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週半ばに降った雨は、山では根雪になるような多量の雪をもたらしたようだ。
一足先に石鎚へ入山した今治のKさんから、新雪のラッセルに苦しめられたと
山上からの報告を受けた。
そして金曜日の夕方、松山市街地からも真っ白に輝く石鎚連山が望まれた。
夕陽に照り映え、湧き立つ雲間から黄金色の輝きを放つ白き嶺に釘付け。
あれを観てしまうと、完全に理性を失う。
ほっほさん、こちらから提案しておきながら、ドタキャンごめん。
冬季のメインルート、西条方面から入山。
スキー場のあるロープウェイ山上駅を降り立つと、真っ白な銀世界。
成就社あたりで積雪10cmくらいか。
粉雪の舞う雪道を辿り、成就の白石旅館で足回りを整えながら昼食。
土曜日の正午までに10人くらい入山したようだ。
雪面にずっと続いたトレースのおかげで、楽に山頂まで辿り着けた。
ただし、二の鎖以降は足跡が薄い。
前社ヶ森から夜明峠付近で30cmくらい、二の鎖上で50cmくらいの積雪。
(夜明峠付近から上では、笹がほとんど雪に埋もれている)
吹き溜まりでは1mを超える場所もあり。
雪は終日、降り続けた。
弥山に辿り着くと、猛烈な西風が吹き荒れる。
20kg近い荷物を担いでいても、そのまま浮き上がりそうな強風。
強風によって発達したエビの尻尾が、その猛威を物語るように見事だ。
山頂冬季避難小屋には、先着のKさんと宇和島の熱心な写真ヤさんHさんもいる。
Hさんは二の鎖下のプレハブ小屋に泊まると言って夕刻下山。
今夜はKさんと二人で小屋を貸切だ。(週末なのに珍しい)
Kさんの用意してくれた温かい鍋料理を囲みながら和やかな時間が過ぎる。
戸外は、ブリザートのような雪嵐が吹き荒れているのに。
今夜は皆既月食(10年くらい前の夏、やっぱり石鎚で出会っている)
もちろん、こんな荒天では月明かりでさへ定かでない。
山小屋の夜は長い。
なぜか私は、山の方がぐっすり熟睡できる。
身体も暖まり、9時過ぎには二人とも高鼾(笑)
夜明け前、5時頃に目覚めた。
まだ戸外は、すっぽり雲に覆われ強風が吹き荒れる。
温かい珈琲を沸かし、ぼんやり時間を過ごす。
6時過ぎにはHさんも登ってくる。
白々と夜が明けようとしているが、天候が回復する兆しもない。
また今日もダメか?
諦め気分で三人とも所在なげ。
あぁ~日の出の時刻、午前7時が、また虚しく過ぎてゆく。
突然、それが来た。
あっと云う間に、雲が切れて青空が広がり始める。
みるみる雲がオレンジ色に染まり、視界が開けてゆく。
一面の大雲海。
雲の高さが一気に下がっている。
慌てふためき3人とも小屋から飛び出す。
湧き上がる雲の浪間から天狗岳が浮き上がる。
まだ昇ったばかりの太陽にオレンジ色の日輪が縁取る。
奇跡のような天候の回復と目前の神々しい光景に我を忘れて
「ヤッホー」「おぉ~」「凄い」と意味不明の感嘆詞ばかり口走る(笑)
場所を移動しながら、撮って撮って撮りまくった。
夢のような時間は、あっと云う間に過ぎてゆく。
ふと我に返り周囲を見回すと、私たちの立つ石鎚以外は、ぐるり360度一面の雲の海。
ここは天空に浮かぶ銀嶺。
「Kさん、こんなチャンスは2度とない。墓場尾根へ行こう」と提案。
凍結した岩場歩きのためにアイゼンをつけて出発。
天狗尾根は強風を物語る風雪の霧氷樹が林立。
南尖峰から先は、Kさんがザイルを張ってルートを作ってくれる。
ザイルを固定して身体を確保して先端から覗き見ると、
予想通り真っ白な墓場尾根が望まれる。
Kさんのおかげで冬季墓場尾根の撮影に成功。
ありがとうございます。Kさん。
二週連続で信じられないような風景と出会ってしまった。
雪山シーズンの4ヶ月間で一度か二度あるかの光景と、早くも二度も。
もう今シーズンの運は全部使い果たしたようなものだ(笑)
皆さん、これからのランスケダイアリーは、燃え尽きた後の燃え滓ばかりです…御容赦を。
燃え滓なんてとんでもない!
