皆様こんにちは
山三三ツ屋染舗の三ツ屋邦孝です。
いつも当ブログをご覧いただき誠にありがとうございます。
クリーニング店から訪問着袷のしみ抜きのご依頼です。
掛衿に黄色いしみと後身頃裾に大きな輪じみと黒い色がついていました。
訪問着袷
チェーン店のたとう紙に入って居たベージュの全体花柄の訪問着袷です。
訪問着袷掛衿 黄色いしみ
お客さんのおっしゃる主訴は掛衿の黄色いしみと後身頃の輪じみと黒い色素の移染です。
訪問着袷衿胴裏 黄色いしみ
検品すると衿胴裏にも黄色いしみが付いていました。
訪問着袷後身頃 黄色いしみ
後身頃にも黄色いしみが付いていました。
この訪問着袷の柄の縁取りが茶色い線が描かれていますが、これは金加工で使用している
金のりの樹脂の後ですが、金粉は全て剥離しています。私の推測ですが、
以前クリーニング店で丸洗いをしてもらった時に洗浄力の強いパークロロエチレン等で
洗った為に金加工が剥離して溶剤の中に溶け出して、さらに溶け出た金粉が逆汚染として
訪問着袷に再付着した後が掛衿や後身頃の黄色いしみの正体です。
この事がなぜ分かったは衿裏に付いていた黄色いしみが、食べこぼしの黄変しみを疑い
黄変しみの処理をしても落ちなかったので再度、金のりを落とす為の樹脂落としの
しみ抜きをすると見事に落ちた事から以上の推測を裏付ける事が出来ました。
訪問着袷後身頃裾 輪じみと移染
訪問着袷八掛裾 輪じみ
訪問着袷八掛裾 輪じみ
こちらの後身頃の輪じみと移染しみと両側の八掛に輪じみが有ります。
こちらは畳んだ状態で何かがこぼれたと推測されます。
おそらく、間違ったら申し訳ないのですが、除湿剤のみ水とりぞうさんの
溜まった水をこぼした輪じみと他の物からの移染したと思われました。
訪問着袷掛衿 しみ抜き後
訪問着袷衿裏 しみ抜き後
金のりの樹脂しみは非常に落ちずらかったです。
樹脂落としに効くしみ抜き剤と有機溶剤を組み合わせて少しずつ生地が傷まない様に
物理的な力も加えて落としていきました。しみ抜きの後はしみ抜き剤や溶剤が
残留しない様に石油系溶剤で洗いました。黄色いしみが綺麗に落ちてくれて何よりです。
訪問着袷八掛 しみ抜き後
訪問着袷八掛 輪じみしみ抜き後
最初に黄変化したしみ抜きを行いました。
八掛部分と表地は綺麗に落ちてくれましたが、移染した黒地がわずかに残りました。
訪問着袷八掛 移染しみ抜き後
八掛に付いた黒い移染しみは綺麗に落ちました。
訪問着袷後身頃 柄描き後
後身頃の黒い移染しみの色素は落ちませんでした、色素を落とす抜染剤の使用も
考えましたが、友禅の訪問着で出来る唯一の柄描きの技法が有りますが、これは
お客様のご了承が無いと出来ません。勝手に描いてしまう職人もいますが,
一度描いてしまうと取り除くのは困難になる為だからです。
私の師匠は余り柄描きを行う人では無かったので、私も余り柄描きを行って
来ませんでしたが、今回は柄描きを行う方がより自然の仕上がるイメージが
湧きました。型彫をして他の柄と違和感の無い様に色合わせをして柄描きを
行いました。柄描きは無地の着物では出来ませんが友禅染の着物にには唯一
しみを隠す事が出来る技法です。
訪問着袷 仕上げ後
最後に検品後に仕上げをして修了です。
着物と洋服のお手入れは
厚生労働大臣認定一級染色補正技能士のいる
山三 三ツ屋染舗にご用命下さい。
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