道々の枝折

好奇心の趣くままに、見たこと・聞いたこと・思ったこと・為たこと、そして考えたこと・・・

オシロイバナの落下傘

2021年09月07日 | 人文考察
台地の中腹に在るバス停までは、橋を越え200mばかりの曲がった急坂を登らねばならない。
時々の野草の花が咲いているときは、急坂も苦にはならない。


坂の途中に野生化したオシロイバナの群落があって、ちょうど満開だった。幼い頃に、この花を落下傘に見立てる遊びを誰かに教わった。セセリ蝶のくびれた胴をメヒシバで結び、それを囮にトンボを捕まえる方法も、誰かに教わった。人から人へ、様々な遊びが伝えられた。いつも、教える子がいて教わる子がいた。コミュニケーションがあった。

今はもう野遊びは廃れてしまった。ニンテンドーには何の意趣もないが、子どもの遊びを根底から変えてしまったことだけは慥かだろう。

時代の移り変わりや企業の事業活動をどうこう論うつもりはないが、ゲーム世代とその前の世代では、遊びに越えられない大きな溝ができたことは否めない。それは私たちの心の有り様にも確実に影響を与えているだろう。

永いこと世代を超えて受け継がれて来た野遊びが廃れ、ゲーム機器が世を席巻したということは、私たちの数千年に及ぶ生活史の上からは劇的な変化で、後遺症を伴わない訳には行かない。それは既に、政治・経済をはじめ社会全般に顕れていて、私のような旧い世代の者でないと、感知できなくなっているだろう。


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