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著作を書いた瞬間にそれに付与される権利、それが著作権です。言わば人間における人権の
ようなもので、作者の死語70年後に消滅します。大抵の人は著作を作ることができませんでした
が、そうした人々に著作を提供することで生計を立てる作家の為に、その権利を保護する目的で
作られました。著作権はその国の法律で保護される事により法的な効力を持ち、裁判等で作家
が自分の権利を主張することができます。
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前回の記事から10日が経ちましたが、いくつかの進展があり議論も各所で進んでいるようです。
AI絵には著作権がなく、それは生成される過程でオペレーターが手を加える所がないためですが、
どこまで手を加えれば著作権が発生するかという点と、AI使用の明示の有無が議論の元になっ
ているのです。作家の立場からすれば、著作権のない画像がネット内で発表され人気を博す
(Twitterではフォロワー数の多さで示される)ということは、自分存在意義にもかかわってきます。
そればかりでなく実際の収入にも影響するわけですら、AI絵を手書きであるかのように発表する
のは詐欺と言えるのです。
しかし、この同じ現象をAI絵を作る人の側から見ると、別の側面が見えてきます。つまり元々作
画能力がない人のほうが作家より多く、それはネット内でも変わらないわけですから、自分にも絵
が描けた(生成できた)という軽い気持ちで発表したところ、絵で収益を得ているプロから苦言を
呈されたということになるかも知れないです。
背景にある様々な事情に鑑みて、これからは単純にAIで生成された画像、あるいは手で描かれ
た画像には明示がエチケットになるのではないかと思えます。しばらくの間は、そのパーセンテー
ジやどのような表示とするのか等の試行錯誤の時期となるでしょう。分かりやすくいえば、食品表
示のように内容やその割合が絵の品質表示となるのです。牛乳は乳脂肪分何%以上でそれ以
下は加工乳であるという線引きが絵の世界に入ってくるのは違和感がありますが、AI絵ショック
が起きた以上は対応する必要があると思います。
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作家たちの間では、これらの状況を座して静観せず自らAI作画を道具として活用する動きが始
まっています。部分的に自分以外の作画を導入するという行為は珍しくなく、むしろかなり古くか
らある分業体制の一つとさえ言えます。漫画ではアシスタントに背景やモブキャラの作画を発注
して作家本人は主人公を描くといった作業は昭和のころからの伝統で、現在では版権フリーの背
景画やペイントソフトによる効果線、またネットを使った外注アシスタントによる作画の使用がなけ
れば連載漫画は作れないのです。
そういった状況にAI作画が入ってゆく事は、技術的には何ら問題がないといえます。使う側の体
制や受け手の感情が影響を受けるかもしれませんが、それはやがて折り合いがつくレベルの問
題だと思えます。
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しかし、ここで別の厄介な問題が出てきました。それは日本以外の海外での動きです。
ネット内には国境線がなく、あるとすれば言語の壁ですが、それも機械翻訳の高度化によって
次第になくなりつつあります。日本のアニメ・漫画文化も海外に雄飛して半世紀は経っており、そ
の支持層は日本本国を超えつつあります。そこで、AI作画に関しても海外に波及していると考え
られます。 AIソフトに指示を出す言語が英語である関係で英語圏の人々はより手軽にAI作画に
興じているのではないかと考えられます。
外国の人の絵の嗜好が日本と少し違うといっても、その量的多さは圧倒的であり、ネット内の画
像検索をも圧迫しているといいます。これらの氾濫するAI絵によって、逆にAI画像生成のための
元となる検索画像が影響を受けると予見する人もいます。つまりありふれた絵柄が大多数を占め
れば、AI絵自体も影響を受けてありふれた傾向の絵になびいてしまうと言うのです。
これに関して絵描きの側からは、今まで自分たちが積み重ねていった手描き絵の土壌をAI作画
が勝手に使っていると言う考え方が示されています。もし実際にそうなればネットを
自分たちの宣伝の場としていた絵描き達が何らかのダメージを受ける事はあり得ます。つまり、
自分の絵が画像検索にかかりにくくなることで宣伝の効用がなくなるという事です。
また、絵を描けない人たちが対価を払って作家の作品を買っていた今までの体制が縮小するこ
とは目に見えています。欲しければ自分だけの画像をAIに描かせればいいのですから、一部の
需要は確実に消滅することでしょう。
これを防ぐために、特定の手描き絵を素材にAIに作画させるという方法があり、実際に作家自
身が自分の絵をAIに学習させて自分の絵を生成させる試みがなされているそうです。これは絵が
描けない人の側からもできることで、特定作家の絵を素材に描かせることで、著作権のない絵を
生成することが可能です。作家の側では、そのAI絵に自らが加筆することで著作権を与えること
が可能ですが、その絵を発表する時に配慮が必要だと思います。
なぜなら、100%オリジナルでないと認めないという人や、半分以上は描いてほしいと言う意見
等は必ずあるからです。
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この他、私が懸念しているのはイデオロギーの問題です。AI絵が受け入れられた背景には即物
的なものでも受け入れてしまう若者の捉え方があります。その物の由来とか作られた過程とかは
関係なく、その物が存在するのだから受け入れるという過去にとらわれない考え方です。「実存は
本質に先立つ」とサルトルは言いましたが、そういう実存主義的な考え方を支持する人々が世界
には少なからず存在します。それは共産主義の人々です。
アニメや漫画の広がりが世界的であることは前述しましたが、隣国の中国もご多分に漏れず国
策で推進しているお国柄です。かの国の著作権に関する考え方がどうなのか良く分かりません
が、AI作画に関して並々ならぬ力を入れていることは想像できます。それは共産主義のイデオロ
ギーと良く合致するからです。かの国の人口は日本の10倍以上あり、経済的にも上を行ってい
て日本の作家達が抗しても叶わぬ質量をもって驀進しています。
この大きなうねりが日本へ到達した時、日本の作家が積み上げてきた土壌はどうなってしまう
のか。それが懸念されるのです。
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ここまで考えた時、私は自分の過去を想起しました。
私は著作で収益を得て自活する事に成功しませんでしたが、その理由の一つがアイディアを作
り出すことの方が得意だったことがあります。アイディアには著作権がなく、多くの作家は知って
か知らずか私のアイディアをこぞっ使っています。そうした背景に着目して私の私生活から直接
情報を抽出するストーカー行為も横行しました。先だってネット内での中傷に関する法律が改正さ
れ裁判手続きが簡素化され、私の人生に明るい兆しが見えてきましたが、今度は大多数の作家
が自分の著作物が同様の危険にさらされる状況になったように思えたのです。
私のアイディアには著作権がなく、作家の方々の著作物には著作権があります。また、私のア
イディアや個人的な情報の中には発表してない情報がありますが、作家達はネット内で発表して
検索にかかる画像がAI画像生成に使われています。そういう差がありますが、AI作画は元から著
作権を考えていない人たちによって推進されています。そしてその人たちは元々著作物にお金を
払って購入していた人たちです。そこにあるから使ってしまうという方法が横行することで損害を
受けている事は私も作家たちも同じであるように思えたのです。
私自身はこういう境遇にすでに30年近く置かれていて、全貌が何となく見えていますが、作家
の方々は混乱状態を起こしているのではないかと思います。あせって失敗せぬよう、まずはお気
をつけ下さい。結局は作る側に主導権があると信じることをお奨めします。
P..S PixivではAI作品の表示・フィルタリングのサービスを始るとの告知がありました。