道々の枝折

好奇心の趣くままに、見たこと・聞いたこと・思ったこと・為たこと、そして考えたこと・・・

ふたつの山名をもつ山 その1

2010年06月21日 |  山歩き
久しぶりに安倍川源流部の大谷嶺1999.7m)に登った。
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山頂で昼食を摂りながら何気なく正面の山頂標識に目を遣ると、立派な標柱の縦文字が2文字分丹念削り取られ、〇〇山としか読めない。少し離れたところの、もうひとつの標識を見ると、ひと文字づつ3枚のパネルに分けて掲げられた表示の始めの1枚が欠落し、「〇谷嶺」になっていた。山名の標識がふたつとも毀損しているのは、すこぶる奇異な光景だった。

以前に来たときには、一方は「行田山」、もう一方は「大谷嶺」とはっきり読めた。前者は山梨側での通称、後者は静岡側および一般に知られた呼称と受けとめ、別名の標識が並んで設置されていることを訝しくは思わなかった。

今回目にした標識の毀損の状況から察すると、単なる無法者のイタズラではなさそうだ。どちらかが先に損なわれ、もう一方はそれに対する報復であったように見える。

帰宅してから、このような心ない仕業を招いた由因らしきものをあたってみた。すると、この山がふたつの山名をもつに至った古い事情と、地形図に1999.7mと記載のある公式の標高を敢えて標識に2000mと表示することになった新しい事情とに行き着いた。

新旧ふたつの事情によって、稜線の北と南の住民に僅かでも意趣の芽が生じたとすれば、それは、この山にとっても、また何も知らずに山頂を踏む大多数の登山者にとっても、甚だ不幸な事態ではある。


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