第一次世界大戦と日本の残りを読み終えました。強く印象に残っているというか、なるほどと思ったのは、第一次世界大戦の前は日英同盟のように二国間で同盟を結んだりして安全保障体制を構築していたのですが、第一次世界大戦後には国際連盟や海軍の軍縮条約のように多国間で安全保障を確保しようという考え方に変わったことです。
日本の外交官の中にもこの考え方に共鳴して、世界の外交の中で成果をあげられていたということに驚きました。しかし、この考え方は日本という国、日本政府の中に定着することなく、国際連盟を脱退して孤立化していくこととなります。
多国間での安全保障体制にも関連するのですが、日本と中国との関係がこの時代も大きな課題だったことです。中国については中国自体も含めて欧米各国と日本で9か国条約が結ばれて、中国の門戸解放などが決められたわけですが、日本にとっては日清、日露で血を流して確保した権益があり、欧米各国は地理的に離れていますが、日本にとって中国は隣国です。
またイギリスやフランスはたくさんの植民地から資源が得られ、アメリカも自国内で資源が得られるのに対して、日本は資源を中国に求めなければならないということから、中国に対して特別な扱いを求める考え方が強かったと言うことがあげられます。それが満州事変や日中戦争へとつながっていくことになります。
日本国内の政治面からみると、大正時代は二大政党による政党政治が確立されたわけですが、党利党略に走ったりして国民からの信頼を失い、五・一五事件で政党政治は終わりを告げることとなります。その後は陸軍が気に入らない内閣には陸軍大臣を出さないという手段をもって、政治を左右するようになります。
そして日本はだんだんと危機的な状況に向かうこととなりますが、強いリーダーシップをもって国を指導できる人物がいなかったのか、いても陸軍に阻止されたのか、そのような人物が現れることはありませんでした。近衛文麿は陸軍や国民からも人気があったようですが、平時ならともかく、あの時代に日本を引っ張っていけるだけの力を持つ人物ではありませんでした。そして、太平洋戦争へと突き進むこととなります。
また、当時の国民の世論について最も影響力が強かったのは新聞だと思いますが、政府や軍による検閲等々、報道や言論の自由があるわけではないだけに、国民の世論を一つの方向に向かわせやすかったともいえます。今のように言論の自由が保障された社会では、ひとつの事柄についても右寄りの意見から左寄りの意見まで、得ようと思えば様々な意見を得ることができます。ですから、よほどのことがない限り、世論が極端に一方向に向かうことはないと思います。
ということで、新書でしたが色々と考えさせられる一冊でした。
日本の外交官の中にもこの考え方に共鳴して、世界の外交の中で成果をあげられていたということに驚きました。しかし、この考え方は日本という国、日本政府の中に定着することなく、国際連盟を脱退して孤立化していくこととなります。
多国間での安全保障体制にも関連するのですが、日本と中国との関係がこの時代も大きな課題だったことです。中国については中国自体も含めて欧米各国と日本で9か国条約が結ばれて、中国の門戸解放などが決められたわけですが、日本にとっては日清、日露で血を流して確保した権益があり、欧米各国は地理的に離れていますが、日本にとって中国は隣国です。
またイギリスやフランスはたくさんの植民地から資源が得られ、アメリカも自国内で資源が得られるのに対して、日本は資源を中国に求めなければならないということから、中国に対して特別な扱いを求める考え方が強かったと言うことがあげられます。それが満州事変や日中戦争へとつながっていくことになります。
日本国内の政治面からみると、大正時代は二大政党による政党政治が確立されたわけですが、党利党略に走ったりして国民からの信頼を失い、五・一五事件で政党政治は終わりを告げることとなります。その後は陸軍が気に入らない内閣には陸軍大臣を出さないという手段をもって、政治を左右するようになります。
そして日本はだんだんと危機的な状況に向かうこととなりますが、強いリーダーシップをもって国を指導できる人物がいなかったのか、いても陸軍に阻止されたのか、そのような人物が現れることはありませんでした。近衛文麿は陸軍や国民からも人気があったようですが、平時ならともかく、あの時代に日本を引っ張っていけるだけの力を持つ人物ではありませんでした。そして、太平洋戦争へと突き進むこととなります。
また、当時の国民の世論について最も影響力が強かったのは新聞だと思いますが、政府や軍による検閲等々、報道や言論の自由があるわけではないだけに、国民の世論を一つの方向に向かわせやすかったともいえます。今のように言論の自由が保障された社会では、ひとつの事柄についても右寄りの意見から左寄りの意見まで、得ようと思えば様々な意見を得ることができます。ですから、よほどのことがない限り、世論が極端に一方向に向かうことはないと思います。
ということで、新書でしたが色々と考えさせられる一冊でした。