京都で定年後生活

2013年3月60歳で定年退職。

美術館と庭園めぐり、京都の四季の行事と花を綴ります。

満開のモッコウバラ

2015-04-22 11:39:08 | 定年後生活

拙宅のモッコウバラが満開になりました。
このバラは淡路花博で購入した苗木を植えたものです。
毎年桜の終盤に開花します。
年1回の晴れ姿です。










コデマリも見頃になりました。





今一番庭で花数が多いのがミヤコワスレです。
妻がつぎつぎ増やし、裏庭まで咲いています。





ツルギキョウ






街中の街路樹のハナミズキが見頃ですが、どういうわけか、
わが家の中庭の主木であるハナミズキ、今年は花数が少なく寂しいです。



『光琳は生きている』日曜美術館

2015-04-22 05:42:51 | 美術・博物館


今年の桜も見納めとなり、この間中断していた美術関係の投稿を再開します。
今回の日曜美術館(4/12夜)は、『光琳は生きている』です。
この4月、日曜美術館は放送開始から40年目の年を迎えました。
それを記念し、琳派の名の由来ともなった尾形光琳の特集が放送されました。
今年は琳派四百年の記念すべき年でもあり、タイムリーな企画です。





尾形光琳は1658年京都に生まれます。
家は京都有数の呉服商、幼い頃から鮮やかな着物のデザインに囲まれ、絵や書、茶の湯の稽古に励みます。特に熱中したのが能です。

30歳のときに父が亡くなり、莫大な遺産を相続、しかし、遊び好きがこうじて全て使い果たしてしまいます。
40歳近くになって、絵師として生きる決心をし、才能を発揮したのは工芸品です。

「国宝 八橋蒔絵硯箱」










伊勢物語の一場面を描いた 八橋蒔絵硯箱、 燕子花(かきつばた)が美しく咲く水辺に、
鉛で橋を表現しています。
旅人が故郷を懐かしむ場面を、光琳は人物を描かず、 燕子花と橋だけで表現したのです。


「 燕子花(かきつばた)図屏風」

光琳の代表作のひとつです。
















この作品も伊勢物語の同じ場面を描いていますが、橋さえ省略しています。
余計なものは全て削ぎ落とし、エッセンスだけを描いたのです。
色は金と青と緑の三色、現代にも通じる日本人のデザイン感覚を確立したと言われます。


天才光琳の代表作のもう一作品

「紅白梅図屏風」

抽象画のような水流と生命力あふれる梅、相反するものが不思議な調和を奏でています。
59歳で亡くなった光琳の晩年の作品です。






右隻には若々しく、天に向かって伸びる紅梅、花弁を線描きしていません。





左隻の白梅は老木でしょうか、画面からはみ出す伸びた枝。










ぞして、真ん中に大きく描かれた水流。流れる水は大胆にデザイン化されています。





光琳の名前が由来となった琳派、その誕生は光琳の時代から、80年の時を遡ります。
桃山時代から江戸初期に、同じ京都で活躍した、風神雷神図の俵屋宗達。

「国宝 風神雷神図屏風」17世紀





金や銀を多様したきらびやかな色使いや大胆かつ巧みな構成、
平安時代の個展を斬新な感覚で捉えています。
この作品に感銘を受けたのが光琳です。

尾形光琳の「風神雷神図屏風」18世紀

光琳は宗達の作品を写し、宗達のデザイン性を受けついたのです。
宗達の世界に独特のデザインセンスを加え、「 燕子花図屏風」を制作したのです。





そして光琳から100年後光琳に魅了されたのが、江戸で活躍した、酒井抱一です。

「夏秋草図屏風」





宗達、光琳、抱一、何の繋がりもない絵師たちが時代も空間も越えて受け継いだ、
美の潮流、それが琳派です。

その後も琳派の継承は続きます。
明治から昭和にかけて活躍した、神坂雪佳です。

「狗児(くじ)」1909





カタツムリを見つめる狗、デザイン性にユーモアを加えた画風は、
海外で高く評価されました。


時代を経て、昭和の日本画をリードした加山又造

「群鶴図」1988











プラチナ箔の下地に宗達や光琳が好んで描いた鶴を新しい感性で描いています。

その後も、多くのアーティストが光琳の刺激を受けています。
番組で紹介された幾人かのアーティストです。

一人目は 千住博 です。
千住は、絵具に蛍光塗料を使うという斬新な手法で滝を描き、
「燕子花図屏風」が持つ神秘的な生命力に迫ります。





光鴻池朋子は「紅白梅図屏風」から心の深層に導かれ、大胆な着物を制作します。





先月高島屋京都で『琳派の系譜 細見美術館展』が開催されました。
光悦、光琳、乾山、抱一、雪佳の作品は見応えがありました。

そして今秋、京都国立博物館で『琳派京を彩る』が開催(10/10~11/23)されます。

「国宝 八橋蒔絵硯箱」、 「夏秋草図屏風」は勿論、琳派の名品が一挙公開されるようです。
楽しみにしたいと思います。