道々の枝折

好奇心の趣くままに、見たこと・聞いたこと・思ったこと・為たこと、そして考えたこと・・・

波長の合う間柄

2024年12月12日 | 人文考察
品性は天賦のものである。対する知性は、生まれつきのものと自分自身で努力して身につけたもの良識卓見はこの2つの性能から生まれる。

苟しくも国民国家の統治に携わる人たちは、政治家であろうと官僚であろうと、この2つの性能を高度に備えていなければならないと思う。

困ったことに、世界で最強の軍事力と経済力をもつ米国の新リーダーが、この2つの性能において、各国首脳たちの不安を増幅させているのではないかと案じる。行動・言動に信頼をおけない素因を感じるのだろう。

彼が8年前に政権を担って以降の4年間、内政と外交の両面で、国内外を混乱させた経緯は記憶に新しい。
その彼が、明年1月20日から米国大統領の座に着く。
独裁国家ではないから、恣意的に政策を押し通すことはできないだろうが、各国首脳の頭を悩ます事態が頻発するのは避けられそうにない。世界が混迷の度を増すことは確かだろう。

対するわが国の現首相は、前政権のツケとも言える与党少数政権での国会運営に、品性と知性を発揮し、野党とも円滑な関係を築きつつある。存在意義を失いつつあった国会が、本来の真摯な議論の場を取り戻し始めている。
対米外交での日本の首相の存在感の無さに長く失望させられてきたが、来年は、日米関係に好い変化が表れて欲しい。

彼の人が第45代大統領になった8年前、世界の元首の中で最も早く祝意を表明する為に訪米し対面したのが、当時のわが国の首相だった。嬉々として大統領に駆け寄る姿が、世界中に放映された。
こどもの時から、人懐っこさで定評があった人である。外交儀礼以前の無邪気さとあまりに率直な態度に、当の米国大統領は、初対面で彼を好感し、親近感は首相が凶弾に倒れるまで変わらなかったと聞いている。相寄る魂というものだろう。

故首相はマスコミから「お友達内閣」と揶揄される組閣を、任期中の内閣改造の度に繰り返していた。
また選挙対策として、地元講演会のメンバーを毎年都内の桜の名所に誘い、親睦を図り票田を養った。その経費の出所と支払の明細を野党やメディアから追求されたが、有耶無耶になった。

適材適所の能力主義でなく、自分に従属的な近しい人を閣僚や党役員に重用する人事は彼の求心力の源泉で、党内最大の派閥を形成できた要因である。ポストを得るために参集する議員が引きも切らなかった。政治理念や政策よりも「数は力」が、彼の政治手法だった。

彼は身分の高低を問わず、あらゆる人々を惹きつける魅力を持っていた。人懐っこさと如才なさは、祖父に溺愛された結果だろう。 
親しい人には気を配ったが、一般国民や無縁の人には極端に冷淡だった。
米国の新大統領は、この故首相に格別の親近感を抱いていたらしい。ふたりは成人する過程が似ている。波長が合う間柄だったのだろう。

故首相とは不仲の間柄だった現首相、新大統領とは合わないだろう。合わない首相を戴いたことは、国民にとって天の配剤と心得るべきか?












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