福岡高裁判決 二審で取り消し2例目
生活保護基準引き下げは生存権を保障した憲法25条に違反するとして、福岡県の生活保護利用者39人が国を相手取って、基準額の減額処分取り消しを求めた「生活保護基準引き下げ違憲訴訟」の判決が29日、福岡高裁であり、松田典浩裁判長は、「保護変更決定処分を取り消す」と判断しました。同様の集団訴訟で、高裁で引き下げを取り消したのは2例目です。
判決では、国が基準額引き下げの根拠とした、一般所得世帯の消費水準との均衡を図る「ゆがみ調整」額の算定に違法性を認めなかったものの、消費者物価指数に基づく「デフレ調整」については、生活保護法8条1項の趣旨・目的に反する過誤・欠落があると指摘し、厚労相の裁量権を逸脱または乱用したものといえるとし、違法性を認めました。国への損害賠償請求は棄却しました。
同種の訴訟は29地裁で提訴され、高裁では5件目の判断です。福岡地裁では、厚労相の判断を認め、憲法25条には違反せず、生活扶助費の減額は適法と判断していました。
判決後、原告団長の中島久恵さん(78)は、「逆転勝訴」の幕を広げ、かみしめるように「勝ちました。ありがとう」と繰り返し、傍聴に駆け付けた多くの支援者らと喜びを分かち合い、10年以上にわたりたたかってきたことをいたわり合いました。会見では、生活保護費が引き下げられる中、10年前に亡くなった夫も「『良かった』と言ってくれると思う」と声を震わせました。
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