動脈硬化が指摘される世代は、意識して血流の促進を心がけなければならない。普段の生活では、血液の循環は年々不活発になると分かってれいながら、ウォーキングをするのが精一杯という声も聞く。心肺・血圧・脳血管に支障が無ければ、血液の強制循環を日常生活に取り入れるべきである。
脚の筋肉は本来の動力としての働きだけでなく、心臓の補助器官としての機能が無視できない。骨格筋の収縮は、心臓のポンプ作用を補完し、血液が円滑に全身を巡ることに寄与しているという。その骨格筋量の最も多いのが、上肢と下肢の筋肉である。
下半身の筋肉は身体全体の筋肉の70%を占めるから、高齢者は下半身の筋肉さえ鍛えていれば良いという考え方をネットで目にすることがある。下半身の筋肉をスクワットなどで鍛えていれば十分という高齢者に甘い専門家がいるが、私はそうは思はない。
筋肉は個別に分かれているが、発生学的には一体のものである。
上半身の筋肉と下半身の筋肉は、それぞれ骨格に付着し独立しているが、筋肉群として一体のものだから、下半身だけの筋トレをやればそれで済むという性質のものではない。上半身も下半身も、万遍なく筋肉を収縮させなければ、血液はスムーズに体を巡らない。スクワットだけでなく、ランジや腕立て伏せなどもセットで行うべきだろう。
高齢者の筋トレは、ロコモやフレイルなど、筋力・筋肉量の減少を防ぐ目的だけでなく、血液を強制的に循環せるためのものであることを忘れないようにしたい。