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Landscape diary ランスケ・ ダイアリー

ランドスケープ ・ダイアリー。
山の風景、野の風景、街の風景そして心象風景…
視線の先にあるの風景の記憶を綴ります。

霊峰光芒2017

2017-01-26 | 風景

 

二週連続の入山となった。

週末になると寒気が南下して雪が降る。

おそらく、この二週間が寒気の底になりそうだ。

温暖化傾向の顕著な近年は、厳冬期山岳写真を撮れるチャンスが限られて来る。

降雪量の少ない四国山地では尚更。

天気図を見ながら、月曜から水曜日の気圧配置がチャンスと踏んだ。

石鎚山の天気読みは、朋友菅さんに任せておけば大丈夫(笑)

さて、また三日分の食糧とカメラ機材で25kg の荷物を担いでの雪山行だ。

先週は予想外に積雪量が少なく楽な行程だった。

しかし、今回は様相がまったく違った。

登山口の成就社で、たっぷり雪を被っている。

それでも夜明峠まではトレースがあった。

それ以降は、腰まで埋もれる雪を掻き分けのラッセルが延々と続く。

久しぶりのラッセルに二の鎖下で力尽きた。

ここに新しい避難小屋が出来たことも、気持ちが挫けた原因だろう。

避難小屋の夜は、ほくほくキムチ鍋で身体を温めた。

いつも美味しい山料理を提供してくれる菅さんに感謝。

これで身体の内側から暖まり、元気を回復した。

 

一晩中雪が降り続け、夜明け前に小屋を出発。

そこから先は雪の壁が行く手を覆っていた。

ズブズブと底なし沼のように身体が沈んでゆく。

最早、ラッセルというよりも、ひたすら雪掻きである。

ピッケルで目の前の雪を掻き出し踏み固め亀の歩みで前に進むしかない。

鉄階段の巻道も雪に覆われ、谷に切れ落ちる斜面と化している。

昔からよく云われるように厳冬期石鎚の二の鎖から上は別世界である。

ここから下で雪が降らなくても、ここから上は雪雲に覆われ降雪を重ねる。

二の鎖避難小屋から二時間かけて、やっと弥山に到着。

なんとか日の出の時間に間に合ったはずだったが、

山頂はガスに覆われ、その後も一日、雪が降り続けた。

長く底冷えする待機時間の後、翌朝は山を覆う雲が抜けた。

吹き上がる雲の波濤と一閃の朝日が放つ光芒。

そこには厳冬期石鎚の神話世界が出来(しゅったい)していた。

「うぉーっ」雄叫びを上げる…歓喜の朝だった。

 


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14 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
寒石鎚 (miura)
2017-01-27 18:53:58
雪がかなり降ったようですが、頑張っていますね。
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凄い! (鬼城)
2017-01-27 19:15:32
神話の世界、今回の山行も石鎚の神は見ていた。(笑い)
昨秋、久しぶりに石鎚に・・・
しかし、厳冬期となると自信も無いし、迷惑を掛けることになりかねない。
ランスケさんの写真で満足しよう。
光輪もすごい。
荷物25kは半端じゃあ無いですね。
それとラッセル・・・
汗が出そうです。m(_ _)m
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続けることの困難さ (ランスケ)
2017-01-27 21:00:48
miuraさんって?
誰かと思いました(笑)
珍しくローマ字表記で書き込みものだから。

もう私の中の石鎚は終わったと思っていました。
なかなか…静かにフェードアウト出来ませんね。
菅さんのおかげで、また厳冬期の石鎚へ撮影に行けました。
まだ体力は数年くらいは大丈夫なようです。
問題は通い続けるモチベーションですね。

それを考えると、未だ現役で山岳写真に挑む三浦さんの衰えぬ活力が羨ましい。
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もう一度チャンスがあるか? (ランスケ)
2017-01-27 21:12:44
鬼城さん、体調不良が続きますね。
お仕事、お忙しいでしょうが、もう寒気の底は抜けたと思うので暫くの辛抱です。

今年も暖冬で終わりそうな予感。
たぶん、この二週間が厳冬期石鎚撮影の唯一のチャンスだったと思います。
さぁ、もう一度まとまった降雪があるでしょうか?
瓶ヶ森の撮影に、まだ未練が残ります(笑)
如何なりますか?
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最強の言葉? (ランスケ)
2017-01-28 15:04:40
これは僕の人生であって、他の誰の人生でもない。

(村上春樹BOT ‏@Haruki__BOT )

