Landscape diary ランスケ・ ダイアリー

ランドスケープ ・ダイアリー。
山の風景、野の風景、街の風景そして心象風景…
視線の先にあるの風景の記憶を綴ります。

月夜の森に眠る

2014-06-16 | 

 

降り続けた雨が一時止んで、梅雨の晴れ間が訪れた。

壁にかけた陰暦カレンダーを見ると、ちょうど満月。

月夜の森で、身体を横たえ青い光に満たされ眠りたくなった。

 

 

出発が、ずいぶん遅れた。

九時半に自宅を出て、いつも通り黒森峠を越えて面河渓まで。

登山口から面河道に足を踏み入れたのが三時半。

夏至を前にして、一年中で最も日が長い時分。

日没は七時過ぎだから、余裕だと楽観していた。

ところが、しばらく山道を歩いているとペースが上がらない。

先週は自転車による山越えをやっていないので、

自転車+山歩きに身体がついて行けないのか?

それとも、山小屋泊まりだからと欲張って、

重い三脚と望遠系の重いレンズまでザックに詰め込んだからか?

霧ヶ迫の水場で、おにぎりを頬張りながら、

rieさんからもらったサプリメントを。

これが効いたようだ。

なんとか、まだ明るい六時半に愛大小屋到着。

 

夕陽が石鎚の頂稜を赤く染め、

黄昏の色が次第に後退してゆく。

森の山小屋は、ひとしきり鳴き交わす野鳥たちの囀りに包まれ、

荷物を解いて寛ぐ私は、

小屋到着前に沢で冷やしておいた麦酒のプルリングを開き、

最初の一杯をカップに注ぐ。

咽喉越しの官能的とも云える快感に吐息が洩れる。

「う~ん、美味い。」

まったく、この一杯のために山へ来ているのかもしれない?

森で読む今夜の一冊は、

フランスの古典的名作「グラン・モーヌ」岩波文庫。

森の館に迷い込み、

婚礼の宴の最中、美しいイヴォンヌとの出会いにときめく。

サント・アガトの森と群青の闇を透かして、

仮装を纏う夜の宴のざわめきが通底するようだ。

ひと心地して、戸外に出ると、

森の夜陰を煌々と青い月の光が満たしていた。

 

 

 


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5 コメント

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月明り (misa)
2014-06-16 21:08:08
良い満月でしたね
日没30分ほどの時間帯がmisaのお気に入りの時間
山は良い!どんな形でもその人のlifestyleに合った自然との対話が出来れば良いと最近思うようになりました
がむしゃらに老体に鞭打って一歩一歩進むことに言葉にならない爽快感を覚えたのも遠い昔のような気がします
2年悩みながら続けてきた介護職にやっとやっとやりがいを感じ始めた・・・・今はこの仕事に誇りを覚えます

ゆきわりそう・・・・捉え方がこんなに違うんですね
心に爽やかな風が吹きました
ありがとう
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写真はヘタ (ランスケ)
2014-06-16 22:38:45
misaさん、残念ながら写真は確実にヘタになっています(汗)
例えば、タイトルの下にあるカテゴリー「森」をクリックしてみてください。
一年前二年前の写真や文章には森の生態系を写し撮るのだという意思が
明確に現れています。

それは何故か?
普通に倫理観を持った大人なら判ると思います。
公正であることフェアネスであることが、
こんなに歪められたのは、3・11以降だと思います。

「国民を守るための集団的自衛権の行使?」
じゃあ福島は?沖縄は?
甲状腺がんで100人発症しようと、急性白血病で死亡しようと、
最初から彼らは原発事故との因果関係を認めないという姿勢は明確でした。

あれから3年目の東北の旅で何が見えてくるのか?
私は自分自身の目で確かめてみたいと思っています。
60を過ぎた残り少ない時間…
せめて自分自身には正直でありたい。
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南尖峰 (鬼城)
2014-06-17 10:32:09
 新緑の中の南尖峰、良いですね。見上げる茸もすばらしい。
写真は感性のものだと思います。
ランスケさんには不思議と(失礼)備わっているような気がしています。
下手になったは、常に今よりより高い方を目指しているからだと思います。
 山岳会から会報「南尖峰」が届きました。愛大小屋、バイオトイレ設置、ヘリ搬送などの写真を懐かしく見ました。何時になったら登ることが出来るのか。
 行政はいずれも同じく、首長さんのわがままにつじつまを合わせているような気がします。
市町村、県、国しかり・・・
選ぶ人たちが真摯に考えないといけません。
返信する
また梅雨空に (ランスケ)
2014-06-17 14:01:12
また梅雨空に戻った雨降りの週明けですね。
鬼城さんのブログ同様に我が家の紫陽花も咲き揃いました。

写真がヘタなのは、対象に対する思いの丈が原因だと思っています。
自然を素直に賛美するには、あまりに周囲の状況がキナ臭くなり過ぎています。

奇しくも麻生副総理が憲法改正の際、発言したように、
第一次大戦後、最も先進的な憲法と云われたワイマール憲法下のドイツで
国民の信任を受けてナチスが台頭してきた状況に酷似しているように思えます。

ナショナリズムとは何なのか?
気になってタイムリーな新刊「ナショナリズム入門」を読んでみました。
ネイションという厄介な集団への帰属意識は、近代化によって置き去りにされてきた人々の
憤懣をベースにしているだけに、時の為政者に上手く利用されると危険ですね。
ちょうどWカップ開催時期ですからね(汗)

愛大小屋には二泊しました。
二日目は県庁の山の会の人たちと一緒でした。
初日とは一転して、にぎやかな山小屋の夜でした(笑)
堂ヶ森のエコトイレ、9月には完成みたいですね。
今年の秋には二の鎖元で工事しているバイオトイレや避難小屋も完成するのでしょうか?
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イタリアのヘップバーン動画 (ランスケ)
2014-06-18 14:09:17
毎度、動画ネタで恐縮です(笑)

このオードリー・ヘップバーンは超キュート。

https://www.youtube.com/watch?v=QAbEe4FTr6c

イタリアのお菓子メーカーのCMのために創られたCG映像のヘップバーンとか。
おそらく「ローマの休日」の頃のプリンセス・ヘップバーンでしょうか?

合わせてYOU・TUBEで往年の映像をどうぞ。

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