アケビ、ミツバアケビは、シーボルトの『日本植物誌』に載っており、
この植物画は、川原 慶賀(かわはら けいが1786-1860?)が描いている。
江戸時代での、この写実性は素晴らしいできばえだと思う。
シーボルト事件に連座し長崎ところ払いになり晩年はよくわからないようだ。
調べてみる興味が湧いてきた。
ミツバアケビ植物画
ミツバアケビ本文
(リンク先)京都大学理学部植物学教室所蔵の画像は、よく出来ていて、
葉、花、種などの部分にも対応した拡大が見られる。
日本でも、この時期に植物画の基本がシーボルトと画家川原慶賀によって出来上がったともいえよう。
さて、我が家でもミツバアケビの花が咲いていた。
(写真1)ミツバアケビの雄花と葉

10年もの間、
雨樋に巻きつき春から秋にかけて柔らかな緑のカーテンを供給してくれていたが、
花を見たのは初めて。
実がなっていたのに気づいたのが昨年が初めて。
と、意識して観察することのない植物だった。
薬用植物であり、アケビの蔦(つた)を乾燥させたものを“木通”というが、
この蔦は必ず左巻きで対象物に絡まっている。
右巻きにならないところが不思議だ。
3月に葉が出てくるが、ミツバアケビの葉は3つの小さい葉で成り立ち、
アケビの5枚の葉と区別される。
名前の由来も葉の枚数から来ている。
初めて見た花は、花とは思えずなんだろうと思ったほど奇妙な形態だ。
雌雄同株で、雄花(写真1)は、濃い紫色で2~3㎜のネジを思わせ、ブドウのように垂れ下がる。
雌花(写真2)は、雄花同様の濃い紫色で、雄花よりもサイズが大きいが数が圧倒的に少ない。
雌雄同体だが、同じ株では受精しないようで、素晴らしい自然の秩序が見られる。
昨年、初めて実がなったが、昆虫が受精させてくれたので、殺虫剤などを使わずにおいてよかった。
(写真2)雌花

(写真3)雌花のアップ

ミツバアケビ(Akebia trifoliata )
・アケビ科アケビ属の落葉つる性の木。対象物に左巻きで巻きついてくる。
・本州から九州の野山に自生する。
・雌雄同株で春に濃い紫色の花が咲く。
・果実は9~10月頃で、紫色に熟する。
・小葉が3枚で、縁に波状の大きな鋸歯がある。
・“開け実”(あけみ)が名前の由来。