トーネードの無職生活

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龍陵会戦を読み終える

2015-11-26 07:11:58 | 日記
 龍陵会戦という本を読み終えました。著者は古山高麗雄という方で、「断作戦」「龍陵会戦」「フーコン戦記」の三部作が有名な方です。

 普通の戦記物は個人の体験や体験者に取材したものに、公刊戦史などを合わせて戦場や戦闘について書かれているものが多いと思います。古山氏の三部作は「断作戦」についてはかなり前に読んだので記憶は薄れてしまっているのですが、ちょっと変わった作品だなと感じたことを記憶しています。

 「龍陵会戦」を今回読んで感じたのは、古山氏自身の経験、取材した内容というか様子、執筆している時に考えたことなどが書かれている、私小説のような雰囲気で、戦いの様相を明らかにするという作品ではありません。中心的に著者が訴えたかったことは「死」についてではないかと思います。

 著者の所属した仙台の第2師団は日露戦争でも活躍した伝統ある師団で、太平洋戦争ではジャワ島に進出して駐屯していたのですが、内地帰還かといわれていたところに、ガダルカナルの戦いが起こってガナルカナルに投入されることになった師団です。そして多くの将兵を失ってガダルカナルから撤退した後、著者も召集されて再建された後にビルマに投入されました。ですから中にはガダルカナルとビルマの二つの地獄の戦場を経験された方もいます。

 ビルマの戦いというとインパール作戦が有名ですが、どうも戦場としては裏舞台な存在に感じられていますが、ニューギニアやフイリピンなどと同様に地獄の戦場でした。著者の所属する第2師団は中国国民党の米軍式装備の師団の大部隊が雲南からビルマに侵攻してきて孤立した陣地にいる味方部隊を救援するために戦ったのですが、米軍式の物量重視の戦いをすすめる国民党軍に押しまくられて味方を救出することはできず、包囲された日本の陣地の部隊は大陸にありながら玉砕したという戦場でした。

 著者はそのような戦場で第一線で戦闘を行ったわけではなかったのですが、いわゆる気合の入った精神論の権化のような日本兵とは全く反対の、召集されたからしかたなくいる兵隊という存在で戦場を見ていたようです。しかし作品が反戦的な内容というわけでもなく、先にも書いた通り「死」というものについて戦場にあっても、また復員してからの実生活の中でも考えているという感じで、ちよっと変わった戦争に関する本となっています。

 そんなわけで、読後、なんとなく自分も「死」というものを考えてしまう作品です。