うって変わって、その日は、
微睡むようにうららかな春の海でした。
原発事故後、福島の子どもの間で広まったある行為がある。
15歳の誕生日を迎えた記念に、震災以来帰ることのなかった故郷を初めて訪ねるというもの。
今も避難指示区域への一時帰宅は15歳以上にしか認められない。
時間が止まった故郷への短い旅は、失われた時を見つめ、自分が歩むべき道を整理する、いわば大人へと成長する旅でもある。
帰郷する子どもたちに密着し、それぞれが何を感じ、どう新しい1歩を踏み出すのか見つめる。
うって変わって、その日は、
微睡むようにうららかな春の海でした。
原発事故後、福島の子どもの間で広まったある行為がある。
15歳の誕生日を迎えた記念に、震災以来帰ることのなかった故郷を初めて訪ねるというもの。
今も避難指示区域への一時帰宅は15歳以上にしか認められない。
時間が止まった故郷への短い旅は、失われた時を見つめ、自分が歩むべき道を整理する、いわば大人へと成長する旅でもある。
帰郷する子どもたちに密着し、それぞれが何を感じ、どう新しい1歩を踏み出すのか見つめる。
波打ち際を歩く親子から浜辺に打ち捨てられた砂まみれのヌイグルミまで10枚の写真を並べてみました。
https://www.youtube.com/watch?v=dq1z1rkjw-E
また3.11も海へ向かったのは、前日に観たNHKスペシャルと新聞記事に触発されたところが大きいです。
TVの予告動画は記事本文に貼り付けましたから観てください。
新聞記事は、福島の震災復興の象徴として開校した広野の「ふたば未来学園」の授業内容についてです。
例えば、生徒たちに「実のなる木」を描かせると、宙に浮いた木を描く子が多いそうです。
臨床心理士は「こんな学校は始めてだ。自分の居場所の無さが絵に出ている」と驚いています。
そして以前に紹介した(本の紹介で)平田オリザの演劇によるコミュニケーション教育が、ここでも行われています。
その結果、生徒たちは、
「つらい体験を話して何になるんだと思った子は多いです。
生徒たちは、これまで他人の傷に踏み込むことを避けてきました。
自分自身の傷にも向き合ってこなかった。
周りの大人が向かせないように守ってきたからです。
やむをえなかった面はあります。
だけど、自分の傷と向き合えなくても、演劇を通じて他人の傷を知って共感する。
それが救いや癒しにもなります。
そして寛容さと他者を思いやる心が抜きんでて上昇しています。
精神的な不安定さを抱えていますが、生徒同士でお互いの傷の深さに気づきあう状況が生まれています。
地域の復興は傷と向き合うことです。
人間も同じです。キラキラした復興なんてありえません」
NHKスペシャルでカメラが追った少女も、この演劇授業を受けている子供だった。
避難した先々でイジメに会い「もう、どうでもいい。これが宿命だから」と吐き捨てる。
15歳になって被曝した故郷へ一時帰還し、学校へ戻ってから呟いた言葉が、
「あぁ、すっきりした」だった。