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絹(シルク)のスレ(擦れ・しらけ・白化現象)とは?

2023年09月05日 | コラム

皆様こんにちは

山三三ツ屋染舗の三ツ屋邦孝です。

いつも当ブログをご覧いただき誠にありがとうございます。

今回は絹(シルク)のスレ(擦れ・しらけ・白化現象)についてです。

絹(シルク)のスレ(擦れ・しらけ・白化現象)について専門書の

そこが知りたいQ&A 和装染織故障防止のために

京都市染織試験場 技術相談室 平成5年3月31日発行 より抜粋

「衿についた汚れを取ろうとしたところ、白けてしまいました。

色が落ちたのではないでしょうか?」

御質問の白けの原因は、発生したスレ部分の光の乱反射、及び細繊化された繊維の

光の透過によって白く見えると考えられます。夏物の着尺や喪服で、帯が当たる

部分やしみ落としをした箇所が白くなり、色が落ちたのではないかという苦情を

良く聞きます。このような白けて見える部分を顕微鏡で観察しますと、スレの

発生が認められます(写真16)。

また、湿らせた布で生地を押さえても布に色が移ることはありません。

スレ故障は生地表面が湿潤状態で摩擦されると発生するもので、電子顕微鏡では、

その表面が写真のように、刃の欠けたカンナで木材を削った時のような形状を示しています

(写真17)。

このようにはく離した細かい繊維が毛羽状となって光の乱反射、透過を起こし、白けて

見えることになります。また、摩擦現象は、両面から同じ場所が擦られることは余りなく、

このことから、スレ故障は片面に発生する場合が多いと言えます。

スレは、生地が濡れている状態でその表面が擦られることで発生しますから、製織から

消費者に至るまであらゆる場面で発生する可能性があります。ご質問ではしみ落とし時に

発生したスレでしたが、一般にスレが認められた場合、常にどの工程で発生したかが

問題になります。このため、スレ故障は、スレが発生している生地上の箇所及びその周辺の

観察が非常に重要になります。例えば、引染、蒸し、水元終了後、染着異常に気付き、

顕微鏡でスレが認められた場合は、故障部分の色が重要な決め手になります。つまり、

引染後に発生したスレの場合は、その部分に染料がたまって濃く見えます。さらに濃く

見える状態(引染前のスレ)では、精錬のたたみの形状や前処理の有無が問題になってきます。

着用中のスレとしては、帯下や脇にしわ形状に沿って白けて見えるものがありますがありますので、

スレを知らない消費者は色落ちしたと思ってしまいます。この様な場合、紫外線下でスレ部分の

胴裏を観察すると、汗と思われる輪じみが認められることがよくあります。

スレ防止は取扱い上の注意しかありません。布と布の摩擦、布と機器類との摩擦をなくするように

工夫すべきでしょう。

不幸にしてスレの発生したものは、スレ直し剤などを浸み込ませた布でスレ部分を軽く擦り、

スレで発生した細かい繊維を同じ方向に寝かしつけて、光沢の変化を少なくして同じような

色に見える様にします。しかし強度のスレになりますと、はき合わせ*などの補正を行っても、

光沢の変化が修正出来なくなります。

*はき合わせとは色掛けの事です。

しみ抜き(染色補正)業に携わって既に43年になります。

業者が発生したスレ、消費者は知識不足から発生した強度なスレなど数多くの

スレの故障を見てきましたし、少しでも分からなくするようにスレ直しを行ってきました。

スレは斜めから見ると特に艶が変化して見えます、ネクタイを着用して上から斜めで

見ると艶が変化して見える為に一目瞭然となります。

スレ直し剤も油性の薬剤、糊系の薬剤、樹脂系の薬剤、染料等を組み合わせてスレ直しを

行いますが、あまり強度のスレの場合は直りません。

消費者の方、クリーニング業者の方絹(シルク)の特性を学んで下さい。

消費者の方は、この生地を見て学んでいただく事を心より願います。

絹(シルク)製品をおしぼり等で擦らないで下さい。

 

着物と洋服のお手入れは

厚生労働大臣認定一級染色補正技能士のいる

山三 三ツ屋染舗にご用命下さい。

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