引き続き航空戦艦能登の内部構造についてです
上図は機械室あたりの横断面図です
緑の部分が上部格納庫、赤い部分がヴァイタルパート、オレンジ色が煙路です。
格納庫の天井は二重構造になっており、緑の濃い部分は天井裏で上下に20mm鋼板が張られています。
この間隙は滑走路上に立てる可動防風柵や様々な装備を格納するほか、爆発に対する干渉帯ともなります。
その上の滑走路には75mm装甲板が貼られています。これは500kg爆弾の急降下爆撃に耐える厚さです。
この滑走路は重量制限の関係で飛行機の離発着できる最小限の部分にしか装甲板が張られておらず、
それ以外の場所に爆弾や砲弾が命中した場合、甲板を貫通して下の格納庫内や船室に突入することが
予想されます。その下にはヴァイタルパートの水平装甲板があり、スピードの落ちた爆弾を跳ね返し、
信管が正常に作動すれば爆発はそこで起こるはずです。
艦の心臓部である機械室・缶室や弾火薬庫は40cm砲弾に耐える装甲板の箱で防御されており、格納庫内
での爆発でも影響を受けません。艦内で発生した爆風は横に向かって拡散し、斜め下の非装甲部や外側に
外れるように設置された舷側装甲帯を吹き飛ばして外へ出るのです。
この時重要なのは、装甲滑走路が艦内の爆発に対してめくれ上がったり変形したりせず、離発着能力を保持する点にあります。
これは爆弾や砲弾を跳ね返す以上に重要な点です。敵弾を受けることが前提の航空戦艦では、被弾しても
艦載機の運用能力を失わないという事がそのまま戦力保持を意味するからです。
勿論、艦内で爆発が起これば損害は発生しますが、それを最小限に抑えるのが下に記した
縦横に張り巡らした隔壁による間接防御と消火・防火設備などによるダメージコントロールによる所となります。
艦首の内部構造です。
赤いヴァイタルパートの前方は従来は船室でしたが、航空戦艦である能登の場合は航空機の燃料であるガソリン槽があります。
ガソリンは揮発して空気と混合すると爆発性の高いガスとなり、極めて危険です。日本の空母大鳳はそれが
原因の爆発によって轟沈しました。日本はガソリン槽の防御に関して欧米より遅れており、それが露呈された
形となったのです。また、そればかりでなく戦艦の間接防御に関して徹底していない部分もあり魚雷の攻撃で
浮力を失いやすい欠点もありました。
そこで能登ではその点を改善すべく艦首の内部構造を多重の間接防御で固めてみました。
船体の水線下の一番外側には、魚雷が命中した場合の干渉スペースとなる空所があります。その内側は
重油槽により爆発の圧力を受け止める層になっており、その内側に破片を防ぐスプリンター防御鋼板による殻があります。
内部のガソリン槽は四つに分割され外側はコンクリートと不活性気体(CO2)を充填した空気層で覆います。
船底は三重底で真水タンクや空所、前は碇の錨鎖庫、上は水平防御鋼板とコンクリート層で守られます。
こうすることで魚雷が命中しても容易に被害は広がらず、ガソリン槽の安全と予備浮力の確保ができます。
正規空母では艦の後部にもガソリン槽がありますが、能登の艦載機は30機程なので前部のみとなります。
そこで艦の後方の空所は主に船員室に当てられ、ここも艦首同様の間接防御を施すことで予備浮力の確保を図ることになるでしょう。
旧日本帝国海軍の戦艦は極端な集中防御で、予備浮力の確保に難があったと言われており、これは
平賀譲造船技官の理論が反映した結果と言われています。それに対し藤本喜久雄技官の理論では間接防御
による予備浮力の確保を重視しており、これが実施されていれば大和級戦艦はもっと沈みにくい艦になったと思われます。
能登に関しては艦載機のアイディアがありますので、機会があったらまた発表することにします。
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●仕事に関して
現在、一社のゲーム会社からスカウトを受けており、近々仕事に入る見込みとなりました。
ただしまだ本採用となるかは流動的な状態ですので就職活動は続行することになりそうです。
今後の情勢に関しては引き続きこのブログで発表して行く予定です。