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浅田真央ちゃんがGPファイナルで久しぶりに優勝した。
多少のミスはあったものの、素晴らしいフリーの演技だった。
長らく悩み続けていた彼女が復活した背景には
トリプルアクセルとの決別が大きかった。
捨てたわけではないので、執着との決別だ。
従来トリプルアクセルに拘ったがために
彼女の演技はそこだけがクローズアップされて
本来見せるべき流れとしての演技を見て貰えなくなっていた。
フィギュア・スケートは氷上のバレエと言われてるように
滑り始めから最期フィニッシュまでが一つの作品なのだが
今まではトリプルアクセルを失敗すると
そこで観客は興味の半分以上を失ってしまった。
つまり観客は彼女の演技ではなく、ジャンプを観に来ていたのだ。
だから線ではなく点を評価するという、偏った観賞をしていた。
その元凶を作ってしまったのは、伊藤みどりだった。
彼女の存在で、日本人はジャンプ至上主義になってしまった。
もちろん失礼ながら容姿で劣る彼女には最高の武器であり
彼女が氷上で輝くにはあれしかなかったと思うが
その後の日本女子フィギュア界への影響も大きかった。
観客が派手なジャンプを要求するようになってしまったからだ。
それがどれほど後の選手にとって重圧になっていたか
想像に難くない。
本来フィギュアは美しさを見せるものであり
派手な空中戦は付け合わせであるべきなのだ。
それが変わり始めたのが、採点方法の変更と
キム・ヨナというライバルの存在だ。
一度のジャンプの失敗が大きな減点となっていたのを改め
ステップやスピンなども正統に評価するようになった。
正確にはジャンプの失敗が決定的ではなくなったのだ。
それは観てる者にも意識変革をもたらしたが
何より選手にとって大きな変革であったはずだ。
リスキーなジャンプに頼る必要性が薄らいだのだから。
そしてそれが味方になったのがキム・ヨナだ。
彼女はトリプルアクセルには見向きもせずに
ひたすら全体を通しての完成度や美しさを重視した。
その結果当然の如く女王として君臨するのである。
一方苦しむことになったのが浅田真央だった。
演技構成の中心にトリプルアクセルを置いていただけに
それはスケーティング・スタイルにまで影響があったはずだ。
言ってみれば根本から作り直す必要性に迫られた。
ジャンプ中心に練習してきた者が路線変更するのは
想像以上の苦労があったに違いない。
それが何年にも渡る不振に繋がったのだろう。
しかしその苦労はついに報われることになった。
しかもその変更は、本来彼女の持つ愛らしさを引き立てるという
これ以上ない結果を生み出していた。
思えば、今まではどこか苦しそうに演技していた。
とてもジャンプを楽しんでるようには見えなかった。
それが今回のGPファイナルでは一変していた。
まずあれほど楽しそうに演技をしている真央ちゃんは
ここ数年記憶にない。
何よりステップの素晴らしさは、キム・ヨナに匹敵する。
そのキム・ヨナも今期世界最高得点という派手な復活を果たし
どうやらもう少し女子フィギュア界は
この二人による覇権争いが続いていくようだ。
考えただけでワクワクする。
思えば札幌オリンピックでジャネット・リンがもたらした
日本に於けるフィギュア・スケートのブームは
伊藤みどりによってその人気を不動のものにして
今史上最高の選手を生み出したのかも知れない。
これからが浅田真央という選手の
本当の素晴らしさに出会えるのは間違いない。
ファンとしては、また楽しみになってしまった。
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