今季はチャンスかもしれませんよ
もうお腹いっぱいです
3人の心の底から込み上げてくる感動と興奮の
ボルテージがどんどん上昇し我を忘れ夢中でシャッターを切る音が伝わって来ます。
カメラのマタギと化したランスケさんの前では
天狗岳もめったに見せない御姿を見せました。
猛々しい天狗岳が、そんなに見たいか?
それなら、日輪に照らしてもらうから包み隠さず見せてやる、そして皆にも観せてやってくれと言ったか言わずか?
今回も凄いの3乗!!
逃さず写し込みむ力があるランスケさんならではです。
何でこんなスゴイ写真が撮れるんですかね?
鬼城さんは、しばらくはこのような雄大な景色が観られないであろうから可哀想ですね。
えっ?鬼城さんは入院療養されたのですか?
最後のブログ更新記事が気になります。
私自身が一番驚いています。
過去の経験から云って、あの回復の望みの薄い厚い雲が一気に晴れるなんて…
あれは本当に神様のくれた贈り物です。
Gift(賜り物)だと思っています。
夢のような時間でした。
それを皆さんと共有できて嬉しいです。
中也さんのコメントへ書いたように、
あの場所、あの時間は、天国に近い場所、
亡き父母の近くにいたような気がします(合掌)
ランスケさんの精進と思いが通じているのでしょう。
石鎚にもよく登っていますが、このような光景は初めてです。
ましてや凍てついた墓場尾根とは・・・
トップの写真は、まさに天上ですね。
撮った人は天上人でしょうか。
宇和島の人も居たと言うことは驚きです。
大げさな人が居ますが(爆)、今日午後に入院して、明日カテーテル手術、明後日の午前中に退院です。
それで普通の生活に戻ることができます。
すばらしい写真をありがとうございました。感謝、感謝!
思い立ったらですね、行動力がありますね。
見事な光芒とワイドなアングル、とても素晴らしいです、私も撮りたいですね????
やっぱりkyoichさんが何時も云っているように
働き過ぎ(頑張り過ぎ)のように気がしますよ。
お孫さんたちの成長を見守るためにも、少し肩の力を抜いてくださいね。
misaさんがエールを送ってくれているみたいに、
今シーズンはチャンスかもしれません。
ラニーニャによる寒い冬を期待して石鎚へ通い続けたいと思います。
また皆さんと、こんな奇跡的な雪山の風景と、その時間を共有できれば嬉しいです。
確か写真系のサイトを運営されていましたよね。
そのお名前に記憶があります。
冬の山岳写真は、90%運です。
いくら天候を読んで山へ入っても、そのほとんどが、
厚く覆うガスのために何の成果も得られないまま下山することが多いようです。
それなのに2週連続のヒット。
ちょっと怖いですね(苦笑)
後は3月まで空振りと凡打を繰り返すばかりなのでしょうか?
いつも拝見しています。
特にこの2週間の作品は素晴らしいですね。
お遍路に結びつく何かを感じる様な写真です。
どうしても一言、素晴らしい写真に感謝、と伝えたくて!
温暖だと想っていた四国は、昨年の1月や今年の2月のお遍路でイメージが一新されましたが、本当に四国の自然も厳しい美しさがあると実感します。無知でした。屋久島にも宮之浦岳という九州一高い山があります。小さな島なのに不思議と感じた時と重なります。
いつも思っているのですが、ランスケさんの本職は? Landscape Photographer? 真摯に人生や山の自然を追い求める求道者、それとも道楽者??のようにも。
素晴らしい写真を拝見出来た事に感謝です。
ありがとうございました。