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薔薇が咲いた。
母の最期の数週間、枕元を飾った冬咲きの薔薇。
シクラメンの鉢植えと一緒に買い求めた冬薔薇の鉢植え。
母に「綺麗でしょう」と指し示すと
首をもたげて、かすかに微笑んだ、あの最期の笑み…
あれから母は意識が混濁して、
もう私たちの呼びかけに応えることもなくなった…
母を看取った後も、大切に育てた2つの鉢植え。
シクラメンは、その後もたくさんの花を咲かせ4月上旬くらいまで楽しませてくれた。
一方、冬薔薇は母の死から一時経つと、もう花を咲かせなくなった。
それでも葉を広げるので、その後も水遣りを欠かせなかった。
それが5月の声を聴くと、薔薇が蕾をつけた。
徐々に徐々に蕾は、時間をかけて膨らみ始めた…
そしてお遍路の旅立ちを2日後に控えた今日、薔薇は花開いた。
この旅立ちの日を待ちかねたような母の臨終を見守った薔薇の開花。
「母さん、一緒にお遍路に行こうね」
「父さんとハマノおばあさんも一緒だよ」
今日はカーネーションも買ってきた…仏前に一緒に飾ろう。
そう明日は「母の日」。
植物や動物は敏感で現代人には計算できない現象を伴うものだと思います。
このコンピュータ全盛時代においてもしかり。
母の日の前日、また旅立ちの前、そしてランスケさんの思いやる素晴らしい心が薔薇を咲かせたのだと思います。
ある種、愛情を注いだペットや丹精込めて育てた植物は、
人の想いに報いいるような結果をもたらすことがあるという話を耳にします。
もちろん偶然の賜物でしょうが、
なんとも気持ちの和む旅立ち前の吉兆です。
それにしても、お遍路始めの10日から4日続きの雨模様…
はは…空模様は五月晴れとは行かないようです(苦笑)