道々の枝折

好奇心の趣くままに、見たこと・聞いたこと・思ったこと・為たこと、そして考えたこと・・・

直情径行

2021年06月03日 | 随想
私の性向は一言で言えば〈直情径行〉というのだろうか?〈情〉と〈行〉が背馳することには耐えられない。思ったことはすぐやらないと気が済まない因果な性分だ。

この性質の対極には〈隠忍自重〉というものがあって、〈情〉と〈行〉が一致しないでも、それに堪える力があるらしい。私の妻はこの性向と言ってよいだろう。

水と油の調和は難しい。夫婦の性向が真逆だと、行き違いや誤解・曲解は避けられず、諍いは日常茶飯事。よく半世紀以上夫婦でいられたと、互いに「奇跡の50年」の認識で一致している。

世の中には喧嘩をしたことがない夫婦も大勢いる。仲が好くて羨ましいと褒めると、普段口を利かないし居室もテレビも別、生活では互いに一切干渉しないのだそうだ。一切干渉しないとは、紐帯が無いことである。一緒にならなくても好かった関係と見ることもできる。

一触即発の緊迫状態ではなく、至極円満に生活を楽しみ平穏無事で暮らしている。だが双方は、もし喧嘩をしたらそれでお仕舞いだと、切実に感じているらしい。危うい調和、恐怖の平穏というものだろうか?

よく〈性格の不一致〉という言葉が離婚の原因に挙げられるが、多様な個性の男女に、性格の一致などあろうはずも無い。元々無い幻想を求めてはいけない。人は自分と違うものに惹かれる好奇心の強い生き物である。
〈性格の不一致〉こそ、夫婦を長く結びつける接着剤のようものであるかもしれない。何とか対手を理解しようさせようと苦心惨憺するうち、瞬く間に時は過ぎる。







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