Landscape diary ランスケ・ ダイアリー

ランドスケープ ・ダイアリー。
山の風景、野の風景、街の風景そして心象風景…
視線の先にあるの風景の記憶を綴ります。

母の一周忌/海を照らす光芒

2011-12-18 | 家族

 

 母の葬儀は、冬の嵐のような寒い日だった。

 まもなく、あれから一年が経過しようとしている。

 辛い一年だった。

 でも、確かに乗り越えたと思う。

 あの果てしもない後悔の煉獄からは。

 

 

 

 

 

 母の命日は12/24の日付が変わろうとする時刻だったが、

 菩提寺の関係で18日に一周忌は繰り上がった。

 弟と二人、父母の故郷である四国西南地方沿岸へと車を走らせる。

 前日までの予報では快晴の一日のはずが、

 朝から雲が広がり、時折霙もまじる空模様。

 また、あの日のように昏い雲が空を覆う。

 

 早めに到着して、先祖代々の墓と父母の墓回りを清掃する。

 樒や菊の花を手向け線香に火を灯す。

 「父さん母さん、また会いに来たよ」

 手を合わせ黙祷するが心に響くものがない。

 う~ん気持ちが遠くなったのだろうか?

 正午から本堂で、和尚さんによる母の一周忌法要が行われる。

 障子の向こうから淡い冬の光が畳に射していた。

 読経の声を聴きながらも、私の心は何か遠くにあった。

 法事が終わり、再び父母の墓前に別れを告げにゆく。

 「今度は春のお彼岸だね」

 

 宇和島市内で長兄宅にて好評だった、じゃこてん(雑魚の天麩羅)を送り、昼食。

 収穫に忙しい蜜柑畑沿いの道を走り、宇和海を眺望する最後の峠を越えようとしていた。

 トンネルの手前で、その光芒をみつけた。

 車を路肩に停め、昏い冬の落日に射す海の光芒に見入った。

 母の一年目の没月に射す海のカーテンコールだ。

 

 

 

 

 

 


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9 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
epilogue (misa)
2011-12-18 21:36:04
素敵なカーテンコールです
二年前の室戸を思い出し、それと同時に昨日の久々のチャンス(しかも室戸)に又しても行けずでしたが何か救われました

気持ちが遠くなったのではなく
穏やかに、それこそこの日の夕凪のような心情では?
とても良い状態のように思われますが
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縁起に生きる (ランスケ)
2011-12-19 00:13:26
その通りなのです。
misaさん、もう後戻りすることはないと思います。
「諸法無我」というキーワードと出会った以上。
小野不一さん、ありがとうございます。
ずっと、あなたのブログを観続けています。
最近の縁起や自我、そして宇宙に纏わる記事には見入っています。
残念ながら、あなたのブログはコメント出来ない。
書き込んだその度に拒否されます。

ただし、私は縁起は人との関係性を含むと思います。
世界との繋がりは、生けるもの全てを呑みこんだ連綿と続く循環だと信じたい。
返信する
なじみの風景 (海野貴公子)
2011-12-19 09:17:47
この法華津峠は小生にとってはなじみの風景です。よくこの風景には出会います。
羨ましいでしょう。

しかし、それを映像にできない腕が悲しい。
天使の階段、光のカーテン、自然からのご褒美は、撮せなくても心には貯まっていきます。



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優しい風景 (ランスケ)
2011-12-19 20:53:55
羨ましいです。
瀬戸内の多島海風景とは違って、南予のリアス式海岸の入り組んだ内海の風景は
なんだか郷愁を誘うような穏やかさがあります。
それは南予に暮らす人たちの穏やかな気質にも通じると思います。

この冬の昏い海にしても日本海のような荒ぶ重苦しさはない。
黒い雲間から射す光が海面を照らし、その光の射すところに
福音をもたらしているような気さへして来る。

こんな優しい風景に、もっと目を向けて行きたいですね(笑)
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コメントの件 (小野不一)
2011-12-19 23:29:43
コメントの件、申しわけございませんでした。設定を直しておきました。

尚、ランスケさんの言葉には私も思うところがありますので、ブログで応答させていただきます。

諸法無我に関するコメントも触発されるところが少なくありません。「そろそろ書こうかな」と思っていたので、渡りに船です(笑)。
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回答に期待 (ランスケ)
2011-12-20 00:52:50
小野さん、コメントありがとうございます。

