夏休み明け、「学校へ行きたくない」という子どもにどう向き合えばいいのか。
不登校・子どもの自死問題にむけて、不登校の選択を受け入れることを決めた親たち。
8/31付朝日新聞に記事が掲載されています。
ノンフィクション作家 北村年子さんが発信されています。
過去40年以上にわたり、
子どもの自殺が一年で最も多くなる日が、
明日 9月1日です。
学校に行きたくない子どもたちへ、
生きていてほしい、
死なないで、
の危機感の中で、
各地でさまざまな取り組み、居場所づくりが行われています。
不登校は、
教室が、安全安心な居場所=ホーム・ルームになはない、
子どもたちの「ホーム」レス問題、でもあります。
今朝の朝日新聞掲載
「不登校、ありのまま受け入れた 親たちに聞く」
では、不登校新聞・石井志昂編集長らと共に
私もインタビューに応えました。
明日 9月1日木曜、
私がパーソナリティつとめるラジオ
FMヨコハマTresen+
http://www.fmyokohama.co.jp/onair/dj/KitamuraToshiko
19時20~40分
北村年子の「あなたにあえてよかった」でも、
不登校テーマに、
学校に行きたくない子どもたちに、
生きてるだけでありがとう、
を発信したいと思います。
ぜひ、聴いてください。
番組内で紹介するメッセージも募集しています。
メール宛先
anata@fmyokohama.co.jp
子どもたちの命を守れますように。
ノンフィクションライター
一般社団法人ホームレス問題の授業づくり全国ネット代表理事
北村年子
以下、8/31朝日新聞朝刊より
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不登校、ありのまま受け入れた 親たちに聞く:朝日新聞デジタル http://www.asahi.com/articles/DA3S12535670.html
夏休みが明けるこの時期、「学校へ行きたくない」と言う子どもにどう向き合えばいいでしょうか。不登校の選択を受け入れることを決めた親たちに話を聞きました。
■学校か死ぬか、にしない 息子が中1から不登校 ノンフィクション作家・北村年子さん(54)
息子は中学1年の9月、同級生が教師から頭をたたかれたのを見た翌日から行けなくなりました。玄関先で立ち上がれず、「行かなきゃ、行かなきゃ」と繰り返す。でも体が動かない。
小学5年ごろから「お母さんは好きなことをしてていいね。僕は毎日、学校で自分を一つずつ殺しているんだよ」と話していたので、それまでもずっと無理をしていたんだと思います。
押し入れに閉じこもり、「僕はダメだ」と繰り返す。「そんなことないよ、いいとこいっぱいあるよ」と言っても「世間の人はそう思わない。僕がこんな不良品でごめんね」。ショックでした。いくらほめても、長所を伝えても、笑顔にしてやれない。それが何よりつらかった。
半年後、はっと気づきました。私は息子を肯定していたつもりで、自己否定している息子を否定していたんだと。たとえ今この子がどんな状態でも、否定せず、ありのまま受け入れよう、自分を好きと思えない息子を私が好きでいればいい。「そうか、自分をダメだと感じてるんだね。つらいんだね」と伝えると、ほっとしたのか、だんだん元気になっていきました。
高校も大学も、自分から行きたいと進学しましたが、中退しました。もう何も期待しないと思いながら、入学したなら通ってほしい、と親はつい欲が出る。でも「行く」「行かない」は親がコントロールすることじゃない。子どもが不登校になると、親は「早く学校に戻したい」と思いがちです。でも子どもは、学校に行くか、死ぬか、どちらかしかないと思い詰めてしまうかもしれない。息子は不登校を選んで、自分を生きることを選んでくれたのだと思います。
いま24歳。仲間とバンドを組んだり、障害者施設で働いたり。「好きなことをして」生きていてくれたら幸せです。
■仲間知り、葛藤和らいだ 娘が小1から不登校 主婦・岡田綾歌さん(37)
娘は小学校に入ることを楽しみにしていましたが、入学すると保育園との雰囲気の違いに驚いたようでした。
給食は時間内に食べなきゃならない。家でも宿題に追われる毎日。女の子のグループが複数あったみたいで、「うちらの方に来ないのって言われるのがいや」とこぼしました。1年の3学期、学校に行かないと言い出しました。最初はなにを甘えているんだろうと。「勉強分からんくなるよ。友達の輪にも入れない。なにも分からないまま大人になったらどうやって生活するの」。脅かすような言葉をたくさん言ってしまいました。
5時間目から連れていったこともありましたが、げた箱の前で「なんで行かんといけんの」と泣き続け、教室に入りませんでした。娘もつらい理由を話してくれました。先生が宿題をしなかった子をみんなの前で叱るそうです。「ひどいこと言うなあといつも聞きおるんじゃ。胸がドキドキして苦しかった」
これだけ嫌がっているのに無理に行かせていいのか。いや、これが社会なんだ。葛藤していた時、不登校の子どもの親でつくる会に参加しました。出会ったのは義務教育の間に登校しなくても、大人になってちゃんと生活している人たち。やっと学校に行かなくても大丈夫、なんとかなると思えました。
2年生の夏休み明け、娘と夫と校長室を訪ねて「休学宣言」をしました。娘も私も気持ちに区切りをつけ、娘に安心して休ませるためです。
不登校になる前にもっと話を聞いてあげられたらよかったといま思います。4年になった今年春、娘は塾に行きたいと言い始めました。「先生」という人を受け入れただけでもすごい前進。色々と誘いたくなるのをぐっとこらえ、娘を焦らせないようにしたいです。
■夏休み明け、緊張高まる 30日以上休んだ小中生、12万人超
文部科学省によると、年間30日以上学校を休んだ不登校の小中学生は1990年代に倍増。その後も高水準が続き、2014年度は約12万3千人だった。
不登校経験者らが発行する不登校新聞の石井志昂(しこう)編集長(34)は「夏休み明けから行かなくなるケースは多いようだ。長い休みが終わるのを前に、緊張や不安が一気に高まるためではないか」と話す。不登校になる前には、(1)宿題が手につかない(2)生活が昼夜逆転し、朝起きられない(3)神経質になる――といった兆しが見られるという。
「学校に行きたくない」と口にした時は親へのSOSのサインのこともあり、苦しさが理解されないと子どもは追い詰められてしまうと指摘。「親は『学校に行かなくても生きていていい?』と問われていると考えて。実際に行くか行かないかは結果論。まずは耳を傾け、共感してほしい」と呼びかける。
小学5年の9月から不登校になった渡辺昌樹さん(20)は「学校に行くしか道がないと言われると、自分の全てを否定される。母は色々な選択肢を強制はせずに僕に示してくれて良かった」と振り返る。(藤田さつき)
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