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袴田事件は事件発生からほぼ半世紀を経て、再審が許可された。
袴田死刑囚は人生のほとんどを塀の中で過ごし
多分そのまま死んでいくだろうと本人も考えていたところ
いきなり塀の外へ出られる事になった。
まあこれぞ浦島太郎状態だけど、あっちは竜宮城で酒池肉林!
失意と絶望の中で過ごしてきた袴田死刑囚とは真逆の境遇だ。
事件に関して有罪・無罪は再審開始を待つしかないんだけど
今回は検察が即時抗告した理由を考えてみたい。
本来重要な証拠がその証拠能力を否定され
裁判官をして「拘置は堪え難いほど正義に反する」と言わしめるほど
袴田死刑囚が犯人とするには、明らかに無理・矛盾がある。
ならば検察が再審に異を唱えるのは、かなり違和感がある。
実を言えば、袴田死刑囚を犯人とする疑問は、当時から囁かれていた。
死刑判決が出てからも、弁護団によって幾度となく矛盾を明らかにされている。
今回のように証拠能力を疑われたのも一度ではなかったし
状況証拠でさえも、かなり矛盾した部分が見受けられた。
更に言えば、当時審理を担当した裁判官(裁判長ではない)の一人は
袴田巌を犯人とすることに、強い疑問を持っていたらしい。
当時日本の判決決定は、裁判長と補助裁判官2名の計3名による合議制で
原則として3名一致でなければ、判決も決定を見ない。
にも関わらず死刑判決に至ったのは、否定的な意見を押し潰されたからだ。
推測すれば、将来に関してネガティヴな事でも言われたか?
まあ裁判所といえど縦社会であり、エリートの出世社会なので
上から強く言われれば、なかなか逆らえなかったのだろう。
「意見を押し切られた」というのは、当の裁判官が公に発言してるので
これに関しては推測ではないし、判決から程なくしてこの裁判官は退官し
以降は弁護士として活動している。
退官に至った心情は推して知るべしだろう。
まあここまで犯人とするに疑わしい要素が揃っていれば
少なくとも現在は、被疑者を犯人とする判決には至らない。
まして死刑判決なのだから、疑いがあるままで判決するわけがない。
だけど当時は残念ながら、思い込みや決めつけがまかり通った。
社会的に関心が高かったのも、早急な判決を求めた理由かな。
当時は警察も検察も裁判所さえ、強権を誇示していた時代だしね。
真実より実体のある犯人が必要だったんだろうな。
だから”疑わしきを罰して”しまった。
今回は重大な証拠をDNA鑑定と裁判所判断によって否定されたのだから
本来検察も抗告するのは恥の上塗りになる可能性が大きい。
なのになぜ即時抗告したのかといえば、メンツを守るためだけど
袴田巌を犯人と信じているかといえば、それは大いに疑わしい。
それは未だに袴田死刑囚が生きている事でも判る。
つまり、死刑執行してしまうだけの勇気が、司法に無かったのだ。
裁判開始から一貫して無罪を主張し続けたというのもあるだろうが
多分最も犯人とするに疑いを持っていたのは、司法側だからだろう。
「万が一本当に無罪だったら・・・」と恐れを持っていたのか
もしくは、犯人ではない可能性を持っていたからだ。
少なくとも疑いを持っていた人物が、少なからず居たのは事実だ。
だから死刑執行することが出来なかった。
そして司法側としては、そのまま死んでくれることを願ったのだ。
多分後数年でその願いは叶ったはずだ。
それは袴田死刑囚が出てきてすぐ入院してしまった事でも判る。
高齢の上に持病も患っているらしい。
そこで検察のとった手段が即時抗告だ。
上手くすれば再審開始までの時間を稼げる事になる。
その間に死んでくれればと考えたとしても、おかしくはない。
当事者が亡くなってしまえば、再審は意味を成さない。
まあ執行できない死刑囚に対して、司法が出来る唯一の方法ではある。
多分今までも何人かはそれで決着してるはず。
ずーっと執行されない死刑囚がいれば、何かを疑っている
もしくは恐れていると考えて間違いない。
因みにオウム真理教の松本死刑囚は、多分死刑執行されることはない。
それによって残党が何をしでかすか判らないからね。
もし執行書にサインする法務大臣がいれば、その勇気は称賛するけど
まあ無いだろうな。
それはともかくとして、袴田事件に関して言えば
即刻再審を開始するべきが正義だと思うな。
別に現時点で袴田死刑囚が無罪だと言ってる訳じゃなくて
当時の判決に重大な疑問が出たんだから、それが当然の手続き。
即時抗告をした検察の行為に、司法の正義は感じられない。
まあ科学捜査も随分と進歩してるから、やりたくないのは判るけどね。
それでは国民に正義を説く資格はないな。
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