勃ちあがった象の白い涙の物語

ロックンロールにゃ老だけど死ぬにはチョイと若すぎる

「落日燃ゆ」 城山三郎

2011-05-24 23:13:15 | 書籍
太平洋戦争の東京裁判において、唯一の文民A級戦犯として絞首刑となった広田弘毅の生涯を追った作品。
この本を読む限り広田弘毅という人は、「物来順応」で「自ら計らわぬ」生き方をした人物で、確かに、あの戦争へと至る過程において総理大臣や外相を歴任した人物であるが、総じて「平和・国際協調」を推し進めようとした人物であり、決して、他のA級戦犯のように、積極的に戦争への道へと日本を推し進めていった人物ではなく、むしろ、その逆の人物であるといえる。
これだけの善人としか言いようのない人物が、有罪となり絞首刑とされたところにあの東京裁判が、いかに戦勝国の報復裁判でありいい加減なものであったのかが明白なものになると言える。

この本に描かれたのはある程度は真実であり、広田弘毅は本当は絞首刑なんかになるような人物ではなかったのだろう。しかし、ここまでの完璧な善人の存在というのは、あまりに出来すぎた話で、実際は、ここまでの人であるとは思えない。
そういう意味で、この本は、真実を伝えているというよりも、広田弘毅の提灯持ち小説という感じがしないではない。
しかし、その時代背景である、日本が戦争へと突き進んでいく過程のある側面は、よくわかると思う。


5/22の「江~姫たちの戦国」

2011-05-24 22:41:00 | Weblog
「江~姫たちの戦国」がイマイチ面白くない。
その時代背景や史実の主人公の持つ素材といったものはすごく興味深いものがあるはずなのに、今のところ、その素材や時代背景を上手く活かしきれていない印象がある。
特に、ここ数回の展開は、いかにも女性作家による恋愛物という感じで、そういう意味では、あの茶々が秀吉を張り飛ばしたシーンなんかはよくできていると思うし、そういう恋愛物を期待する向きにはいいのだろうが、かつてのように大河ドラマといえば重厚な時代劇を連想する人たちにとっては、どうも物足りないんじゃないだろうか。

正直、今の感じだと、これから関が原や大阪の役という日本歴史上最も重要な場面を向かえても、この傾向は変わりそうに無い。このまま見続けるべきか否か、真剣に悩む。