きものと洋服でお困りのあなたへ !!

創業106周年きものと洋服のお手入れ専門店 一級染色技能士の仕事事例と日常生活

一級染色(染色補正作業)技能士試験

2013年10月07日 | コラム

皆様こんにちは

山三三ツ屋染舗の三ツ屋邦孝です。

毎日しみ抜きの仕事をしていると、色々なきものとの出会いがありますが、

時々産地の染色補正のひどい色修正の箇所に出会います、この子たち(きもの)は

どんな親(職人)の手をわたってきたのかを、思うときに川上(産地)の職人に憤りを覚えます。

「川上の職人さん自分の手がけたきものがどうなっているかご存知ですか?」と

訪問着表新反(表側)染色補正後  

産地にて染色補正後色合わせが不十分で修正後が分かります。

訪問着表(裏側)染色補正後

袷に仕立てれば裏側はこれでもいいですが表側はもう少し修正が必要とおもいます。

この様な仕事ではお客様は満足しないと思います。

 

自分だけはそうならないぞと強く心に誓い、産地の技術習得によりさらなるスキルアップを目指し

自分も川上を見たくなり、染色補正技能士試験に挑戦しました。

技能士試験は一級と二級の検定試験が有ります。実技試験が三課題と筆記試験がありました。

一級の実技試験の課題は紋ふち消し作業、ぼかし合わせ作業、小紋直し作業の三課題を

五時間(打ち切り六時間)でこなす試験でした。三課題とも色掛けが主眼の試験です。

1.紋ふち消し作業

綸子縮緬さび朱色、浸染。真中に丸に横木瓜大きさ直径鯨一寸、この文様の丸を消す作業である。

最初に青花が残っている場合いは水洗いをしてから、

紋のきわを少しはがした方が色掛けは直し易いですがはがしすぎない様に注意して下さい。

地色に如何に近づけるかがポイントです。

色合わせの染料はダイレクトスカーレットに隠し味程度にピンクとブラックを入れます。

染着させる為に少し湿らして色掛け行いますが、縁だまりを起こさない様に色なき止めや浸透剤を

上手に使用する事もポイントに一つです。表地が見苦しく成らないように裏地からが修正して最後に表地を修正します。

2.ぼかし合わせ作業

白地綸子縮緬地に藤ねずみ色のぼかしが引き染めしてあり、真中で約20cmの段差が出来ています。

まず刷き合わせをする個所に裏から薄く鉛筆であたりをします。

染料はバイオレットとブラックと少し新橋を調合します。刷毛合わせは片羽刷毛または平刷毛の

使いやすい方を使用します。まず生地を湿らして染着しやすいようにして置き、

染液は少し薄めにし、生地はしわが寄らない様に注意して斜めに刷毛ではきムラにならない様に注意する。

乾いた布で裏から湿り気を取る。白場を汚さない様に注意を払う事。

ドライヤーで乾燥後にぼかしの形の悪い所を小刷毛で整える。

最後に鉛筆で描いた個所をベンジンで処理をして消します。

3.小紋直し作業

生地は手捺染の青い鼠色の疋田模様に巾5ミリの赤い線が生地巾一杯引いて有ります。

三分の一はそのままで三分の一は真ん中は抜いて疋田を復元三分の一は白抜きする。

最初に三分の一を計ります。三品を作り友禅糊に混ぜ少量のDSコンクを入れ抜染糊を作り、

残りの三分の二に塗り、フラスコの蒸気又は焼きコテで蒸し焼きにして抜染していきますが

二度以上行わないと白く成りません。

赤い線は蒸しが充分掛かっている為に染着が固く前処理の必要がありません。

抜染糊を生地にスレが出ない様に洗い出し、十分に乾燥させます。

染料の色合わせを十分に行い、泣き止めを入れ、筆は先の整った細い筆を使用して正確に引いて下さい。

真ん中の点は爪楊枝の先に染料を付け置くような気持ちで付けていきます。

復元が終わるとフラスコで蒸しを掛け、アイロンかコテで仕上げます。

 

どの課題から行っても良いのですが段取りを良く考えて時間内で終了する様に心がけて下さい。

何度も練習をして、身体に染み込ませて下さい。

 

学科試験も過去の問題集と「染色」と言う大学の教科書を中心に勉強しました。

実技は試験布を購入して練習しました。

試験布相手で自分の仕事場でない所での作業はなかなか厳しい物がありました。

二度目の挑戦でなんとか合格する事が出来ましたが、諦めずに挑戦した事が良かったと思います。

私でも合格出来たのでここにいらしゃる読者の皆様の合格を心よりお祈り申し上げます。

 

川上の職人さんの足元まで近づけと事を実感いたしました。

 

一級染色(染色補正作業)技能士合格証書

合格証書を受けたのが平成3年ですので労働大臣の認定になっています。

現在は厚生労働大臣です。

これからも色々な挑戦は続いていきます。

(平成27年9月24日に内容を書き換えました)

着物の染色補正は、厚生働大臣認定一級染色補正技能士のいる。

山三 三ツ屋染舗にご用命下さい。

〒062-0902

札幌市豊平区豊平2条2丁目2番20号

電話011-811-6926 FAX011-811-7126

メール mitsuyasenpo@train.ocn.ne.jp

ホームページ http://328senpo.sakura.ne.jp

営業時間 平日(月曜~土曜) 午前8時~午後6時

休日 日曜 祝日

ブログランキングに参加しています!

皆様の応援がとても励みになります

良い記事や参考になる記事には

ポチッと押してください。

よろしくお願いいたします。

↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓

PVアクセスランキング にほんブログ村

こちらもポチッポチッと押して下さい。

↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓



最新の画像もっと見る

コメントを投稿