う~ん、この言葉は力強いなぁー
たいがいの試練も、この言葉を反芻すれば乗り越えられそうな気がする(笑)
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前に向かう!! (MUGAKU)
2017-01-28 23:30:41
ランスケさん
ランスケさんの厳しく・燃える魂が石鎚山に向かっています。画像の中に見えています。
昨年、高知県出身のブラジル開拓農民・写真家 大原治雄展で彼の「信念の生き様」が画像の中にあり描かれており感動しました。
身体の「芯」にウソやゴマカシのない「ランスケさん」の生み出す「画像」は重くて力を感じます。今年も「教科書」にします。
返信する
現実としてのディストピア (ランスケ)
2017-01-29 00:37:33
MUGAKUさん、私もETV日曜美術館で大原治雄の写真を観ました。

http://www.kmopa.com/?p=4773

どうもMUGAKUさんとは写真の嗜好性が似ていますね(笑)
星野道夫や野町和嘉とかね。

ポスト・トゥルースの時代と云われています。
トランプ米大統領の出現で、多くの人々は、自分の信じたい嘘に縋るようになって来ました。
日本では一足先に石原慎太郎、橋下徹、安倍晋三というトランプの政治手法を先行してきた政治家が主流を占めています。
真実であることが軽視され、自分たちに都合のいい嘘が流通する社会を心地よいと感じる人が大多数を占める世界?って…
これって、ディストピアの出現ですよね(汗)
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すごさが出てます (masa)
2017-01-30 11:46:03
この週末登りますと言ってましたが ランスケ
さんのおっしゃったように今回はやめることに
しました。どうしても天気がいい時を狙ってし
まうのも良くないとは思うのですが その時そ
の時の場面をいい感じで切り取る これに徹します。
それと膝をなんとかしないといけないようです。
またすごい石鎚冬山ショットお願いします!!
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一年かけて体力づくり (ランスケ)
2017-01-30 15:57:55
週末土曜日に石鎚山系へ入山した人の画像を見ると、行かなくて正解でしたね。
ピーカンで霧氷もなく笹の露出した山では写真になりません。

先週、下山時に見た瓶ヶ森は真っ白でした。
でも土曜日に行った人の画像を見ると、結構、笹が露出しています。
やっぱり、あの程度の積雪では笹が埋もれてしまう真っ白の雪原には程遠いようです。
私がスノーシューを手に入れて瓶ヶ森へ通うようになった頃は、
その冬で一番積雪量が多くて最も寒気の強い一月下旬から二月上旬の低気圧通過後を狙って入山していました。
四国の山は稜線が笹で覆われていたり樹林帯があるので、どうしても寒気団の南下した低気圧通過後でないと、
厳冬期山岳写真としての厳しい風景と出会うことができません。

だから今回のような積雪10cmくらいからいきなり笹が埋もれてしまうような降雪の後、
積もった分だけ身体が沈む、腰から胸まである雪を掻き分け踏み固めての入山となります。
山岳写真が体力勝負と云うのは、そういう事情です。
masaさんも山岳写真を目指すのなら、これから一年かけて雪山で耐えられる持久力を作ってください。
(自転車山越え+登山はお薦め。それが無理なら最低月2くらいのペースで石鎚へ)

今シーズンは、もうまとまった積雪は無理かもしれません?
でも石鎚山なら霧氷がつけば、それなりに写真になるので日帰りで夜明峠まで足を運んでみては如何?
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やっぱり日本は変? (ランスケ)
2017-01-31 10:25:39
世界中がトランプ米大統領の暴挙に対して非難の声を上げているのに日本だけは蚊帳の外?
橋下徹は、ずっとトランプ支持だし、安倍首相は信頼できる人とトランプ賞賛の幇間外交…
トランプ大統領の出現で、改めて日本という国の非民主的、権的な国の在り方が浮き彫りになってしまった(汗)

茂木健一郎
‎@kenichiromogi
言動があきらかに現代の人権原則に反し、思いつきで大統領令を連発し、
良識ある方々から総スカンをくらい、近い将来弾劾を受ける可能性も指摘されているトランプ大統領を、
日本の指導者が賞賛したり、忖度したりする光景はぼくは見たくないです。


内田樹
✔ ‎@levinassien
トランプのような人間を大統領にしてしまうという点ではアメリカはかなりろくでもない国ですが、
それを補正する復元力の強さとしたたかさはやはり世界一だと思います。
それにしても日本政府のこの問題についての対応は最低ですね。
こういうざまを「世界の笑い者」になるというのではないのですか。

高橋伸彰 ‎@EcoTakahashi
日経調査で内閣支持率66%、でも回答率は僅か45.4%。
15年7月の日経調査で支持率が38%に落ちたときは回答率72.2%。
要するに、支持しない層はアホらしくて回答する気にもなれないんだよ→本社世論調査
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