水郷素描
2013-04-29 | 風景
水郷という言葉は、河辺や湖水周辺の風景を指すのが本来の意味だろう。
では桜の花が散り、若葉の色が日増しに濃くなる季節、
代掻きを終えた田圃に水が引かれ、一面の水の世界が出現する
この温帯モンスーン気候特有の風景を、何と呼んだらいいのだろう?
ある日を境に、世界が水に覆われ一変する、この国の風景が好きだ。
おそらく「美しい国」を連呼する宰相の頭の中には、こんな風景は含まれていないのだろう。
すべてを金融という市場経済の原理に委ね、国民国家という基本概念から遠い為政者の頭の中には…
峠を越えて、萌葱色の木漏れ日を浴びながら山道を下る。
右に左につづら折りのワィンディング・ロードにハミングしながら音楽が重なる。
Creel Commisson の「Cigarette (All that we are)」
つむじかぜさん、ありがとうございます。
この曲が最近お気に入りのお散歩ミュージックです(笑)
この山里の懐かしい風景は、昨年の夏の初めに掲載した同じ場所です。
足が治って山へ復帰しても、できることなら継続的に撮り続けたい
失われゆく日本の風景だと思っています。
今回は風景から人の暮らしへ、少し踏み込めたような感触を持ちました。
御指摘の通り、偶然、納骨の場面に行き当たりました。
里の風景と絡めると、この土地に根付いた近しい人を送る儀式が、すっぽり違和感なく風景の中に融け込んでいました。
これが本来の姿なのでしょうね
その他、田圃の畦の神様や命を全うできなかった小さな命たちの風化した小さな墓石や道祖神…
藁葺き屋根の壊れそうな民家や朽ち果てた民家の庭先にコンロンソウの白い草叢が覆い尽くすように繁茂していました。
この山里には近代化の時間の中で零れ落ちた遺物が未だ其処彼処に残っています。
これも痛みの風景なのでしょうね。