きものと洋服でお困りのあなたへ !!

創業106年 きものお手入れと洋服のメンテナンス店 一級染色補正技能士の仕事事例と日常生活 

水洗いしてはいけない物を水洗いするとどうなるか?

2022年06月01日 | コラム

皆様こんにちは

山三三ツ屋染舗の三ツ屋邦孝です。

いつも当ブログをご覧いただき誠にありがとうございます!!

ブティックからジャケット(ジョルジオアルマーニ製)のクリーニングの

依頼がありましたが、全体的に黄変しみが多数ありましたが、移染しやすい

シルク地の裏地でした。品質表示にドライクリーニングのみとなっていましたが

水洗いが必要でしたので水洗いを行いました。なぜ水洗いを行ったらいけないのか

身を持ってしてはいけない事を経験できました。

ジャケット(ジョルジオアルマーニ製)

淡いグレーの細かいストライブ柄で裏地が黒です。

ジャケット(ジョルジオアルマーニ製)品質表示

表地が綿80%ナイロン20%で裏地が絹100%となっています。

洗濯表示はドライクリーニングのみです。

家庭での洗濯禁止、塩素系及び酸素系漂白剤の使用禁止、

底面温度110 ℃を限度としてスチームなしでアイロン仕上げができる、

パークロロエチレン及び石油系溶剤によるドライクリーニングができる(溶剤に2%の水添加)

となっています。

ジャケット(ジョルジオアルマーニ製)汗による衿ヤケ

淡いグレーの細かいストライブ柄で裏地が黒い絹100%です。

衿に汗じみによる黄変しみが付いています。

ジャケット(ジョルジオアルマーニ製)前身頃 黄変しみ

飲み物でも付けたのか、前身頃全体に黄変しみが付いています。

ジャケット(ジョルジオアルマーニ製)袖の外側 黄変しみ

袖の外側もヤケていて黄色いです。

ジャケット(ジョルジオアルマーニ製)左ラペル(下衿)表側

左ラペル(下衿)の表側にジョルジオアルマーニのロゴマークが入っています。

ジャケット(ジョルジオアルマーニ製)左ラペル(下衿)裏側 移染

左ラペル(下衿)裏側を見ると何と絹100%の黒地の裏地から色が出て表地に移染

していました。イタリア製のシルク地は染色後の水元(水洗い)が不十分なのか

水質が悪いのか、分かりませんが、洗濯で水洗いをすると色が出易い事は、経験測で

分っています。現実に裏地の染料が移染しているのでアパレルメーカーに問い合わせて

欲しいとクリーニング業者は、思いますが、製造責任者としてリコールでもして欲しいです。

裏地からの色泣きを防ぐ為に、洗濯はドライクリーニングのみとなっていますが

これだけありこちに黄変しみが有る為に黄変しみ抜き後に薬剤残留の為に経時変化での

黄変しみが発生しては元も子もありません。イタリアは低湿度の為に汗をかかずに

汚れは皮脂汚れの為にドライクリーニングで十分に用は足りると思いますが

日本は高温多湿気候の為に冷房設備があるとは言え、汗によるしみの付着により

ドライクリーニングのみととなると現実に衿が黄変しみが発生するのは当たり事となります。

 

裏地を濡らさない様にして黄変しみ抜きをした後にラペルの裏側の移染を取りの除いてから

移染防止剤の入った洗剤で水洗いを行いました。洗剤浴では黒い色は出なかったので

ホッとしていました。

ジャケット(ジョルジオアルマーニ製)カラー(上衿)水洗い後の移染

少し油断していたのか、乾燥時にカラー(上衿)の芯地からなのか黒い染料が

にじみ出て来ました。こちらしみ抜きで移染は除去できるので想定内です。

ジャケット(ジョルジオアルマーニ製)左ラペル(下衿)水洗い後の移染

左ラペルの裏表にピンク色の移染が付いていました、おそらくラペル生地の

芯地にロゴマークの縫い付ける為の印の為にピンク色の筆記具を使用したと

推測できますが、こちらはまったくの想定外でしたが、しみ抜きで落とす事が

出来る技量がある為に心配は有りません。

ジャケット(ジョルジオアルマーニ製)カラー(上衿)しみ抜き後

黄変しみも色泣きした染料も落とす事が出来ました。

ジャケット(ジョルジオアルマーニ製)左ラペル(下衿)しみ抜き後

ピンク色の移染も綺麗に落ちました。

ジャケット(ジョルジオアルマーニ製)前身頃 しみ抜き後

前身頃の黄変しみも綺麗に落ちましたし、移染もありませんでした。

ジャケット(ジョルジオアルマーニ製)袖 しみ抜き後

袖も移染も無く黄変しみが落ちました。

仕上がりの全体画像を取り忘れました申し訳ございませんが、綺麗に仕上がりました。

 

今回ドライクリーニングのみのジャケットを水洗いしてみましたが、

品質表示通りのドライクリーニング処理を行えば裏地の移染の発生は無いと

思われますが、水洗いを行わないと、黄変しみを落とせないジレンマの中で、

クリーニング業者としては技量を試されているのか、洋服のお手入れを無視する

アパレルメーカーとの真剣勝負をしました。着物の様に解いて表地と裏地を別々に

洗う事が出来れば何ら問題は発生しませんが、アパレルメーカーももう少し

お手入れの事を考えて、水洗いしても良い素材で服を製作してくれる事を強く望みます。

 

最初のテーマの答えは、裏地から色が出ます、さらに水性のマーカーからに

移染が発生します。ドライクリーニングで洗っても汗が落ちない為に

翌シーズンには黄変しみが発生します。クリーニング店では受付てくれない事を

実感出来ます。以上が答えになります。

 

着物と洋服のお手入れは

厚生労働大臣認定一級染色補正技能士のいる

山三 三ツ屋染舗にご用命下さい。

〒062-0902

札幌市豊平区豊平2条2丁目2番20号

電話011-811-6926 FAX011-811-7126

営業時間 9:00~18:00

休日 日曜・祝日

メール mitsuyasenpo@train.ocn.ne.jp

ホームページ http://328senpo.sakura.ne.jp

ブログランキングに参加しています!

皆様の応援がとても励みになりますよろしくお願いいたします。

こちらをポチッポチッと押して下さい。

↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 白地絽長襦袢 汗しみ・半衿... | トップ | 男物大島紬袷 黄変しみ 丸... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

コラム」カテゴリの最新記事