皆様こんにちは
山三三ツ屋染舗の三ツ屋邦孝です。
着物のお手入れは現在では丸洗い(ドライクリーニング)が主流になりましたが
昭和40~50年代までは、洗い張りが主流の時代が続きました。
この頃、クリーニング店のドライクリーニングの洗剤(ドライソープ)が現在よりも
性能が低く更に溶剤管理の機材や資材も現在のように性能がよくありませんでした。
この為に、ドライクリーニングの着物の事故が多発した為に着物は丸洗い(ドライクリーニング)が
だめで洗い張りとおっしゃるお客様が多かったです。
洗い張りは今でも私の中では最高のお手入れ方法と思っています。
それでは、洗い張りの工程について説明いたします。
この工程は当店独自のやり方です。
札付け→ほどき→はぬい→アイロン掛け→洗い物→はぬい→機械湯のし→手のし→仕上げの
工程の順に行います。(手のしの工程は絞りの着物の場合行います)
ごく稀に、機械湯のしでは、無理な品物により伸子張りを行う事もあります。
札付け
お預かりした着物は最初に札付けを行います。
日付け 客名 加工内容 その他注意書きを書き込みます。
現在はクリーニング用のタックを使用していますが
昭和40年代位まで当店は渋紙の札を使用していました。
渋紙とは和紙に柿渋を塗ったものです。
柿渋は防腐効果が高く、水に強い性質を持っています。
手に入りにくくなった事とコスト等の理由により
現在はクリーニング用のタックに置き換わりました。
ほどき
リッパー 握りバサミ
解く為の道具は和裁用の握りはさみか、洋裁用のリッパーを使用します。
リッパーによるほどき
仕立て上がった着物を糸切りはさみや洋裁で使用するリッパーを使いほどいていきます。
仕立ての反対に解いて行きますがとても時間が掛かります。
なにせ穴を開けると弁償になりますのでとても神経を使います。
ほどき終わった物は糸クズが無いか良く点検します。
染色堅牢度の悪い糸は水に入れると色泣きをしますのできちんと糸くずも取り除きます。
はぬい(ロックミシンかけ)
ロックミシンによるはぬい工程
ほどいた着物をは仕立てで断った所をぬい直すとまた元の反物に戻ります。
以前は木綿糸を使用して手縫いで行っていましたが
現在はロックミシンでポリエステルの糸を使用しています。
この工程は、洗い張りの仕上がりを左右するとても大事な工程です。
仕立て前の整理(織り物の湯通し後の機械湯のし及び染物の機械湯のし)の工程での
地の目の曲がりそのまま仕立ててしまって着物は修正の為に、ごく稀に地の目沿って再度断ちなおす事もあります。
はぬいの工程で生地の地の目が曲がらないようにしないと、
この後の仕立ての工程で狂いが生じますので、気が抜けません。
アイロン掛け
蒸気アイロンによるアイロン工程
はぬい後に仕立てで折れた部分にアイロンを掛ます。
折れた部分をそのままで洗うと汚れが落ちにくい事と幅出しをすると
前回の折り目が残るので出来るだけ生地を平に伸ばします。
一反12m〜13.5mをアイロン掛は結構手間が掛かりますが、汚れ落ちが良くなり
その後の洗い場の工程がスムーズで楽になりますのて省けない工程です。
また仕上げの湯のしの機械を掛けても折れた所はきれいに伸びませんので
仕上がりがきれいにあがります。
洗い工程
洗い工程(水洗い)
以前は植物系の棒石鹸(マルセル石鹸等)や粉石鹸を使用していましたが
生地への石鹸の成分の残留による臭いや経時変化の問題が有り、
現在は高性能な中性洗剤を使用しています。
ぬるま湯にて中性洗剤にて洗い板の上で専用のブラシで手洗いを行います。
生地を傷めない様また色泣きの無いように洗い上げてゆきます、
また生地の汚れと古い糊、仕上げ剤を取り除きます。
洗う前の綺麗な洗浄液
洗い後の洗浄液
大島の生地についている糊で洗浄液が濁っています。
産地で使用した糊はカビやウオータースポット(雨や水が当たると水ジミになる)の
原因になりますので、きちんと取り除きます。
ゆすぎ工程(しわにならない様にたぐりあげます)
良くゆすぎ、仕上げに、生地に応じた、糊と仕上げ剤を使用しています。
昔は糊に天然のふのりを使用していましたが現在洗い張り仕立て直しする方が減っている為
現在は抗菌剤や帯電防止剤の入ったリンスと高性能な化学糊で仕上げます。
とても良い風合いで、お客様よりご満足以上の感動を頂いいます。
乾燥
乾燥工程
産地で行ってる方法に準じています。生地を専用の張り手(クリップの様な道具)に
はさみ引っ張り、乾燥します。引っ張る事により小じわ防止と生地の耳つり防止になります。
機械湯のし (テンター)
湯のし工程
専用の湯のしの機械(テンター)で仕上げます。蒸気を当て反物の幅と丈(長さ)を出します。
糸にヨリが戻り光沢も出ます。当店では生地の地の目が通る様二度掛けます。
手湯のし
手湯のし工程
絞りの生地は湯のしの工程でシボが伸びるので、
必ず手のしの工程にて蒸気でシボを戻します。
仕上げ
板巻き
最後に検品して巻板で巻き、糸で止め、包装して完成です。
油汚れのひどい物はドライクリーニングの工程を入れる事もあります
水洗いの前にする事や着物は汚れしみ等一枚一枚違うので洗い方もそれぞれ異なります。
洗い張りは生地の寿命を伸ばし汚れ防止になります。
着物の洗い張りでお困りな方は、
厚生労働大臣認定一級染色補正技能士のいる
山三 三ツ屋染舗にご用命下さい。
〒062-0902
札幌市豊平区豊平2条2丁目2番20号
電話011-811-6926 FAX011-811-7126
メール mitsuyasenpo@train.ocn.ne.jp
ホームページ http://328senpo.sakura.ne.jp
営業時間 平日(月曜~土曜) 午前8時~午後6時
休日 日曜 祝日
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