ブログでの回答を楽しみにしています。
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気配のする風景 (ほっほ)
2011-12-20 02:38:51
お母様の一周忌。
ランスケさんにとっては、あっという間の一年だったのでしょうか?
それとも今迄で一番長い一年だったのでしょうか?どちらにしても両親 に対する思いが今後風化するはずもなく、ましてや整理するなどということもあり得ないでしょうね。

あなたの骨も血もご両親から頂いたものです。

ランスケさんとは、今年の4月22日に30年ぶりに思わぬところで再開しました。
その日は、丁度お父様の命日と後で知りまた。偶然(必然)が重なりました。

そして9月28日お彼岸の墓参と伊達博物館に井伊彦根藩と伊達宇和島藩の縁展を観にでかけましたね。
信号機のない高速道路でライ・クーダーのショータイムのボリュームを上げれるだけ、上げてギターとボォーカルに二人鳥肌をたてながら昇天し宇和島へまっしぐら。
岩松の菩提寺に着きお墓参り、山の斜面にある墓所は180度のパノラマで日当たりもよく、永眠するなら最高のお寺です。
墓参の時、てんとう虫が迎えてくれてたのを気付いてましたか?

そのあと岩松の町並みを散策。
昔、栄えたであろう歴史ある景観に驚き,日本人の心の原風景がそこにありました。
そして、ここ岩松に疎開していた(奥さんの実家)獅子文六がその時の体験をもとに小説「てんやわんや」書いたとも知りました。

その後、伊達博物館へ、そこでkyouichと鬼城さんと 初対面、館長さん直々の解説に聞き入り縁を結び楽しい時間が流れて行きました。

私にも色々な事が今まで沢山ありましたが、ランスケさんとの出会いで言葉には出来ない諸々の事が報われ救われました。

クロスロード観ました。
ロバートジョンソンのクロスロード伝説
「ギターが上手くなりたければ夜中の12時少し前に十字路にいって一人でギターを弾くんだ。そうすると「レグバ」っていう大柄の黒マントの悪魔がやって来てギターのうでとひきかえに魂を売り渡すという話」
まさにクロスロードで十字を切るストーリ。
アーティストなら、その為に魂を売り渡すかも。
テルマ&ルイーズの感想を聞かれて今一?の私の反応に何か言いかけてやめたランスケさん。もしかして女性の自立と言う事で「死ぬまでにしおたい10のこと」とリンクしてました?

「ブレードランナー」観ました。
もしかして、浦沢直樹×手塚治虫のプルートウーの涙をながすアトムの話した時、ブレードランナーの人間の感情と寿命を持った女性レプリカントの事思い出してました?

ジャクソン・ブラウンの歌
「孤独なランナー」知ってます?
ボーカルも歌詞も最高です。

孤独なランナー
車輪の下をすり抜けていく道路をながめながら
あの夏の草原のように過ぎ去っていった年月を思い返す  65年 17歳だったぼくは
101号線を北へ向かって走っていた
いま ぼくはどこを走っているのかもわからず ただ走りつづけている
(*走りつづけるー空しくも走りつづける
走りつづけるーわけもわからず走りつづける
走りつづけるー太陽に向かって走りつづける
それなのになかなか追いつけない)

車輪の下をすり抜けていく道路をながめていたこの狂った人生をきみにうまく話すことが
 ぼくにはできそうもない
ここから引きずり出してほしくてかつては振り向けばそこにいた友の姿を
捜し求める その彼らもまた走りつづけている(*くり返し)
いいでしょう?

ジャクソン・ブラウンがデビュー前に在籍していた。ザ、ニッティーグリッティー・ダート・バンドの歌「アンクル、キャーリーと愛犬テディー」も最高・たまらんです。
もう、遅いので今日は、こへんで

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アンサーソング (ランスケ)
2011-12-20 22:21:06
ほっほさん、あなたの熱い想いに対するアンサーソングを今夜ブログに上げました。

う~ん、久しぶりに聴くRunning on Enpty 好いよねぇ。
返信する
訂正とお詫び (ほっほ)
2011-12-22 09:11:25
気配のする風景で訂正箇所が2カ所あります。

伊達博物館の書込みのところでkyouichさんとすべきところが「さん」が抜けてました。
最後の今日は、このへんでとすべきところが「の」がぬけてました。
訂正してお詫びいたします。
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