、あえて触れない、議論を避けてきた教育委員会の責任はないのでしょうか。また、社会教育委員会での議論は
果たしてあったのか。常任委員会での答弁では、明確な説明がなされませんでした。
これは、議会軽視・社会教育委員会軽視と言われても仕方ありません。

問題点の三つ目は、11月17日開催の教育委員会定例会での教育長による議案提案時に、一人の委員から
「利用区分」についての質問があったものの、議論らしい議論は全くなされなかったと聞いています。そして、
一昨日開催された教育委員会定例会では、委員から…
「指定管理の範囲が生涯学習センター全体であると認識されていなかった発言」や
「指定管理となった場合の避難所としての対応を心配する意見」
「市民にとっては指定管理に代わることへの不安があるのではないか」等々の
懸念の声が上がったと聞いています。

まり、教育委員会としての議論が、十分になされていなかったことが明らかとなりました。

鎌倉市の学校教育、社会教育、文化、スポーツ等に関する重要事項や基本方針を決定する教育委員会において、
本議案について、十分な議論がなされていなかったことは、明白であり、はなはだ問題であると言わざるを得ません。
教育委員会もどれほどの認識をもって、指定管理の導入を決定したのでしょうか。

生涯学習センターは、改めて言うまでもなく、社会教育施設であり、市民の学びの場です。
市民の表現の自由を保障し、学習の自由を保障し、教育を受ける権利を保障する重要な施設です。
学習の自由、教育を受ける権利についていえば、過去の事例として、次のようなことがありました。

2018年、夏、教育委員会主催、企画運営「生涯学習推進委員会」による、ある講座が予定されました。
その講座内容が、歴史的考証によれば、史実に基づかない内容であったことから、SNS上で
「歴史認識に反する」との声が上がり、その声が私のところに届きました。
すぐに担当に連絡し、確認を求めたところ、担当の素早い判断・対応により、開催中止となり、事なきを得たということがありました。
ではこの場合、指定管理者であったならば、果たして素早い対応ができたのでしょうか。
そして、指定管理者となった場合、職員が普段、生涯学習センターの運営に直接かかわらない中で、
講座内容について適切な判断が下せるのでしょうか。
行政にも間違いが起こりますが、間違いに素早く対応できたのは、市の直営だったからではないでしょうか。
生涯学習を行う教育機関で「間違った学び」があってはなりません。間違った判断があってはなりません

市は、指定管理者の導入目的を「民間ノウハウの活用」と繰り返し説明しますが、
市民サービスの向上に、どう具体的に結びつくのか、その説明も全くありません。

八木監査委員は3期目の就任あいさつの中で、「質の高い市民サービス」を作り出す上での提案をされました。
「鎌倉市は、民間に任せられる業務は民間にと言う施策に偏っている。」「なぜ自分たちでしないのか。」
「自分たちで手掛けたらどうなるのかという視点で、業務内容をしっかり見極め、安易に民間に委託せず、
 自分たちで手掛けることで、専門性を磨き、市民サービスの向上につなげてはどうか」との提案でした。
まさに今回の、生涯学習センターの指定管理者制度導入は、アンケート調査から見えた課題の解決を、自分たちの手で、
本気になって手掛けてみる努力を怠り、安易に民間に任せることになっていないでしょうか。
そして、「民間ノウハウ」という、具体的には何も見えてこない言葉を使って、説明したつもりになっている…
とのそしりを免れるものではありません。

以上多くの問題が残されたまま、本議案を可決することは、市民にとって不誠実であり、議会機能を軽視するものと言わざるを得ません。
今一度、「社会教育とは何か」そして「市が果たすべきことは何か」本質的な議論をしっかり行って、
その上で、業務の内容を見極めて、市民サービスの向上のために、力を注ぐべきではないでしょうか。

以上、申し述べました理由により、本議案については強く反対を表明して、討論を終わります。

(長文を最後までお読みいただきありがとうございました)








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